【94122】 50年前の撮影地を歩く -23- 宗谷本線編

名寄を発車すると、宗谷本線はいよいよ北辺の地へと入って行きます。宗谷本線名寄~稚内の平成28年の輸送密度は364人キロ/日で、昭和50年の1878人キロ/日と比べて五分の一に減少しました。営業係数は618、宗谷本線の開業以来、百年以上の鉄橋など土木構造物が多数あるほか、冬期の除雪費用、また豪雨災害も発生し、維持管理に莫大な費用が掛かる区間です。駅に関しても、一日平均の乗者数がゼロ人台の駅が多く、雪に埋もれた駅周辺は、生活感の感じられない光景が続いていました。
恩根内を通過する札幌発稚内行き「宗谷」、約40分の遅れとなり、対向列車に乗っていて特急通過駅が変更になった。恩根内は交換可能駅ながら、一日平均乗客はゼロ人台、予定外の駅で通過待ちとなり、秘境駅の様子を観察できた。

平成28年11月にJR北海道が発表した「当社単独では維持することが困難な線区について」が衝撃を呼んだ。線区別にランクに分けて、「輸送密度(片道)100人以下」に該当する留萌線の残存区間など3線は、一刻も早く鉄道事業から撤退すると示された。その上のランクの「輸送密度(片道)100~1000人」が、今回の宗谷本線名寄~稚内に当たる。「地域と相談し、鉄道をどうするか検討したい」としているが、注釈のなかで、この輸送密度なら、国鉄時代であれば特定地交線に指定され、原則、廃止対象の線区と断言している。
さらに平成29年12月には「線区データ」として、より具体的な数字を公表した。平日の特定日に、区間、種別、列車ごとに、実際の乗車人員(断面乗車)を調査したもの。これによると、名寄~稚内では、普通列車一本当たり、区間による最大乗車人員で、多いのが、10~20人で、私が実際に乗車した感覚と一致する。いっぽう特急列車は30~100人で、普通列車と比べて多い。終日の乗車人員(断面乗車)は、特急で400人程度、普通列車で15~60人、通学生が乗る名寄近くでも180人程度と極めて少ないのが現状である。

音威子府

音威子府はかつて天北線を分岐していた要衝駅で、機関庫やターンテーブルもあり、木材などの貨物積み出しも多かった。蒸機列車も停車時間を使って、火床整理に忙しかった。天北線の廃止後は中間駅となり、駅のある音威子府村も人口減少で、北海道でもっとも人口の少ない村となった。現在の一日平均乗車人員は42人に過ぎない。音威子府駅に停車する321レ、ここで40分近くの停車で、駅は天北線の乗換客もあって、駅は賑わいを見せていた(昭和46年3月)。

列車遅れのため、音威子府の停車時間は1分あまり、ホームに飛び降りて、辛うじて定点対比する。現在の駅には、人の気配は全く無い。駅舎のなかにある「黒いソバ」が食べられる立ち食いスタンドは有名だが、営業時間が短く、なかなか食べられないらしい。また天北線資料室も併設されている。到着した4326D、下車したのは、車上撮影していたNHKのクルー3人だけだった。音威子府駅に停車する小樽行き322レ、この時代、C55には補助灯がなく、十分な整備がされていた。駅の止まりの編成写真は、このように、先端がアウトカーブしていて、やや低い位置から狙うのが、いちばん絵になると思っている(昭和43年9月)。

音威子府駅の全景、二面三線の構造で、天北線も発着していた。跨線橋は変わっていないようだ。側線も多くあって、待機する貨物列車も編成が長く、沿線から多くの貨物積み出しがあったことが分かる。貨物列車の先頭に立つD51

322レは音威子府に14分停車のあと、発車して行った。この日は、お召し列車が運転される日で、鉄鈍爺さん、ぶんしゅうさん(だったと思う)と、音威子府駅前からヒッチハイクして、手塩川沿いにお召し撮影に向かった(昭和43年9月)。

跨線橋から旭川方を見る。左手に機関庫も見え、人家も多く見られる(昭和46年3月)。

昭和43年9月撮影の322レを同じ位置から、その3年後に撮ったシーン。この頃になると、北海道のカマはすべて補助灯つきとなっていた。

たっぷりある時間を利用して駅のはずれまで歩き、322レの走りをとらえる。自然いっぱいのところだが、すぐ向こうが駅の構内、手軽に好適地に行けるのも、北海道の魅力でもある。

 

 

 50年前の撮影地を歩く -23- 宗谷本線編” への9件のコメント

  1. 種々詳しいデータによりご説明して頂き、現在の寂れようを実体験した感覚の裏付けがよく理解できました。こうして写真を見たり、実際に乗車したりすると余りの寂れ方にもう言葉も出て来きませんね。最近ではローカル列車による鉄道旅を楽しむことすらままならぬ状況に追い込まれつつあるように感じます。
    目下は三江線の廃止が話題ですが、JRとして民営化した以上、事業者が不採算を理由に廃止するのはやむを得ないと思います。三江線のケースはまだどうにかならないかという思いもないではありませんが、北海道の場合は人口激減という側面もあり、さらに根っこが深いですね。ありていにいえば寂しいことですが、鉄道存続の意味がなくなりつつあるという典型例でしょうか。
    以前にも申したかと思いますが、JR化は間違っていなかったものの、想定外の状況に対して北海道社だけが悲鳴を上げ、国や地方更には肝心の政治が対症療法に明け暮れ、抜本的な対策を取らないのではどうしようもないですね。単に過疎化や交通網整備云々の話ではなく、国土経営という政治の根幹に関わる話だと思いますが、この問題は矮小化されたままのようです。

    • 1900生さま
      コメント、ありがとうございます。久しぶりに現地へ行って、改めてJR北海道の極端ぶりを感じました。東京・大阪と変わらない札幌都市圏の稠密ぶり、そこから2時間も列車に乗ると、北海道の疲弊が見えてきます。何もJR北海道の無策が招いたものではなく、国や自治体の自動車優先施策、公共交通への無理解から生じたものにほかなりませんね。

  2. 総本家青信号特派員様
    今回も1900生さんのコメントと同じ感じで見ました。カーリング女子など北見や北海道に元気を与えてくれたと喜んでいましたが、現実に振り返ると北海道は札幌近郊を除き超過疎地域で鉄道経営は無理です。今さらと思いますが、例えばJR東に経営を委ねてはと思うこともあります。ところで新旧対比写真は大変興味深く見ておりますが、列車の遅れやダイヤ上の問題もあり充分に撮影時間がなかった様子もよくわかります。今回も古い写真やネガを持参されたのでしょうか。

    • 準特急さま
      新旧対比ですが、今回は、古い写真を持参して、できるだけ性格に対比しようとしましたが、なにせ深い雪に阻まれて対比地点に到達できないケースもあり、なかなか難しいものでした。しかし漫然と撮影するのでは無く、新旧対比という目的をもって撮影することは大事なことだと改めて思いました。

  3. 音威子府駅で降りてお召列車の撮影に向かったのは私で間違いありません。あの頃お召が走ると駅にはたくさんのお年寄りが国旗をかざして迎えておられました。昨年も行きましたが賑わった頃の面影を見る事はできませんでした。

    • ぶんしゅうさま
      やはりご一緒でしたか。当日は稚内へ向けてDE10重連のお召し列車が運転された日で、駅も送迎の人たちで賑わっていました。ヒッチハイクして、音威子府~筬島の天塩川の対岸で撮影しましたね。帰りもヒッチハイクしましたが、近くの学校の先生のクルマに乗せてもらい、その学校で、井戸水を飲ませてもらいました。カンカン照りの暑い日で、水の冷たさたさが今でも忘れられません。

  4. 今月末27日~30日にpeachで北海道にいく予定です。
    JR北海道のHPに「peachきた北海道フリーパス」(4日間通用、特急可で12,500円)というのを見つけて、衝動的に呑み鉄で一人また稚内に行く気になったものです。
    (peachの搭乗券を見せて新千歳空港駅でしか売ってない切符です)
    私は基本、各停しか乗りませんから18切符でもいいんですが、もしものことを考えて、あまり値段の差もないので特急利用可の保険付きにしました。
    peach、一昨日にネットで予約して購入しました。往路(関空~新千歳)8740円、復路7690円、これくらいなら行ってもいいかと思って買ったのですが、ところが今日見たら往路が12000円、復路が9150円(その差、4720円)。LCCのマーケティングってどうなっているんでしょうかねぇ~!?
    多分、当日の当該便が満席になるまで、これからも頻繁に値段を変えていくんでしょうなぁ~!
    (LCCのチケットって、いつ買うのがいいのか非常に悩ましい・・・)
    肝心の話から逸れてすんまへん!

    • 無印不良品さま
      はい、私もピーチ+きた北海道フリーパスで行ってきました。4日で12500円ですから激安です。ピーチの価格のカラクリ、私も同じ経験をしました。最初は6000円台だったものが、躊躇しているうちに9000円台になりました。公表はされていないのですが、だいたい3週間前の前後に、価格の見直しがあるようです。残数が少ない便ほど、ハネ上がりますし、逆に値が変わらない便もありました。ですので、一ヵ月前予約で、前後の曜日も値段比較して予約されるのが確実かと思います。ただ、シンプルピーチは、予約後の変更がいっさいできませんから、悩ましいところですね。

  5. 無印不良品さま 総本家青信号特派員さま
    やはりピーチですか。その「peachきた北海道フリーパス」はここ1~2年くらい前に設定され、中々リーズナブルな料金で使い勝手もいいようなので小生も利用を考えたことがありました。しかしピーチに限らずLCCは荷物が多く窓際席を指定したい小生にとってはどんどん基本運賃から値上がりするなど、何かと使い勝手が悪いため結局敬遠しています。その代わりANAで1万円位の便を探していますが、これも以前はLCCの荷物預け+座席指定料金に数千円の上積みで済んだものが、昨今は5千円強高くなってきています。そのため予約変更不可の不自由さは両者一緒ながら、遅れの多さやターミナルの不便さを避けて、フルサービス(とエアラインは言うが最近はサービスがLCCに限りなく近づいている)キャリアを選択してしまっていますね。運賃は残席予測に基づいて決めているようです。通常なら大概の値段は「早い方が安い」のが常識ですが、この残席予測システムは中々わかりません。早く買うと過去の実績に基づいた運賃になり、競合LCCの参入や撤退などの条件やその路線特有の予約状況によっては安いのか高いのか、結局わかりません。その点フルサービスキャリアは残席予測とは言っていますが、それは搭乗日近くになってからのことで、これまでの経験では早いに越したことはないというのが小生の結論です。
    無印不良品さま、3月も末だと天候も落ち着くでしょう。首尾よくご無事で目的を達せられるよう祈念しております。何かありましても決してざまあみろとは申しませんので、是非雪の宗谷本線のレポートをよろしくお願いします。
    話題につられてほとんど鉄分の無い話に終始してしまいました。

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