CRHの旅Ⅱ Part7 京津城際鉄路 335km/h!

翌日は、中々乗車できないシーメンス社製の、CRH3の乗車を目指しました。

オリンピックのおかかげで、天津中心部から天津駅までの交通アクセスは、道路の拡張、橋の新設等があって飛躍的に早くなりました。以前、ラッシュ時は、タクシーに乗車して、30分ではとても行けなかったのですが、約10分で到着です。

天津駅は、1888年開設から120年を迎えました。駅構内の本屋に記念切符が売られていたので、早速購入しました。

新しくなった天津駅は、北京南駅とは異なり、CRH以外の列車も発着します。切符売場は、他の駅同様に、全国各地へと向かう長距離列車の切符を買い求める客で、混雑していましたが、北京南駅と同じ自動券売機が、設置されていまして、難なく購入できました。

CRH3を期待して、ホームに降りましたが、停車中の全列車は、京津城際鉄路の主役CRH2-300(略称;CRH2C)です。唐山で製造されているCRH3は、登場も遅く、製造が間に合っていないのでしょう。

昨日の最高営業速度324km/hは、本当だったのか、乗車すれば分かります。8両 編成の62Aは、満席で、定刻の9:55に静かに発車、北京南駅を目指しました。6分後には、200km/hを突破、隣駅の武清駅を通過すると、300km/hをオーバーして、やがて335km/hに到達しました。

北京近くまで、連続300km/hオーバーの走行を続けました。北京南駅には、定刻の10:25到着。到着後、車内視察をしました。CRH2との違いは、4M4Tから6M2Tに性能アップされ、パンタにはカバーが、設置されました。半室食堂車は、固定椅子に変更されて、スタンドも設置されました。

内装では、洋式トイレ2室から、1室は中国式に変更されました。洗面所は、2室から1室に減らされ、温風乾燥機付き洗面器はなくなり、普通の洗面器に変更されていました。前の方が便利でしたのに、サービスダウンです。

ふと、向かいのホームを見れば、CRH2の16両編成が発車待ちです。上海へと向かうCRH2のD31列車です。前回、上海から乗車した際は、8両編成でした。よく見ると、どこか違っています。

CRH2の16両固定編成です。今まで、16両編成がありましたが、8両固定編成を2編成連結した16両でした。これは、興味深い。

先頭車は、CRH-300と同様のマスクですが、パンタ設置車は、2台が搭載されています。パンタカバーもありません。8号車には、全室食堂車です。これは、新種です。公表はされていませんが、このCRH2は、高速型のCRH2Cに対して、CRH2Bと呼ばれています。

ホーム移動は、できます。行ってみました。まだ、乗客は乗車前でしたので、じっくりと見学しました。先頭の1号車は、CRH2で初めてのクロです。1号車から3号車までは、1等車が続きます。早くもCRH2は、バリエーションを増やしているようです。1等車3両、2等車12両、そして食堂車1両の編成です。そして全車の天井部分には、液晶TVが設置されていました。食堂車の椅子は、固定式で座り心地の良いシートに変更されていました。
一旦、出口から出て、再度入場しました。CRH3には、特等席があると聞きました。いったい、どんな席なのか見てみたい。乗ってみたい衝動にかりたてられました。しかし、自動券売機には、特等席の選択がありません。係員のいる窓口で聞く事にしました。

すると、CRH3には、各列車8席があるとの返答です。買いたいと申し出て、列車を探してもらいますと、13:40発車のC2041が見つかりました。2時間以上の待ち時間ですが、苦になりません。コンコース内のレストランで昼食をして、ゆっくりと待ちました。

しかし、購入した切符をよく見ると、天津方面の先頭側ではなく、最後部の8号車です。再度、窓口に行き、先頭部1号車の切符に変更を求めましたが、没有(ない)の一言です。執拗に聞くと、販売していないと言います。なぜなのかを聞いても、意味がさっぱりと、分かりませんでした。
それでは、乗車してから変更すればと良い思い、改札が始まって直ぐに1号車に行きましたが、特等席は、パソコンが設置されて、係員が何やらデータを取っています。どうやら、走行データ等を取っているのでしょう。

そもそも、京津城際鉄路は、全線試運転を1ケ月しかしていません。日本では、考えられない事です。オリンピックに間に合わせるために営業運転を急いだので、まだ、さまざまな走行データを取る必要があるのでしょう。これでは、変更はダメと言われても、仕方ありません。最後部の車両からの走行を楽しむ事に気持ちを切り替えました。

特等席は、運転席後部の2+1の座席です。席は、運転席後でした。走行向きにセットされていた座席を1回転して、ガラス張りの運転席仕切りからの、走行中の車窓を見る事にしました。

北京南駅を出ると、どんどんスピードを上げていきます。200km/hは、約5分で到達、8分後には、300km/hの世界に入って行きました。広い大地です。ほぼ直線を走ると思っていましたが、結構、曲線もありました。

試験運転では、394.3km/hを計測したCRH3でしたが、この日の最高営業速度は、332km/hでした。帰国時にも乗車したCRH-300も335km/h走行でした。ネットでは、開業当初は、347km/hを出した様子が動画で出ていましたので、何らかの事情で、335km/h以下に走行するよう制限を受けていると思われます。

しかし、遅延なしの余裕の走行でした。京滬高速鉄道では、このシーメンス社製の車両が、主役となると報道されました。北京南駅で展示されていた上海虹橋駅のパースにも、発着する車両は、CRH3のみでした。

 

ちょっと残念な気がしますが、損得勘定にかけては、世界で最もたける中国人です。性能優秀で安いとなると、直ぐに方針を変更するでしょう。
30分はあっと言う間でした。車両視察は、天津でゆっくりと決めていたので、乗客が降りてからにしました。
車幅は、CRH2とほぼ同じ、天井の高さも十分あって、車内の快適さは、甲乙つけがたいのですが、デッキの内装は、九州新幹線と同様な木目調で、落ち着きがあります。

何と言っても、運転席後ろに特等席があるのは、鉄ちゃんには、大感激です。次回は、是非に、前方からの350km/h車窓を、味わってみたいと思いました。

座席は、半室食堂車が、テーブルを挟んでのお見合い席ですが、他の2等車は、CRH2と同様の回転式です。ピッチもまずまずですが、窓との間隔が合っていません。窓なし座席があるのは、欠点です。1番の問題点は、CRH1、CRH5と同様に狭いトイレです。専用洗面所もありません。

日本では、JR大阪駅の有料化粧室が、大ヒットになったり、どこかの大学にも少子化対策で、女性専用化粧室が完備されたりしています。勿論、女性対象の百貨店は、言うに及ばず最近は、飲食店等にも、化粧室に力を入れる所が多くなってきています。

行く度に街が変わっていく中国です。女性のファッションも大きく変わってきています。列車内の洗面所の設置は、大いに求められてくると思います。

京津城際鉄路は、その後、9月18日にも時刻改正が行われ、57往復に増発されました。途中駅の武清駅も開業されて、全列車の内6本が停車(所要時間;35分)するようになっています。専用線ではありませんが、天津から開発区の塘沽(所要時間;55分)まで、往路6本、復路4本が延長運転されています。また、深夜は、D列車ですが、北京南~天津西(所要時間;40分)、2往復が、新設されました。

10月の国慶節の際は、1週間前でも切符が買えないほどだったと聞きました。中国で初めての、高速旅客専用鉄路、京津城際鉄路の開業で、飛躍的に伸びた輸送力は、これからも益々の増発で、両都市の発展に大いに寄与できる事が、容易に予測できます。

そして、2年後に万博を迎える上海周辺にも高速鉄道網が建設中です。国家経済発展には、なくてはならない高速鉄道網の整備にようやく気付き始めた中国です。中国鉄路の益々の発展を願い、また見ていきたいと思う中国特派員です。 CRHの旅Ⅲへ続く

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