福岡・北九州 路面電車 いま・むかし 〔3〕

西新

福岡市内線の今昔を撮影するなかで、もう一ヵ所、どうしても行きたいところがあって、高速バス発車までの約30分を利用して、急いで地下鉄で向かってみることにした。
60210 018syその場所は、天神から地下鉄で西へ4駅目の「西新」である。市内線時代は、貫線から城南線を分岐していた結節点だった。気になったのは、背後の煉瓦建築だった。私は近代建築にも興味があったので、当時から車両と絡めて撮るようにしていた。と言っても予備知識は乏しいから、たまたま見つけた場合だけだ。当時、建物は無人の様子だったが、戦前は、市内線の前身となる福博電車の本社であり、昭和17年に多くの私鉄を統合してできた西日本鉄道の初代の本社としても引き続き使われていた、西鉄にとっては由緒ある建物だった。

続きを読む

 福岡・北九州 路面電車 いま・むかし 〔2〕

天神

博多駅前からブラブラ歩きながら、天神まで来た。商業施設が高度に集積した、九州最大の繁華街も、昭和50年までは、貫線・環状線が交差する福岡市内線の要衝だった。
60210 020sy_R当時の天神のシンボルが、背後に見える岩田屋百貨店で、その南隣は西鉄福岡駅と接していて、改札口と岩田屋2階がつながっていた。九州初のターミナルデパートだった。貫線の西新行きが天神交差点を渡って行くところ。その後、西鉄の天神ソラリア計画により、交差点から南下したソラリアターミナルビルのなかに福岡駅、バスターミナルが入り、この場所はパルコが入店した。いま見ると建物外装が違い、新築のように見えるが、中身は当時のままである。写真では、機動隊、パトカーに囲まれて行進するデモ隊が見える。昭和47年の浅間山荘事件後は、学生運動も下火になって、我々の現役時代と比べると、行進もずいぶんおとなしくなっていた。

続きを読む