京都鉄道博物館の開業まで、あと一週間余りとなりました。テレビ、新聞でも連日コマーシャルも流れて期待感が広がっています。米手作市さんから“まだ秘密やでぇ~”と見せてもらった構想図の段階から数年が経ち、あっという間の開館となりました。
梅小路蒸気機関車庫も含めた保存車両数は53両と、日本最大級の鉄道博物館が京都に誕生するのは、地元の鉄道ファンとしても格別な思いがあります。館では連日、内覧会が開かれていますが、私もひと足早く見学することができました。
普段なら鉄道のことには関心を寄せないであろう、背広姿のビジネスマンが同僚と鉄道の思い出話をしたり、スーツでビシッと決めたキャリアウーマンがスマホで写真を撮ったりと、そこかしこに微笑ましい光景が展開されていました。車両以外の展示も充実していて、平易な解説とともに、趣味者でなくても、鉄道への理解・関心が進むことでしょう。ただ大宮や名古屋と比べると、親会社にも似て、たいへん真面目な印象を受けました。もう少し遊び心があってもいいし、広くて明るい展示はいいのですが、もっと強弱、陰影があってもいいように思いました。 ともあれ、“京都”という、世界一の観光都市のブランドを背負って、近隣の施設とともに、目の離せない鉄道博物館となるでしょう。▲本館のエントランスには「JR西日本を代表する車両」として、489系のほか、583系、500系新幹線の3形式が選ばれた。きれいに整備されたその姿を上からジオラマモードで見ると、まるで模型の世界だった。
▲展示方法としてユニークなのは、DD51、EF66が、かさ上げ展示されていて床下も見学できること。これには京都らしい理由があって、この地は、平安京の朱雀大路に当たり、床下を掘り下げて遺構を損傷しないよう、車両全体を持ち上げる、かさ上げ展示となったものだ。
▲「トワイライトプラザ」として、旧京都駅ホームの上屋の下に置かれていたEF58150、EF81103、茶色だったEF58150も青に戻された。上屋のなかには、古いベンチや洗面台も置かれている。
▲本館のエントランスの「JR西日本を代表する車両」3形式が絨毯の上に乗っかっているには、如何なものかと思って床下をのぞくと、ちゃんと車輪はレールに乗っていた。来場者が立ち入る部分は、つまづきなどの安全を考慮して、レールをなしにして絨毯敷きとしたのだろう。
▲隅にポツンと置かれた100系新幹線先頭車。「グランドひかり」編成で、あまり興味の沸かない新幹線のなかで、私はこの100系がいちばん好きだ。まだ新幹線への憧れがあった時代のシンボルが「グランドひかり」だった。
▲一角には「高度成長を支えた人々が行きかった駅」として、“3丁目の夕日”的シーンも再現されている。
▲入ってすぐのプロムナードに置かれた3形式、蒸機、電車、新幹線の歴史的車両として選ばれたようだ。C62、0系はいいとして、湘南はトップナンバーとはいえ、3枚窓は、どうも異端に映る。無いものねだりだが、湘南形を印象づけた量産型のクハ86か、いっそ吹田工場の流電でも持ってきたほうがよかったのではと思う。
▲3階テラスは、抜群のビューポイントだ。周囲に遮るものがないから、京都の市街地の東、南側が一望できる。逆光かとも思ったが、それほどでも無い。また列車位置情報システムが置かれているので、貨物も含めて、在来線の列車情報を知ることができる。
▲車両数は確かに多いのだが、大宮、名古屋と決定的に違うのは、車内立ち入りができるのは、本日はこのクハ103-1だけで、ほかの車両には、左のような張り紙がされている。大宮、名古屋のように、自由に座席に座ったり、飲食可能なコーナーも欲しい。これも安全性と破損防止の目的なのだろうか。
最終まで粘って、追い立てられるようにして出ようとすると、S先輩に会い、久しぶりにお茶して本日は帰途についた。