先週 INUBUSE氏が広電の七夕電車を紹介されました。七夕には出遅れたのですが、熱中症対策も万全に広島市内を歩いてきました。七夕電車、すなわち1000型の投入によって 旧型車が順次お役ご免になる日も遠くないものと思い 現役バリバリで活躍中の旧型車の姿を中心に追いました。写真はすべて7月17日撮影です。
まず元神戸市電の582号です。広電では570型として17両の仲間がいたのですが、今ではひとりぼっちになってしまいました。広電では神戸時代の更新年を新造年として扱われていますが、実際の生まれは大正13年で神戸ではJ車と呼ばれたグループの一員です。神戸で戦災をまぬがれ、改番と昭和34年に車体更新を受けたのち神戸市電の廃止に伴い 昭和46年11月に広島に来ました。最近では仲間もいなくなり、車庫で眠っている日が多かったのですが うれしいことに参議院選挙が公示されたため、出番が回ってきました。この啓蒙看板は570型に合わせて作られたようで、この日もはりきって3号系統を何往復もしていました。この選挙が終われば次の出番はいつになるのでしょうか。今年の11月に広島県知事選挙があるので 少なくともそれまでは元気でいてくれると良いのですが・・・。広電では生え抜きの150型、650型が被爆電車として有名ですが、この神戸市電も戦争を生き残った車両です。
次なる古参は元大阪市電の772号です。昭和25年 木南車輛製で大阪では1801型の一員でした。同じ大阪の1600型10両 1651型4両 1801型8両が昭和40年から43年にかけて広島入りし、750型22両にまとめられました。今では仲間も6両に減ってしまいました。この日は772号ががんばっていました。
広島市内を東西に貫く平和大通り、通称100m道路は多くの大木が木陰を作る緑豊かな道路ですが、広電が走るのは新己斐橋東詰めから、福島町、西観音町までの7~800mほどだけです。この日は陽ざしを避けて 木陰から撮影することにしました。
元京都市電1900型はうれしいことに15両全車元気でがんばっています。京都時代の900型2次車 昭和32年ナニワ工機生まれの916~935 20両がワンマン化改造されて1916~1935となり その中から15両が 昭和52年から広島に移ってきました。広電での車番は京都時代と同じではありません。せっかくの京美人も御年56歳となり さすがに歳には勝てませんが、広島に溶け込んで各系統で活躍しています。
広電生え抜きの車両もがんばっています。被爆電車の単車159号(大正14年生まれ)は江波車庫の奥で保存されていて別格扱いです。あとは昭和17年生まれの650型651,652が現役ですが この日はお目にかかれませんでした。もう1形式350型3両も現役です。昭和33年に宮島線用としてナニワ工機で作られ 当初850型と呼ばれていましたが昭和46年に350型に改番され 市内線で活躍しています。間接制御車でありながら小型のため 運転士養成(乙種電気車免許取得)のための教習車としても重宝されています。この日は351号ががんばっていました。
さて木陰で汗もひいたところで、少し場所を変えることにしました。電車1日乗車券600円は大変便利で広電撮影の必需品です。江波車庫に向かいました。車庫では最新の1000型2両がひと休みしていました。今まで江波線には連接車は殆ど入っていなかったのですが 1000型の登場によって江波線でも超低床車が好評のようです。さて元大阪市電の900型ですが、昭和32年大阪車輛製の2600型が前身です。昭和44年に14両が広島にやってきましたが、今では9両になっています。このように京阪神の3形式が美しい姿で現役でがんばっている姿はうれしいものですし、それを支えておられる広電の現場の皆さんのご苦労を思わずにはおられません。
さて忘れてならないのが 九州男児です。西鉄福岡市内線から昭和50年にやってきた連接車3000型です。西鉄では八幡製鉄はじめ北九州工業地帯が活況の時代 爆発的な輸送量増加への切り札として2車体連接の1000型が62編成、1100型、1200型、1300型が計20編成投入され 更には1000型8編成には新製の中間車を加えた3車体連接車まで誕生しました。広島には1100型、1200型、1300型から2車体連接の12編成(24車体)がやってきて、自社で西鉄1000型にならった3車体連接8編成に改造され3000型となりました。当初は宮島線直通車として活躍していましたが、新型車にその役割を譲りつつあり 宇品線が主たる活躍の場となっています。車令は古いものは昭和29年生まれ、新しい方も昭和37年と39年ですから しっかり中高年です。8編成すべてが現役ですが ラッシュ時だけの運用や団体貸切で使われるなど窓際族になりつつあるようです。今まで気にしていなかったのですが、生まれ年の違う2連接車体から中間車を作るなど 複雑な経歴のため 細かな差異があるそうなので 8編成が元気なうちに詳しく見比べて見ようと思っています。
JR広島駅でも英語アナウンスが耳新しかったのですが、宮島口に向かう広電にも外国人の姿が目立ちます。特に若い人たちが多いようです。原爆の日が近いのも一因かもしれません。
最後に中高年車両に代わる新型1000型の様子もご覧下さい。車内の七夕飾りは外されて、定期運用に入っています。先日36934で運用表をご紹介しましたが、記載した以上に一般運用に入っているようです。1000型登場によって従来八丁堀で乗り換えが必要だった白島線に江波からの直通系統(9号系統)が生まれました。即ち八丁堀交差点の渡り線を曲がってゆく電車の姿が見られるようになりました。今までは始終発の回送電車だけだったので 日中には見られなかった光景です。
この新しい9号系統は 日に7往復しかなく そのうち1000型は4往復しかありません。上の写真の右手の八丁堀電停に白いシャツ姿の人が見えますが 実は広電社員さんです。電停から正面の福屋デパートに向かって広い横断歩道があるのですが、その横断歩道にはかかっていないものの 今までは日中動くことが無かった白島線への分岐ポイントがあります。電停に「ポイント注意」と貼り紙がありましたが、日に7回だけではありますが 横断歩道近くのポイントが動くのです。人通りの多い場所だけに もし万一はさまれ事故があってはいけないと 社員が立ち番しているようでした。ご苦労さまです。
一方横川線にも1000型は入ります。十日市町交差点でも1000型を待ちました。運よく横川から1001と1002が続行でやってきました。前の1001号は広電前行き7号系統で左折、うしろの1002号は江波行き8号系統で直進です。
暑い中を目一杯歩いたあとの楽しみは よく冷えたビールしかありません。横川駅の2階の居酒屋でグイーっと飲みほして窓の外を見ると 何と広電がベストアングル。最後にまた1000型をゲットして1日を終了しました。
京阪神の市電がまだ元気で走っているのがうれしいですね。神戸の1150型がなくなりさびしい思いがします。神戸の外部塗色は、神戸では700型以降に似合っていたと思います。500シリーズは新造当時から今の色をまとっていたのでしょうか。新車が登場してホットとしています。7年ばかり前から来年こそと言われ続けていました。これの増備が先に紹介された運賃値上げにつながるのでしょうか。京都市電は最後まで残ると言われています。ここ7年、広島に行っていません。それまでは路面電車祭りで2000年から連続5年行きました。今秋から時間が出来そうなのでブラリと西下したいと思っています。
乙訓のご老人さま
コメントありがとうございます。この1000型は1編成で2.7億円だそうですから、安い買い物ではありません。公的支援もあるようですが、広島駅前ターミナル問題も含め 運賃値上げも避けて通れないように思います。7年も広島に来ておられないとのこと。急行「安芸」「宮島」か準急「ななうら」で山陽路を西下され 広島の実情をご視察賜りますように。お酒のアテは 高騰しておりますウナギより、アナゴの方が広島では庶民の味です。寒い時期ですとカキも美味でございます。お待ち申しあげております。