残るは芸備線のみ

7月の豪雨災害から4ケ月が経過し、中国地方のJR不通区間は予定より少しずつ繰り上げて 順次開通してきました。残るは3線区ですが、呉線、福塩北線、芸備線北部は年内に全通予定と報じられました。あとは鉄橋が流された芸備線狩留家・三次間が来年秋頃となりました。

平成30年11月10日 中国新聞朝刊

呉線三原口は12月15日に開通予定です。瀬戸内海を眺めながら進む風光明媚な区間なのですが、海を見下ろす山の斜面を走るような区間が多く、今までも少し雨が降ると土砂流入を警戒して「制限15」の区間が出現していました。今回の豪雨ではそんな箇所の路盤が崩れたり、トンネル内に土砂が流れ込んだりとさんざんで、不通期間が長くなっています。安芸幸崎・忠海間には海の護岸ー線路ー山という 並走する道路が無い区間があり、軌陸車が活躍する場面が多かったようです。忠海駅にはクモハ105-11+クハ104-11がパンタを下ろして4ケ月を過ごしています。

平成30年11月6日 忠海駅で4ケ月を過ごしているクハ104-11+クモハ105-11

不通区間には代行バスが運行されています。この夏は普段は見かけることがない、全国各地のバスを見ることができました。関西では京阪バス、京都バス、奈良交通、神姫バス、全但交通、帝産観光などです。最近、呉線の代行バスにJR北海道バスを見て思わずシャッターを切りました。へたくそなアングルですみません。

平成30年11月5日 三原駅前近くを走る JR北海道から出稼ぎに来ている呉線代行バス

実は最近、地元のバス会社 芸陽バスの運行管理部門の方と話をする機会があって、代行バスのことが話題になりました。「全国から応援が来ていますね」と話を向けると「こんな時こそ地元のバス会社ががんばらねばならないのに、悔しい思いをしています」とのこと。要するに 車両の方は代行バスに振り向けられるだけの台数に余裕はあるのに、乗務員が確保できないため 地元に貢献できず悔しいのです」と。地方の路線バス会社は大半の路線が大赤字のため、生活路線確保のため国、県、市から補助金をもらって運行を続けて、会社が成り立っています。「そんなわけで、税金で成り立っている会社の運転手の給料を世間並み、あるいはそれ以上に上げるわけにもゆかず・・・その結果大型2種免許を持った運転手が集まらず、いざというときにお手伝いができないのです」と嘆いておられました。

ということは全国から応援に駆けつけているバスの運転手さんは長期出張のかたちで来られているのでしょう。従って余り長期間というわけにもゆかず、数週間で次々といろんなバス会社と交代していっている構図を見た気がしました。

代行バスと同様に、あるいはそれ以上に目立つのが出稼ぎダンプカーです。当地では沼田川(ぬたがわ)の支流が大氾濫して甚大な被害が出たのですが、永年本流である沼田川の浚渫や河川敷の木の伐採を怠ってきたため、支流からの水が流れず溢水したとされ、国庫からの補助金が認められたとあって、大浚渫工事が進められていて、景色が一変するほどです。そこで活躍しているのがダンプカーです。関東圏はオリンピック関連の土木工事が多いのか、八戸、新潟など主に北日本のナンバーが多いように見受けられます。

平成30年8月24日 沼田川沿線はダンプ街道

平成28年7月19日 三原市本郷町船木の沼田川河畔

平成30年10月3日 同地点 永年暮らしていて 初めて見る風景

多分東北の地震や津波の復旧工事の際もこんな状況だったのだろうと改めて実感しました。代行バスもダンプカーもそうですが、余裕があるところが困っている所を助けるというのは当然の姿でしょうから、今回の災害にからめていろいろなことを考えさされました。脱線話が長く 失礼しました。

残るは芸備線のみ」への1件のフィードバック

  1. 西村さん
    じつはこういう話こそが聞きたい、見たい話です。
    よくぞ取材してくださいました。

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