神谷武志企画のテレマカシーツアー 第3日目 8月6日 2の1
今日の午前中は、昨日に引き続きパンガ製糖工場での撮影、午後からはスンバルハルジョ製糖工場へと向かいます。
▲ 朝は6時にホテルのレストランに集合して、朝食はインドネシア風のバイキングです。お粥やスープもありましたので、ガッチリと食べました。
▲ お食事中に話題になったのは、部屋の天井の矢印と、カーテンボックス上にお菓子の袋が放置してあるとの事でした。矢印は、イスラム教徒の多いインドネシアですので、メッカの方角を指している”キブラ”と分かりましたが、お菓子の袋が分かりませんでした。食事の後で見てみるとありました。芳香剤です。思わぬ所に置いてあるので間違いますね。
▲ 7:26、昨日同様に工場前の踏切からの撮影開始です。2号機が回送されてきました。
集積場ヤードでは、丹念にポイントやレールぎわに落ちたサトウキビを取り除いて燃やしています。シュガートレインは、ローリーの脱線が多発するほど、上下左右の揺れが大きく、積んだサトウキビを落下させながら走っていきます。レール上に覆いかぶったサトウキビを踏みながら走りますが、ポイント部分では、重いSLでも脱線しますので、取り除かなければなりません。
▲ 今朝はまだサトウキビを運搬するトラックの到着が遅いのか、ローリーへの積み替えが進まず、発車はまだのようです。
猛者軍団もSLが走らないので、ゆっくりと時が来るのを待ちます。
▲ SLの牽引するシュガートレイン撮影が目的でしたが、DLも年代物の珍しい機関車が多く、これを見るのも楽しみでした。日本に走っていましたら、SL同様に追い掛け回されるヨダレの出る、車両です。
7:46、次はDL12号機が空車を牽引してきました。
1950年、ドイツSCHOEMAの製造です。
【広田尚敬先生の撮影のお姿】
注目の巨匠 広田先生撮影のお姿です。私のような、汚れたら捨てればいいやと着古した格好ではなく、さりげなくブランド物で決められ、頭には麦わら帽子がお似合いです。
そして、ビデオを向けられる方向は、我々とは違っています。そのお顔には、お食事時などに見せられる温厚さではなく、何かを見い出そうとする集中した鋭い視線が見えました。ストーリーを考えての撮影と思われますが、熟達されたプロはやはり違うと、思わずにおられませんでした。
ビデオ撮影の後は、デジカメで押さえなのでしょうか、お撮りになられます。
猛者軍団もその姿、カメラ目線を追いかけて、後方から見つめます。どんなカットを撮られたのか、ビデオも含めて、発売されたら是非に見てみたいですね。
1935年のお生まれですから、今年で77歳になられます。私とは13歳も違いますのにお元気そのものです。熱い所は苦手などと言っていた、自分が恥ずかしくなりました。
先生は、普段はお一人での撮影旅行だそうで、多人数で行かれることは、稀だそうです。インドネシアは、以外や初めての訪問と言われました。今回の参加は、親しい神谷さんがお誘いしての自費参加で、 我々にとっては大変勉強になる恵まれた光栄なツアーでした。神谷隊長に感謝、感謝です。
先生のプログです。今回のインドネシア紀行についても載せておられますので、ご覧ください。
鉄道写真.COM http://tetsudoshashin.com/naotaka/index.html
▲ 昨日は工場ヤードで入替作業だった9号機。こうやって森林の中に入ると林鉄のようでもあります。
▲ ローリー輸送から戻ってきた2号機と並んでのツーショット、これから2両をチャーターします。O氏からの希望は、工場横の複線区間を満載ローリーを牽引しての併走です。無茶な注文です。果たして、通常運行を止めて、こんな事ができるのかと思っていました。
▲ 集積場に戻ってみますと、2号機、9号機も来まして、DL12号機と並んで、満載ローリーの連結作業開始です。
▲ 9:26、O氏の要望がかなえられて、約300mの上り下り直線区間を使っての併走が実現しました。しかし、8人もの撮影隊ですので、撮る位置はバラバラになります。
こんな時は、前の方から後ろの方へと邪魔にならないかを確認しますが、長い直線区間ですと、どうしても入ってしまいます。いわゆる友情出演です。前の方が撮ってから、隠すか隠れてもらって後ろが撮ることになりました。
▲ 2列車も併走しますと、ローリーからはみ出したサトウキビが地面を擦って、もうもうと砂埃をたてながら走ってきます。中々頭を並べて一緒に走るのは難しいそうですが、見事に決まりました。
【O氏の経験談】
併走は過去に、やらせでなくてホンモノを実際に見たことがあります。ここは13時~14時頃が昼休みで、全機関車は機関庫に集結します。初めての訪問時では、5両並びが見られました。それがDLが増えるに連れて、4両、3両と減ってきました。それはさておき、昼休みが終わる頃になると、積み替え所には積み込んだローリーがたくさん溜まっています。これを一掃するために14時直後には、併走と続行運転はほぼ確実に見られました。しかし、DLが増えるに連れて、SL+SLの併走のチャンスは激減しました。
併走のご要望を出された時は、SL+SLは無理だろう、せめてSL+DLぐらいは実現してもらいたいとのことでしたが、予想外の展開に大喜びされておられるとおもいましたが、
今回の併走は、連結したローリー数が少ないためか空転と砂まきのない走行でした。だから、両者の速度も一致できたのだと思います。
ビデオの音が少し控えめになってしまいましたが、スチール撮影には完璧だったと思います。やらせでない本物を見たときは、空転しながらでした。空転の場所もだいたいですが分かっていたので、今回、あの位置にカメラを構えたのです。でも、この企画に感謝です。
工場の門を入ってくるショットの友情出演のお一人は、O氏です。三脚にビデオを据えて、カメラはNikonD300と新たにD800を追加されて磐石の態勢での撮影をされていました。
何回も訪問されている撮影地です。 初めての私には感動的でもありましたが、経験者は、より以上も求められますね。
▲ 予定より手前に止まったのは、前のトレインが残していったローリーが原因でした。人力で押して、再び並んでのツーショット、既に後方では続行するシュガートレインがお待ちです。我々の撮影のために作業が止まっていますが、迷惑そうな顔など見せません。
この右上のショットについても、O氏は、
小生も当初、連結器がはずれてそのまま残されたローリーと思いましたが、今は別の可能性もあるのでは、と思っています。理由は、積載量が少なすぎることです。線路脇に落ちていたサトウキビを集めて積んだ状態の可能性もあると思っています。取り残されたより可能性が高いように感じます。
と、述べられています。確かにシュガートレインが走る場所には、特にポイント部分やカーブ等の線路状態が悪い所では、ローリーの振動が激しく、その度に積載されたサトウキビが落ちまくります。これを拾う係もいますので、時折、空ローリーを押して拾ったサトウキビを載せていきました。これを追いかけていませんので確定はできませんが、可能性は高いですね。
滞在中にこういった状況は何度もありましたが 、いつも協力的で笑顔で対応していただきました。赤道直下の環境がこの国の人々のおおらかな性格を形成しているのでしょうか。
タイは、”微笑みの国”と呼ばれていますが、インドネシアは、”笑顔の国”ですね。前のトレインが残したローリーは押して進みます。
面白かったのは、古レールを運搬するトラックです。日本では荷台からはみ出した時は、紅い布を付ける事が義務付けられていますが、ここでは大きな葉っぱです。
▲ 反対線路を走行していた9号機牽引トレインは、ここでポイントを渡って、計量所へと向かいます。続いてDL牽引のトレインが行きます。
10:06、パンガ製糖工場での撮影は終りました。次の訪問地は、スンベルハルジョ製糖工場です。