久々の投稿は、フィルムの話から

 気がつけば、デジ青投稿を離れてから数か月も経ってしまいました。季節は巡り巡って、もう9月。出版の仕事にどっぷり漬かった数か月でした。“一体どうしたのか”と激励していただいた、会内外の約2名の方にも、ご心配をお掛けしました。
この間に思ったことは多々ありましたが、残された年月が限られてきた人間にとって、自分の足跡を各種の媒体に残していくことは、重大な使命だと思い知らされました。これからは、時間を見つけては、デジ青に自分の足跡を書き連ねて行きます。


ビネガーシンドローム ついに発症
この数か月、外での趣味活動は、ほぼ停止状態でしたが、日々の記録・資料のメンテナンスなどは続けてきました。そのなかでのショックな出来事から始めましょう。
撮りためたネガは、定期的に天日干ししたりして、乾燥剤を入れ替えたりして、トラブルを防止してきました。幸い、今まで、喧伝されているフィルムの劣化は2、3本を除いてはなく、安心していました。ところが、昭和40年前後のネガを取り出して点検すると、例の強烈な酢酸臭が…。臭いそのものは、以前からありましたが、尋常ではない臭いが部屋中に立ち込めます。

恐る恐る開けてみると、悪い予感は的中、ネガは汗をかいてベトベトのヘナヘナ状態、赤い斑点、細かいチリメン皺の典型的なビネガーシンドローム状態を発症していP1130225syoます。軽微なものも含めると、約60本が毒牙に見舞われました。例の八つ橋、ストロー状態ではなく、キャリアに挟んでスキャンは可能ですが、全面に渡った斑点、傷、皺では、もう修復は不可能です。 ネガだけは我が子のように大事に管理してきただけに、ショックから抜け切れません。自分にとっては、思いのこもったネガばかりで、落胆することばかりです。ベトベトになったフィルム、斑点、皺だらけのうえ全体が縮まっている

よく言われている、ある年代、あるフィルムメーカーに集中しているのも事実ですが、例外もあって、多分に現像時の水洗処理が十分でなかったことが推測されます。対処として、蔓延を食い止めるため重症ネガは隔離し、まだ軽微なものは早急にスキャン、データ化を急ぐしかありません。1年ぐらい前に見た時には症状は見られず、突然の発症です。皆さん、どうぞ、ネガの管理は怠らず、定期的なチェックをお勧めします。

 久々の投稿は、フィルムの話から」への2件のフィードバック

  1. 総本家青信号特派員様
    そうですか。総本家さんのようにあれだけきちんと整理保存されていた方にも現れましたか。
    その画像を拝見したところ、フィルムが少し収縮気味と、黒斑点が出ているのでしょうか。少し
    判りにくい状況ではありますが。

    『ビネガー・・・』に関しては、湯口先輩、乙訓のご老人に筆者を加えて、語ればそれこそ1日は掛かるくらいの大問題です。かってデジ青にも投稿しましたが、その一文が、『ビネガー・・・』に関する学術論文の仲間に入っていたくらいです。

    問題のフィルムは、1965(昭和40)年以前に製造されたものに限られているようです。筆者の保存状況では、それ以後のフィルムには出現していません。1965年以前のフィルムは、①軽度のカーリング、ストロー状カーリングにはじまり、②黒斑点、③涙を流すように細く長い黒帯状、④乳剤らしきものの針状結晶が全面に、⑤乳剤幕がベースから浮き上がる(二層に分離-これでも画像をスキャンできる)と、程度が酷くなって行きます。筆者の保存フィルムの約半分はこの状況です。筆者だけの問題かと、公表するのも恥ずかしく、実情をお見せしていませんが、近くどんなに酷いか読者にお見せしましょうか。読者がお持ちのフィルムはそれ以後のものが多く、関心は少ないと思いますが。

    起きる事は防げません。ならばどう補修するかです。筆者の補修暦はもう10年にもなります。
    一つはフィルムの補修、二つ目はスキャン後の画像の補修です。
    フィルムの補修でカーリングは完全といって良い程に補修できるようになりました、少し時間がかかりますが。そして、これ以外の欠陥は補修できません。

    二つ目のスキャン画像の補修。これは根競べです。酷い状況のたった1コマの補修に、悠に1日はかかります。画像処理ソフトPhotoshop Elements 現在はversion11を使っています。最近投稿した熊本市電の画像の半分以上は補修済みのものです。撮影が1962年ですから。現像は同志社の生協でした。同年撮影の長崎電軌、鹿児島市電、大分交通、山陽電軌などなど。ほぼ補修が終わっています。これらの補修に1年近くはかかっています。国が行う重要文化財の補修ほど長期ではありませんが。これらに比べれば、カラーフィルムの変褪色の補修などは容易です。

    最後に一言。欠陥フィルムでも絶対に捨てないこと。画像が斑点や欠陥だらけでも早めにスキャンすること。そしてスキャンした画像は必ずコピーを取り、コピー画像を補修することです。多少でも画像がある限り補修復元はできます。

  2. tsurukame様
    ビネガーシンドロームについては大家?でいらっしゃるtsurukame様からのお返事、ありがとうございました。乙訓老人さんや須磨人間国宝さんからもレポートをいただいており、私も晴れて?患者仲間に入ることができました。
    まず私の症状は異臭、軟化、収縮、斑点、皺ですが、斑点は黒ではなく、赤い斑点が多数でした。八つ橋、ストロー状態になっていませんので、スキャン化は可能ですが、全面に広がる傷、皺、斑点を前にして、もう修整する気力は萎えてしまいます。1日掛けてでも修整に賭けておられるとのこと、フィルムを大事にされているお考えと重なります。
    昭和40年以前に製造の‥、とお書きですが、私の場合も昭和42年までのフィルムに限っての発症です。以降はフィルムの組成が変更されたと聞きますので、大部分を占める昭和42年以降のフィルムで発症することは無いのでしたら、気持ちは少し安らぎます。罹ってしまったフィルムは仕方がありませんので、残されたフィルムだけは、しっかり守っていきます。

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