個人・グループでも頑張ってます! 〈3〉

二人展「東北の鉄路‥‥」開催中

続いて、手前味噌ながら、いま開催中、山科人間国宝と当特派員の二人展「東北の鉄路 全盛時代を偲ぶ」写真展、その後の様子について報告します。ことし何度も行なった写真展と比べると、それほど多くの来場者はありませんが、その分、来場者とは濃密な時間を共有しています。人間国宝も、何度も会場に足を運んでいただき、来場者とも話をされ、その熱意には頭が下がります。
“二人展”と厚かましくも広言していますが、人間国宝の撮られた写真のレベルには、どう逆立ちしても、到達できるはずもありません。私としては、そのレベル差を埋めることはせず、むしろ二人の個性・作風を際立たせることを基本的な考えとしました。あえて正統派写真を避けて、私は一歩引いて人物絡みで見せることにしました。いわば変化球勝負です。
個々の写真の内容吟味はもちろんだが、今回は、写真以外に重視したのは、キャプションと並べ順だ。最近のプロの写真展を見ると、文字情報を極力抑えることが主流になっているように見受けられる。写真だけで作者の思いが伝われば、それでもいいだろう。でも、われわれには写真だけで伝えきれない思いがある。キャプションが大事なのだ。これに賛同していただいたのは、C62機関士として名高いUさんで、過去に何度も広島県から写真展に来ていただき、その感想を「第一印象は説明文が行き届いていること、予備知識のない人にも判るように、自分の思いも込めて簡潔にまとめるのは大変な努力が要ります。あちこちの写真展で物足りなさを覚えているだけに、うれしい展示会でした。」(河原町丸太町写真展)と、ご自身のブログに書いていただき、我が意を得たりだった。

去る日には、首都圏から著名な鉄道ファンにも来ていただき、関西在住者も参集して、懇談の場が持てた。人間国宝も撮影の苦労話も交えて、元気にスピーチしていただいた。

並べ順〈構成〉も大事です。構図の似たものは離すだけでも、流れに変化が付きます。主観だけでやりますから、決して正答はないものですが、漫然と並べるだけでなく、現場あわせで、写真の入れ換えを何度もして構成を考えました。

そして、忘れてならないのは、“アマチュアリズム”です。この世の中。カネさえあれば、何でもできます。でも、私たち単なる趣味でやっています。“たかが趣味、されど趣味”なのです。最近、趣味までプロ化しているのに憂慮しています。「カネは掛けない、しかし手間と心は込める」のアマチュアリズムを大事にして、再利用や手作りを大切にしました。写真展は、写真以外の要素も含んだ、総合展だとつくづく思います。

会場は喫茶店の一室、来場者といろいろコミュニケーションがとれる。コーヒーも出しますょ。▲▲チラシ、はがきも置いて、鑑賞の手助けを行なった。

今回も、アンケート用紙を置いたり、直接、感想を聞いたりしています。嬉しかった意見もあります。私の尊敬するHさんが、東京から来ていただき、「人物が決まっている」と言われました。この方は昭和の時代に絶賛を浴びた写真集を上梓された方で、その方も写真集制作の際、人物入りの写真が少ないのに気づき、人物中心の撮影だけに北海道へ渡ったと言いいます。「お互いに同じ時期ですなぁ」となって、ずいぶん意気投合したものでした。
もうひとつ、これも東京からわざわざ来ていただいたSさんで、「プリントがきれい。こんな写真展をしてみたい」とアンケートに答えていただきました。この方とは、ヘンな因縁(?)があり、ニアミスばかり繰り返していて、いまも世界を股に掛けた究極の鉄道写真を撮られている方です。

人間国宝からは、「この写真が、いちばん怖い思いをしました」と、笹川流れの蓬莱岩を望む写真が挙げられた。絶壁をよじ登ったものの、足を滑らせ、石段で思い切り身体を打ったものの転落を免れ、九死に一生を得たと言う(羽越本線)。

 

 

 

 

 

 

この写真を見て「なんで右側通行してるんや」と質問があった。ライトを点灯してこちらへ向かってくるのは、交換列車から切り離されて、反対列車に増結されるところで、決して右側通行しているのではない。少ない車両をやりくりするため、北海道などではよく見られた運用だった(北上線)。

京都新聞からも取材があり、リードが「同志社大学鉄道同好会OB会」から始まり、大いに会のPRもできました。

 個人・グループでも頑張ってます! 〈3〉」への7件のフィードバック

  1. ニアミス、恐縮です。会場にいらっしゃる時間にお伺いできず、申し訳ありませんでした。七条通りから市電の走る音が聞こえてきそうな2階の会場で、丁寧にプリントされ、またキャプションが付けられた佳作の数々を拝見、またまた勉強させていただきました!

    • 品川530さま
      さっそくのコメント、ありがとうございます。まさか、あの品川530さんが速攻で最下段までお読みいただき、コメントを頂戴するとは、よもや予想もしていませんでした。当日は、午後から会場に行き、お名前、アンケートも拝見しました。530さんとは、50年前からニアミスの繰り返しで、この日もお目にかかれることは叶いませんでしたが、私も530さんの活動チェックは、朝一番の習慣になっていますょ。会場には、同じM高校の後輩に当たる方もご来場され、ウワサ話をしていたところでした。それと、12月には、3月に市電展を行なった勘秀峰さんと、再び市電展を行ないます。ぜひ、関係者と集まる機会を持ちたいものですね。

  2. 人間国宝と次期人間国宝の東北に絞った写真展は見事です。作風がそれぞれ異なるのも良かったです。最近活動が連続しているのは凄いですね。ますますのご活躍を期待しております。

    • 準特急さま
      いつもコメント、ありがとうございます。作風は、あえて異なるようにしました。それこそ“二人展”の所以だと思ったからでした。連続して発表をして、気持ちをつねに緊張状態にすることが、この歳には大事だと思っています。いったん、休んでしまうと、もう元に戻すのが大変です。もうそろそろ、来年の計画に入ります。

  3. 今日もちょっとだけ会場を覗いてきました。日曜日は顔出しできず、その間に、多くの皆さまにご来場をいただいていること、芳名録で知りました。応対もできずに、失礼しました。写真展も今週土曜日で千秋楽、当日は、山科人間国宝も来場されて、最後の出迎えをいたします。

    • ほへほへさま
      遠路、写真展にお越しいただき、ありがとうございました。同席できず、申し訳ありませんでしたが、ご感想はいかがだったでしょうか。
      宇治のほうへも行かれましたか、同じ京阪沿線ですから、宇治と七条をセットにして来られる方が何人かおられましたよ。

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