滋賀県県政資料室の歴史史料

昨年総本家青信号特派員さまからお誘いいただいて、「レイル」誌の「京都・大津の鉄道遺跡を訪ねる」の大津部分を担当させていただきました。以前から地元を歩いていろいろ調べてはいたのですが、所詮ネット頼みの調査で推測の部分も多く、今から思うと全く恥ずかしい内容となってしまいました。それと相前後していつもお世話になっている大津歴史博物館の学芸員の方から、滋賀県庁にある県政史料室には鉄道関係の資料もいっぱいあるよというお話を伺いました。ネットで調べてみると確かにいろんな資料がありました。ただ、閲覧には申請が必要で、一度にたくさんの資料は閲覧できないとのことでそのままになっていました。
先日、1月28日~4月25日まで湖都に伸びる軌道~京阪電車~という展示がこの史料室で開催されると新聞の片隅に載っていました。普段は申請が必要な歴史文書がほんの一部ですが見られるので早速行ってきました。
大津電車軌道の工事認可書、大津電車軌道の当初予定の線路平面図(立木観音近くまで延長計画があったもの)等貴重な資料が20点展示されています。これはすごいと帰って県政史料室のサイトを見てみました。
所蔵文書は明治期、大正期、昭和戦前、昭和戦後に大きく分けられ、その中が更に議会、財務、土木などに分類整理されていて運輸・通信という項目が目指す資料となります。

 

 

 

滋賀県政史料室ホームページ第72回図録より

 

 

県庁のある大津はほとんど戦災に合わず、大きな災害にも会わなかったため、明治以降の貴重な資料がたくさん残っています。鉄道関係では新路線の特許出願(軌道線は免許でなく特許というそうです)はもちろん、駅の新設廃止、開業許可、渡り線設置まであらゆることに認可が必要となるのでこれらを見れば今まで分からなかったいろんなことが明らかになりそうです。但し資料の数は膨大で、大正期の資料は運輸・通信関係だけで約3000項目、明治期に至っては10000以上もあります。まずは試しにリストの中から大正期以降の京阪大津線のものをピックアップして閲覧申請してみました。予想より早く2日後に閲覧許可が下りました。19日に県庁に赴き資料を閲覧、カメラ台や重しは準備されていて持参したカメラで自由に撮影ができます。何せボリュームが多いため内容は見ずに、とにかく関係する全部の資料を撮影しました。

 

 

滋賀県政史料室ホームページ第72回図録より

朝10時に行って昼食をはさんで16時半までかかっても申請した全部の資料が撮影できず、昨日もう一度出直してやっと撮り切りました。撮影枚数は全部で800枚あまり、これでもまだ狙う資料の1/3くらいでしょうか。但し、ざっと見ただけでも今までどこにも載っていなかった川口駅の場所と廃止された日、漣駅の図面、大橋堀駅、紺屋が関駅の正確な位置等、お宝満載の資料、今後これらの資料を読み解いてご紹介していきたいと思っています。

滋賀県県政資料室の歴史史料」への2件のフィードバック

  1. 「レイル」の時は、共同作業ならではの幅の広がりを感じながら、楽しく仕事をすることができました。県政史料館のことは、前にも聞かせてもらいましたが、明治期の鉄道史料が1万点とは、膨大な数ですね。ここで思い出すのは、湯口先輩の調査姿勢です。先輩は本・雑誌の情報、ましてやネットの情報は一切信用せず、一次資料のみに拘った方でした。そのため一週間も十日も、公共の史料保存先に通い続けて、筆記、複写を続けられたと聞いています。湯口さんの著作が高い評価を得ているのは、こんな地道な努力があったこそです。ぜひ、滋賀の知られざる鉄道史の掘り起こしをお願いします。“どこにも載っていない川口駅”はとくに興味をそそらされます。

    • 京阪大津線のことは以前から雑誌、ネットで調べていましたが、異なった記載がよくあってどれが真実かわかりませんでした。雑誌、ネットでは出典が明らかでないものが殆どで、真偽の確認ができず、やはり信頼できる公文書をたどるのが一番と実感しました。但し、内容が細かい点にまで及び、工事書類も内容の変更が多く、時系列で追って整理していかなければならないのは大変ですが、結構楽しんで作業させてもらっています。

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