韓国の観光列車(続)

ムグンファ号 ソウル駅 2019.4.30

4月30日火曜日、この日の主目的は、OトレインとVトレインに乗ることです。中部内陸循環列車、Oトレインは、韓国の中部内陸圏である江原道、忠清北道、慶尚北道の3つの地域を1つに結ぶことから「One」の頭文字をとってOトレインというのだそうで、月曜日を除く毎日、ソウルを出て京釜線、忠北線、中央線を経由して嶺東線の鉄岩まで1往復している観光特急です。白頭山から智異山まで続く韓半島で最も大きく長い山脈の美しい四季をモチーフに特急電車ヌリロ号200000型を改造した4両編成の電車で、内部は一般室、カップルルーム、家族席、展望席といったさまざまなテーマの座席とカフェもあると、これは楽しみです。

Oトレイン 汾川 2019.4.30

Oトレイン これも指定席。回転はしますが、リクライニングはしません。 2019.4.30

Oトレイン 4人シート 2019.4.30

Oトレイン カップルルーム 2019.4.30

Oトレイン 一般席 2019.4.30

ソウルを朝の8時20分に出て、終点の鐵岩(チェオラム)には14時18分に到着しますが、手前の汾川(ブンチョン)で降りることにしています。
私の席は、クロ151パーラーカー風のシートで、自在にくるくる回転する座席でした。叡山電車のきららのように窓かぶりつきでテーブルもついています。
Oトレインは、案内放送(あったとしても全く解らないが)も発車ベルもなく、定刻どおりにソウルを出発します。観光列車かとさぞ車内は騒々しいのか、思いきや私の隣はネズミ色スーツのお兄さんで、窓に向いたテーブルにノートパソコンを置き、仕事をしだしました。他の座席も、静かで区間利用もかなりあるようです。2号車の3分の1は、ビュッフェのようになっていたのですが、商売っ気のないお兄さんが店番しているだけで、食べ物、飲み物を売る気配はありませんでした。Oトレインを知るきっかけになった本には、発車してしばらくして酒盛りが始まってにぎやかに、と書かれていましたが、だいぶ様子が違い、ビジネス特急のようです。これが土日なら違ったのかも知れません。まあ、いろいろな利用形態が定着しているのなら、それも親しまれているといえるでしょう。

8000型電気機関車 堤川 2019.4.30

貨物列車とすれ違う 新鋭の8500型電気機関車 汾川 2019.4.30

京釜線から忠北線に入っても、結構ビルや集合住宅が見られる都会の景色が続きます。中央線と交差する堤川で、1972年の中央線電化の際に導入されたフランス製の8000型電気機関車が休んでいました。置き換えが進行しているのか、今回動いている車を見ることはありませんでした。栄州(ヨンジュ)から嶺東線に入るとトンネルの多い山岳路線の様相を呈してきました。ソウルを出てから5時間半、結局ビュッフェコーナーは営業していない様子のままでした。ソウルの駅でよく焼肉弁当を買っておいてよかったと思いました。あと1時間ほど乗れば終点の鉄岩なのですが、汾川でOトレインを見送ります。ここから鉄岩までは、Vトレインに乗り換えるのです。
Vトレインは、白頭大幹峡谷列車といい、Valley(峡谷)の頭文字からをVトレインというだそう。鉄岩、慶尚北道汾川など嶺東線の峡谷に沿って走る列車で、峡谷の風景を満喫できるよう車両の側面が全面ガラス張りになっています。両元(ヤンウォン)駅と承富(スンブ)駅では5~10分ほど停車し、その時間に合わせて出店が出るようで楽しみです。

Vトレイン 汾川 2019.4.30

Vトレイン 汾川 2019.4.30

Vトレインの車内 2019.4.30

Vトレインの展望室側 鐵岩 2019.4.30

汾川駅 2019.4.30

途中の承富駅では出店も 2019.4.30

Vトレインは、シマウマを連想させる白黒の塗装のディーゼル機関車に、なぜか真っ赤な車体の客車3両からなっていて、台車もエアサスのようですし、改造車ではなく新製車のようですが情報がないのでよくわかりません。窓も73系電車の窓を大きくしたような三段窓、いや上部の固定窓も入れると四段窓で、視界をよくしていますが、車体の強度はだいじょうぶなのかとも思います。日本で近似の車両は思いつかないのですが、敢えて言うと、嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車が近いところかも知れません。厳冬対策か車体の真ん中に大きなストーブが鎮座していますが、冷房はないようです。ガラス面積が大きいので、いくら窓を全開にしてもさぞ真夏は暑いだろうと想像します。汾川を出ると、観光車掌のアナウンスというかしゃべくりが始まります。何を言っているのか全く解りませんが、おそらく列車や沿線の説明をしているのでしょう。この日の客層は、平日のためか、リタイアしたおっちゃん、おばちゃんのグループでなかなか賑やかです。単線電化の線路を川に沿ってゆっくりと走る景色を眺めながら、福知山線の旧線の武庫川渓谷沿いを思い出していました。
鐵岩に着くと、朝から乗っていたOトレインが休んでいました。余韻に浸るまでもなく、接続6分で、江稜(ガンヌン)から来たムグンファ号1681列車で終点の釜田(プジョン)まで6時間半かけて乗ります。15時3分定刻どおり鐵岩を発車しました。栄州までは、今日OトレインとVトレインに乗った区間を戻ることになります。栄州からは、非電化区間となり、8200型電気機関車をディーゼル機関車に付け替えます。8200電気機関車は、ドイツのシーメンス社の技術供与を受け、韓国ロテム社で製造されたVVVFインバータ制御、5200kwの出力で最高速度150キロということです。発車時、京急2100の改修前と同様のメロディを奏でます。
ムグンファ号入線。この列車に釜田まで6時間半乗ります。 鐵岩 2019.4.30

ムグンファ号のミニカフェ 自販機と立席のコーナーがあるだけ 2019.4.30

中央線は、かつて夜行列車で釜山からソウルの清涼里(チョンヤンニ)まで乗ったことがありますが、日中、景色を見るのは初めてです。太白山脈より南の地域なので、田んぼとなだらかな山の景色が続きます。農山村は、軒が低く小さな木造家屋が集まる集落を時折見かけましたが、屋根の線が弓状になっていて、まっすぐの直線の日本家屋とは違います。今回、苦労したのが韓国のローカル線の本数の少なさで、京釜線やKTXの走る線、ソウルや釜山付近ならそれなりの本数があるのですが、鉄岩から中央線を乗りとおして釜山まで行こうとすると、午前中に一本、乗り継いで釜山まで到達可能なスジがあり、午後はもうこの1681列車しかありません。土日なら他に2本あり、江稜から釜山まで直通する1691列車が鐵岩15時41分発、釜山22時5分着。汾川から東大邱までRDCムグンファ(ディーゼル急行)に乗り、東大邱でKTXに乗り換え釜山まで行く方法が選択できます。一寸ローカル線を乗りまくって楽しむ、という乗り鉄の楽しみ方は、他のローカル線でもかなり難しいです。韓国は、バスがかなり発達していて速く安いので鉄道がかなり侵食されているそうです。乗ること自体を楽しむGトレインやOトレインなどの観光列車も鉄道の需要喚起の一環のようです。本数が、少ないこともあるせいか、結構乗車率はよく、急行の位置づけながら実質は鈍行列車のようにこまめに停まる区間もあったりして、近鉄の急行か、と思えなくもないですが、乗客もよく入れ替わります。停車時間が長ければ、駅でうろうろするところですが、栄州に16時50分に着いて機関車の付け替えで8分、慶州に19時33分について4分停車する他は、停車時間は短くあまり外に出て撮影などもできません。車内販売もなく、腹が減りすぎてもつらいので、味気ないですが、朝コンビニで買っておいた韓国式のおにぎりをほおばります。日光からは、東海電鉄線の区間に入り、前方からドドドドとディーゼル機関車のエンジン音も高まり、かなりのスピードで高架区間の駅を次々と通過し、少し名残惜しい余韻も感じながら定刻の21時30分に着きました。名残惜しさも感じつつ、終点の釜田駅に到着 2019.4.30

続きは、 韓国の観光列車(続Ⅱ) をご覧ください。

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