デオ700系の原色時代
気がつくと、紅葉も散りはじめの時期となりました。桜よりは見頃が長くて、“遠方へ行って思いきり紅葉撮影”と思うものの、ことしも叶わず、結局は、いちばん近くの叡電に行って、短時間撮っただけで帰ってくることが、毎年の例となりました。でも、言い方を替えれば、叡電の記録をほぼ毎年続けることとなり、それはそれで価値はあることと自分を慰めています。デジカメを持って叡電へ行った、2007年以来の紅葉時の思い出を綴っていくことにします。
▲2007年当時は、まだ知られていなかった八瀬の瑠璃光院へ行くため、八瀬遊園(現・八瀬比叡山口)へ行くと、デオ720の初期色が2両並んで発車を待っていた。同系は、その後、「ひえい」に改造されたり、塗装も変更され、すっかり初期の面影はなくなってしまったが、京福電鉄グループを示すクリームにマルーンの塗り分けが、私にはしっくり来る。
▲まとめて700系と言われる、デオ710、720、730は、デナ21などの在来車の台車、主電動機を流用し、車体を新調して、1987年から8両が造られた。叡電初めての冷房車、ワンマン運転対応で、その後、台車、駆動方式も一新され、塗装もざきざまなものが生まれた。写真の732号は、いまでは観光電車「ひえい」となった。
▲紅葉シーズン休日の叡山線は、昔も今も大増発だが、以前は、八瀬遊園のホームに2本が停車するシーンが見られた。逆光下では、ホームの反射が面白く、こんな写真を撮ってみた。ことしも大増発で6分ヘッドの運転だが、八瀬比叡山口の先で、上下がすれ違い、2本がホームに並ぶことはない。
▲八瀬比叡山口の終端部の柵にもたれて、つま先立ちをして、構外を見ると、ドーム屋根が額縁の役目を果たして額絵のように見えるのに気が付いたのは、初めて行った時の翌年2008年のことだった。以来、同じ場所から、季節を変えて、時間帯を変えて、撮り続けることになる。
今年の叡電は、市原以北が不通のままで、恒例の“紅葉のトンネル”ライトアップもなく、寂しいかぎりでした。ここに紹介した八瀬も、いつもなら混み合うのですが、外出自粛の影響もあって、かなり人出は少なめでした。最近、テレビでもよく紹介される、近くの瑠璃光院も事前申し込み制で、いつもなら門前に長い行列ができるのに、閑散としたものでした。その分、ゆっくり紅葉を愛でることができました。