第3日目 7月29日 スンバルハルジョ製糖工場 その2
▲ 集団での稲刈りを終えて帰宅される途中のおばちゃま軍団。子供たちに負けずと笑顔の歓迎です。親も子供も笑顔がいっぱいの国、それがインドネシアです。
▲ ピンク色が、今日我々が指令所からサトウキビの伐採場までロケハンと撮影で動き回った軌跡です。黄色がシュガートレインが走る鉄路です。かつてはもっとあったそうですが、運搬がトラックに代わって廃線になっています。GPSロガーを携帯されておられますO氏から提供していただいております。
14:30、昼食後、どんよりとしていた空も少し晴れてきて夕陽が期待できそうです。皆さんと相談した結果、夕陽の撮影スポットはBARONと決まりました。ただここにはDL8号機とDL9号機が既に行っておりますので、改めてSL10号機をチャーターして向かうことになりました。
指令所に行ってみますとSL10号機はBARONへと向かった後で急いで追いかけて途中からテンダーに乗り込みました。すると運転手からは、「運河沿いの本線走行は問題ないが、本線を分岐してから伐採場へと向かう支線の軌道状態が今年は悪い。昨年撮った最高の場所まで行くことはできない。どうしますか。」と、思わぬ申し出がありました。
今年は雨が多かったのか昨年と比べて蒸し暑く感じていました。路盤が柔らかくなっていて重量のある蒸気機関車走行には耐えられないようです。しかし本線では夕陽をバックに撮影できません。それでは少しだけでも支線に入線して夕陽がバックになるようにして欲しいと妥協案を出しました。運転手からは少しならOKだろうと了解が得られました。、
▲ 15:19、冒頭で紹介しましたBARONへと向かう道中でお会いしたおばちゃま軍団。
旦那さんはサトウキビ工場へ、おばちゃまたちは田んぼへと行かれるのが役目なのでしょうか。
それにしても皆さん笑顔で元気のよい方ばかりです。
こちらはピンクの三角帽子に同じピンクの上着と紫のストール衣装のファッショナブルなおばあさん。
背中にしょった米を入れるズタ袋には新米が入っているのでしょうか。昔よく見た日本の農民さんと違って皆さん、衣装はとてもカラフルだったのが印象的です。
▲ 15:28、本線から支線への分岐点でSL10号機を降りて、伐採場へは徒歩で向かいます。左側は昨年、サトウキビ畑でしたが今年は青々と稲穂が伸びてます。サトウキビは3年に1度の収穫です。稲作は1年に2回の収穫ができます。現金収入を考えると米を作った方が良いと考えるのは誰にも分かります。
【 砂糖生産国も輸入国のインドネシア 】
それでもインドネシアのサトウキビ生産量は2009/10年では前年比6.8%増に達しています。砂糖の需要は大きく価格も高騰していますが、実は310万㌧の生産量に対して、国内の消費量は約90%を占める家庭用が人口増加、そして食品・飲料部門からの需要増により、530万㌧と生産を大きく上回り世界第4位の輸入国となっています。主な輸入国はタイです。
これもご同行しておられる方からお聞きしました。O氏と並び最年長な私ですが如何に不勉強だったのかと思い知らされました。(参考資料はこちらです。)
上の写真には、重い業務用プロVTR機とがっちりした三脚を背負って歩かれるIMさんの後ろ姿が写っています。前回W田さんが20㎏以上の機材を背負って挑まれているのにも驚かせられましたがそれにも勝ります。さすが汗びっしょりになられたのか現場到着後はシャツを脱いで長年愛用されている三脚に干しておどけたお姿で我々を和らげてくださいました。
夕刻近くとはいえ気温は32℃です。求める映像に向かっての鉄ちゃんは体力勝負でもあると改めて知りました。一眼レフ一台でも持つのに苦労しています私にはとても真似のできないことです。
かつて学生時代はカニ族で20㌔以上のキスリングを背負いアルミバックや三脚も持って、約20km以上もあるサロベツ原野等々を歩き回ったものですが、今は老いてもう無理です。若いってことは素晴らしいですね。
▲ 16:23、本線から離れた伐採場へと敷設された仮設軌道を走行して、満載ローリー2両編成を牽引して水牛重連の1番列車がやって来ました。
▲ DLのいるところまで牽引してからは回送で伐採場へと戻ります。この運転手さんはバケツを頭に被っておられます。日差しを避けるためなのでしょうが、蒸せてかえって暑いでしょうね。無事に1便到着でした。
▲ 16:46、続いて2番列車が向かってきましたが、これが難儀です。牛力不足か脱線発生か途中のカーブで止まってしまい進めません。3番列車以降が渋滞しています。すると急遽、牛力を上げるために前補機を連結しての4重連で難所をクリアしました。
▲ 16:52、その後の3番列車は上手くいくかと思いましたが 2番列車と同じようにカーブを回ってからは途中往生です。これも4重連になりました。
▲ 4重連ですので総括制御ができません。運転手さん2人が気を合わせて本線へと向かいますが水牛君が時折方向を外します。水牛牽引列車の運転は年季の入った運転手をもってしても大変難しいようです。
▲ 16:55、日没は17:35過ぎです。辺りは紅く染まってくる中を4重連撮影に猛者軍団も頑張ります。
▲ 16:56、役目を終えて次の運用に戻る前補機。ご苦労様です。
▲ 16:56、発車した4番列車の本務機は調子が良いようです。補機なしで車体を傾けての力闘を続けて本線への上り勾配を駆け上がってきました。
▲ 17:07、8両編成のシュガートレイン編成が用意できました。
アリフさんはSL撮影準備のために分岐点に待機しているSL10号機へと走ります。
まずは満載ローリーを蒸気機関車が牽引できる場所まで移動させなければいけません。
▲ 17:18、DL9号機に我々が希望する場所まで満載ローリーを牽引していただきました。分岐点のスイッチバックを使ってSL10号機と入れ替えます。
▲ 17:31、蒸気機関車がギリギリ入線できる位置まで来てもらいましたが、夕陽が沈むのは真後ろではなく右後方でした。
夕陽は一旦雲中に入りましたが顔をのぞかせてくれました。
夕焼けにぴったりの鳥も飛んで熱帯の夜が近づいてきます。
▲ 17:55、夕闇寸前の中、本線に列車を進行させての最初の夜撮ですが、花火が飛ばず、また空が明るくて花火は見えずで撮っただけでした。
【DATA】 NIKON D800E
VR28-300㎜、32㎜、
絞り F.5.6、1/125秒、-0.3段、AF-C、3D-トラッキング、
手ブレ補正ON、ISO6400、手持ち撮影
▲ 夕闇がおりてからは全く明かりがない場所です。ここで活躍したのがこれに備えて用意した5Wの強力ヘッドライトです。ホームセンターで売っているのはせいぜい1W程度でぼんやりと照らすだけでさして役に立ちませんが、5WをMさんのアルミバックに固定して10号機に向けて照らすと見事に前面を輝かせてくれました。これならピントはライブビューにしての手動合わせの必要はありません。レンズのオートフォーカス機能が使えます。
【DATA】 カメラ・レンズ同様、70㎜、絞り F7.1、3秒露光、-0.3段、AF-C、手ブレ補正ON、ISO560、マニュアル三脚固定撮影
▲ 18:25、焦点距離 70→82㎜、絞り F7.1→F8、露光時間 3秒→30秒、ISO感度 560→100へと変えて撮影してみました。
【DATA】 カメラ・レンズ同様、82㎜、F8、30秒露光、-0.3段、AF-C、手ブレ補正ON、ISO100、マニュアル三脚固定撮影
この他に露出、シャッタースピード(露光時間)、ISO感度を変えて30カットを撮りました
花火撮影は蒸気機関車から出る火の粉によっても違いますがシャッタースピードが最も肝心です。
左は1/10で撮りましたので花火はヘナヘナです。
どんなふうに撮れたのかは、シャッターが下りるたびにモニターで確認します。そして最適な設定を選んでいくかが難しいところです。
今回はまずまず成功でした。
▲ 19:22、続いての夜撮撮影地は集落の鉄橋です。道路との踏切がありますのでチャーター車のライトをアッパーにしてもらって蒸気機関車の側面に光を当てての撮影です。勿論5Wのヘッドライトは蒸気機関車の前面に当たるようにしました。
昨年はこのバックの伐採が済んだサトウキビ畑が野焼していましたので中々でしたが今年は稲田に代わっていましたので真っ暗です。
カメラは三脚に固定し、まずレンズのオートフォーカスは作動しないだろうと全てマニュアルにして置きピンで、連続シャッターなら1枚は合うだろうと焦点距離は35㎜で固定し、シャッタースピード1/30で挑みました。ISOは6400です。
蒸気機関車の姿が見えだしてからシャッターを23枚も切りましたがピッタリとピントが合ったカットは残念ながらありません。期待した花火もヘナヘナでした。カメラのセッテングも肝心ですが、条件が恵まれないと写真にはなりませんね。夜撮の花火はとてもハードルが高いと改めて実感しました。
この後、3回目の夜撮をしようと指令所近くのカーブで待ち受けましたが前に走っている列車が脱線していて撮影はできません。復旧を待ちましたが見通しがつかずとなり諦めることにしました。
▲ 22:00、今夜の夕食も中華料理屋さんです。おかみさんはまたも満身の笑顔でお迎えしてくださいました。我々だけの貸切宴会でした。
明日も撮影地はスンバルハルジョ製糖工場です。夜撮はKESEMENと決まりました。 Part5へ続く