広電の「希少種」を追いかけて

動物の世界には夜に活動する夜行性の種がいて、昼間にはなかなかお目にかかれません。鉄道の世界の「夜行性」と言えば 保線車両でしょうか。ここで話題にしたいのは「夜行性」車両ではなく 広電の「パートタイマー」車両や「希少種」車両です。これも同じく昼間でもなかなか会えない車両たちです。先に花電車「貨51号」はたっぷりご紹介しましたが、貨51号は事業用車ですが、営業用車の中の希少種の近況です。

車庫では撮影していても、走行中を撮っていなかったのが3100型です。宮島線の荒手車庫所属で3101,3102,3103の3両(3編成)があるのですが、平日の朝のラッシュ時だけ車庫から出てきて、昼間は車庫の奥で寝ているのです。是非一度この3100型の働いているところを撮りたいと思っていたのですが、ようやく今朝その姿をとらえることが出来ました。実はINUBUSE氏に3100型の運用についてアドバイスを頂いたおかげで、確実にゲットできました。

平成28年11月9日 広電本社前にて 3101号

平成28年11月9日 広電本社前にて 3102号

3100型の複雑な前歴は省略しますが、3車体4台車の連接車のさきがけとなった車両です。現在宮島線内を走る唯一の吊りかけ車でもあります。

早朝、宮島線の荒手車庫から続々と宮島口方面と広島駅方面に電車が出て行きますが、その中で広島駅には向かわず、8時台に紙屋町で右折して広電前に向かう変則系統が6本あり、この6本のうちの2本に3100型が入ることを教えて頂きました。折り返し地点である広電本社前で待つことにしました。1,2,3本目は3800型でしたが、8:32に行き先表示の系統番号が「0」広電前行きの3102号がやってきました。広電では回送、貸切、そして通常系統ではない変則系統はすべて「0」系統としているようです。8:43に5本目として 3101号がやってきました。

広電前にて3101号

広電前にて 3101号

どの電車も3分から5分遅れての到着です。路面電車ではダイヤ通りに走るのは難しいでしょう。広電本社前とひとつ先の電停 御幸橋との間にある渡り線で折り返してゆきます。

3系統 西広島行きになって折り返してゆく3101号

3系統 西広島行きとなって折り返してゆく3101号

渡り線を渡ると 3系統西広島行きとなって宮島線に戻って行きます。本来3系統は広島港発広電前経由西広島行きの系統なのですが、その短縮バージョン扱いです。

折り返してゆく3808号

折り返してゆく3808号

3系統西広島行きとなって戻って行く6本は 西広島から先 荒手車庫(商工センター前)まで宮島線内を回送として走ります。この6本以外にも回送車が多く見られました。

西広島から荒手車庫に戻って行く回送車 3907号

西広島から荒手車庫に戻って行く回送車 3907号

広島港方面から3000型が回送されてきました。

千田車庫に入庫する3004号

渡り線を渡って千田車庫に入庫する3004号

この3004号は今朝広島駅前で比治山線経由広島港行きとして見かけました。早々と仕事を終えて入庫のようです。8編成あった3000型も2編成がミャンマーに送られたため6編成となって準希少種になっています。1000型の投入もあって出番が少し減っているようですが、でも元気なので先般の優勝パレードの日のように その輸送力を買われてまだまだ市内線で活躍の場はありそうです。

そのほか単車でも多くの希少種に出会えました。

広電前で 元大阪市電の762号

広電前にて元大阪市電の762号 1形式4両に減ってしまった。うしろは1903号

元神戸市電の582号

1形式1両となった元神戸市電の582号

元西鉄の602号と352号

元西鉄の602号も1形式1両 352号は3両の仲間が元気

原爆ドーム前で 652号

原爆ドーム前で 652号(0系統回送) 3両のうち653号は旧塗装

この他にも元神戸市電の1156号ともすれ違いましたが、撮り逃がしてしまいました。なかなか希少種を捕まえるのは大変です。野鳥撮影と同じです。この希少種たちが絶滅危惧種にならないことを祈るばかりです。

この日は宮島競艇の開催日でしたので、臨時駅である競艇場前で乗降できるので足をのばしてみました。

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臨時駅競艇場前を通過する回送3901号

ボートレースのことは全く知識が無いのですが、臨時駅にどっと人が降りるのかと思っていたところ、時間が早かったのか何なのかパラパラとしか降りる人がなく拍子抜けしました。わざわざボートレース場へ行かなくてもネットや場外で勝負できるのかわかりません。かつて目にした京阪淀駅の光景が頭にあったのですが、今はどうなっているのでしょうか。

宮島口駅はかつて宮島線の車庫があったこともあって、長い留置線が3本あります。朝のラッシュ時に活躍した電車の何本かは荒手車庫に回送で戻り、何本かは夕方までここの留置線で昼寝するようです。せっかく宮島口まで来たので、ついでに就航直後の「ななうら丸」を見ようと桟橋に向かいましたが 見事に振られたのは別稿の通りです。

早朝の3100型や多くの希少種に出会えて、暗いうちから出かけた甲斐がありました。3100型を撮るためにいろいろとダイヤを調べ、広電さんのいろいろなダイヤ上の工夫やおもしろい運用が少しわかりました。もうひとつ、路面電車の撮影は快晴の日でもビルの谷間では陰が多く、特に早朝はモロ逆光だったり、マダラ模様に陽がさしたりと難しいことを実感しました。次は宮島線内を荒手車庫に続々と戻って行く回送車を狙ってみようかと思いますが、これがほぼ逆光なので場所選びが難しいなと悩んでいます。いずれにせよ貴重な情報を頂いたINUBUSE様 ありがとうございました。

 

広電の「希少種」を追いかけて」への1件のフィードバック

  1. 西村雅幸様
    念願の3100形の走行中の写真おめでとうございます。早起きはなんとやらで特に路面電車は早起きに限りますね。実は車庫巡りでいつも同じ所に停まっている元神戸市電の1150形1156号の走行を写そうと今年1月広島泊の朝 待っていましたがなかなか現れません。そこで次の機会に車庫前で出庫をねらうことにして、そこで待っていますと薄暗いうちに現れました。ほかに582号762号も出てきます。しばらくして宮島線からの直通車が6本やってきて3100形が2本混ざっていました。(4、5本目です)
    以降広島泊の朝は広電本社前でしばらく写しています。千田車庫の車達が一通り見られますが天候による光と影や車との干渉など難しい事も多くありますね。

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