ここ数年、台湾の鉄道にはまっているのですが、花東線電化前にもう一度と思い、ゴールデンウィーク真っ只中の5月2日から台湾に行く機会を得ました。
関西空港から桃園までLCCの往復でしたので、繁忙期にしては安く行くことができました。関西空港の第2ターミナルまでは、関西空港駅前からシャトルバスで向かいます。埋立地の果てにあるターミナルでまだまだ発展途上という印象を受けました。飛行機の胴体には人気アイドルタレントの顔写真が大きくプリントされてあります。その顔を拝みながら、久しぶりにタラップで飛行機に乗り込みます。LCCなので機内食も映画もありませんが、3時間に満たない飛行時間なので、全然不自由はありません。
台北からは23時30分発の莒光531次で高雄まで向かいます。高鉄ならほぼ同区間を1時間半足らずで走る時代ですが、週末だけとはいえ季節を問わず客車の夜行列車が残存しているのはありがたいことです。莒光号客車は、大きくリクライニングするので寝るのにも好都合です。正確にシートピッチを測ったことはありませんが、恐らくスロ54やサロ165などグリーン車とほぼ同等の仕様ではないでしょうか。
高雄に5時59分に着いて、7時発の自強112次で嘉義まで折り返します。この112次には吊掛式電車のEMU1200型が運用されており、日本では吊掛式電車がほぼ壊滅しましたので、吊掛フリークの私には、この吊掛式電車が特急に運用されているということだけで台湾に行き続ける値打ちがあるのです。
といってもこのEMU1200型、元は1986年から製造されたEMU200型を2002年から大改造した車両であり、JRの特急電車とも遜色のない仕様となっています。吊掛モーターの音も意識しなければ、車内では気にならない程度に遮音が効いていますので、かつての旧型国電とはかなり乗り味は違います。名鉄7300も固定窓、空調付でしたが、これもそんなに静粛でもなく、乗り心地もよくはなかったと記憶しております。近鉄18000も特急車両でしたが、これは私は乗ったことがないので比べようがありません。
嘉義からは、ナローゲージトロッコの蒜頭糖廠に行きます。ここへはアクセスがあまりよろしくなく、先ず嘉義から高鉄嘉義までBRTバスに乗り、高鉄嘉義からはタクシーで10分程です。嘉義から蒜頭糖廠の前を通過するバスもあるのですが本数は少なく時間もかかります。
蒜頭糖廠のトロッコは、工場跡の見学ガイドも含まれていて100元でした。ここの木造駅舎はローカル鉄道の懐かしい雰囲気があり、よい感じです。構内にさまざまな車両が保存してあるのですが、ディーゼルカーの巡導車は、事前に予約すればチャーターできるとのこと。またご一緒いただける方が、いらっしゃればぜひこの個性あふれる巡導車をチャーターしたいと思っております。
やはり行く前に危惧したとおり、バスがなかなか来ず難渋しました。交通量は結構あるのですが、流しのタクシーも走っておらず、効率的に動くためにはタクシーの予約をしておかないと厳しいと感じました。
もともとこの日のうちに烏樹林糖廠も行くつもりだったのですが、時間がなくなり、次回以降の宿題となりました。結局、彰化まで出て、吊掛式特急のEMU300型を撮影しました。朝乗ったEMU1200型より無骨ですが、いかつい幌枠のあるこのEMU300型の方が個人的には気に入っています。
次の日、5月4日は、「CK124木造站房巡禮1日遊」郵輪式列車に参加しました。これはCK124(C12)牽引列車で木造駅舎を巡る1日ツアーで、彰化を9時35分に出て海線に入り追分、日南、新埔、大山、談文の各木造駅舎の駅に停車した後、竹南を経て、山線の台中を経て彰化に戻るというものです。CK124はインド製客車の40TPK32200の4両を補機のE312電気機関車を従えゆっくりと進みます。
これが全行程690元で他に台鉄八角弁当が別に80元かかります。なお、このツアーにはTRパスは効きません。台鉄はこの種のクルーズトレインを頻繁に運行しており、6月7にも「臺鐵127周年CK124舊山線之旅」を催していました。舊山線も乗ったことがないので、機会があれば参加してみたいものです。
それにしても凄い人の数で、列車は座席指定でインド客車はシートピッチが狭いものの少なくとも自分の席が確保されているのでよいのですが、駅に着く度にこの列車を撮る(見る)人も押し寄せているので、木造駅舎をゆっくりと見るという雰囲気ではありません。人出が嫌なら効率は悪くとも普段の列車で乗って降りて巡るしかありません。とはいえ、これだけ効率よく海線の木造駅舎を見れることもそうそうないので素晴らしいチャンスだったと思います。日本でも最近は、木造の駅舎は脚光をあびていますが、戦前からの古い駅舎が駅員が配置されよく手入れも行き届いているのはいいことです。
台中からはプッシュプルのE1000型自強284次、台北からは18時40分発のDR3000型、自強246次で花蓮まで行き、駅前のいつも定宿にしているホテルに泊まり、明日の始発のDR2700型に備えます。
5月5日、花蓮5時47分始発のDR2700型の普快4676次で鳳林へ向かいます。DR2700型に乗る機会は、これで最後でしょう。車体もぼろぼろといってもいい状態で、シートを回転させようと動かすと、シートが台座から外れて、太ももをしたたかに痛撃しました。
雨の降りしきる中、鳳林からDR2800型の自強304次で玉里へ向かいます。今年の1月、訪問した時はまだ電化工事のさなかでしたが、試運転も終わったとかで電車はいつでも走れる状態になっています。花東線のDC特急の長大編成も過去のものになるのかと思うと残念です。ついついワンパターンの行動に陥るのですが、また太麻里で海をバックにDC自強号、客車の莒光号を撮りますが、雨が激しくなってきたので、旧型客車は駅で迎えることにしました。それにしても台湾は、ある意味雨とのつきあいです。必ず何割かは雨にあたります。日本のように数日続けてピーカンの空に恵まれることはまずありません。
太麻里から台東まで普快3671次、SPK32700の旧型客車3連に乗車し、台東で休憩です。台東でDR2700を待っていると、DR2700ではなく日本客車とインド客車の2連の客車列車の代行になっていました。どうやらDR2700は工場入りしている模様。台東16時6分発の普快4681次で玉里18時13分着に乗り、玉里18時28分発の普快4684次で台東19時56分発で折り返します。花東線は、南廻り線の海や山をバックにした雄大な景色とは違う、田園地帯の撮影も狙えるのですが残念ながら乗るだけで終わりそうです。
この後は、台北まで戻り、三貂嶺、大里、亀山での撮影を予定していたのですが、機材を出せないくらいの本降りが続きましたので、またEMU300型に乗車した後、高雄まで再度南下し、高雄港の鉄道故事館、彰化機務段を訪問し、山線の泰安駅で撮影した後、久しぶりに内湾線に赴きました。
後半はほぼ雨に悩まされましたが、次の機会には花東線電化で、南廻り線の旧型客車もどうなっているかわかりませんが、嘉義から烏樹林糖廠と阿里山鉄路に行ってみたいと考えています。
この時期は雨季になるのでしょうか、雨に泣かされるとは大変でしたね。でも紀行記を呼んでいますと私もまた訪台したくなってきました。
先日台湾に連れて行ってもらった朋友と飲み会をしましたら6月9日の鉄道記念日にも訪台されて撮って来たと、C57の写真を見せていただきました。ただD51の方は故障が発生してドック入りになったそうです。
旧型客車ですが、今回の時刻改正では生き残る事が出来たと話されていました。阿里山は秋には復旧しそうですのでまた行かないかとのお誘いを受けました。今のところ10~11月は予定が入っていないので一緒に行ってみようと思っています。その時には貴殿のような日南駅のカットも撮ってみたいと思っております。
ぶんしゅう様
コメントをいただきありがとうございます。
この1月には、高雄駅で失礼いたしました。台湾でも蒸気機関車が次々と動態復活しており目が離せません。次回は復旧した阿里山鉄道と烏樹林糖廠、旧型客車を狙いとして訪台したいと思います。
デカンショまつり号です。
5月の旅行は、ご一緒出来ず申し訳ございませんでした。
記事を拝見していて、ご一緒したかったなあ。とつくづく思いました。
旧型客車は、電化後も残ったようですね。
DR2700は、どうなったのでしょうか?ご存じでしたら、教えてください。
7/18~7/21で、新所沢都民さんと台湾行を画策しています。
旧型客車と荷物列車、南投火車好多節にあたれば、SLも撮影できたらと思っています。
今週末は、金曜日北斗星で上野を出発し、札幌滞在3時間で大阪行きトワイライトエクスプレスに乗り継ぎ夜行二連泊。日曜日は、直江津に戻って、ほくほく線・上越新幹線で帰京の予定です。
デカンショまつり号様
コメントをいただきありがとうございます。ご無沙汰しておりますが、相変わらず精力的に活動されているようで感服いたします。トワイライトは何としても時間を作って乗っておきたいと思っております。
台湾へは7月に行かれるとのこと。羨ましいことです。例年なら参加できるところなのですが残念です。花東線電化に伴う変化をリポートいただければ有り難いと思っています。日が合えば、また阿里山鉄路などご一緒できれば幸甚に存じます。