2009年 北の大地へ Part3 丸瀬布森林鉄道

第4日目 10月25日

札幌10:30(道中自動車道)→比布Jct(旭川紋別自動車道)→13:00丸瀬布(R1070)→13:15森林公園いこいの森20:30(R330)→21:20JR遠軽駅22:00(R242)→22:20道の駅;かみゆうべつ温泉チュリップの湯

出発前に『日本鉄道旅行地図帳』の北海道編を購入して、船内で見ていました。道内の鉄道延長キロは、最盛期の3分の1と激減し、大正時代に戻っています。この本には、廃止された路線上に、建設されたSL保存館、記念館や資料館の場所が、記載されていました。

約40年前に撮影に励んだ路線は、今は殆どありません。どうなっているのだろうか? 実際に行って、見てみたい衝動にかられていました。今回の旅は、そういった所を回って見るのも、いいかなと、思っていました。

そして、行った事はなかったのですが、実際に、まだ短距離ながら、SLが走っている森林鉄道が、目に留まりましたが、運行は、10月中旬までと記載されていました。遠軽町の丸瀬布いこいの森の観光用森林鉄道です。

朝食後、先輩と話をしながら、今期は終わったかなあと思って、一応電話をしてみました。
すると、『今日が、最終日です。13時に最終のSLが発車します。』との。思いもかけない返答です。札幌から高速道路で、どれくらいかかりますかと聞くと、約2時間との返答です。十分に間に合う。これは、行くしかないと、話しを切り上げて、お礼を言って、支度をしました。

エンジンを始動し、ナビに目的地をセットしますと、何と、3時間50分と言っています。しかし、ナビも中古で手に入れたもので、データは、2003年版です。6年後は、高速道路、広域農道や、高速同様の高規格道路は、飛躍的に延びています。JRだと、途中で分岐する旭川まで、136.8キロ、最速特急で1:20です。高速道路を100km/h少しオーバーで走れば、旭川までは、1:30程度で着くだろうと、勝手に思い、丸瀬布に向けて発進しました。

今日も快晴です。道中自動車道に入ると、一気にアクセルを踏み込み、高速運転を始めました。車の通行量は、札樽自動車道と比較にならないほど、空いています。

昨夜、先輩から、
①道内は、道が広く、直線、車が少ないので、高速走行する車が多いが、スピード違反の取締りも多い。
②鹿等の動物が、道路を横断する事が最近多く、事故が発生している。前方確認は、道だけでなく、広く見て走ることが必要。
③田舎道を走行している時は、優先道路であっても、横から進入してくる車に注意するように、普段、車が少ないので、一旦停止する車は少ない。
と、注意されていました。

しかし、この交通量だと、自然に制限速度をオーバーしてしまいます。年金生活者にとって、違反金を支払う余裕はありません。しかし、ノロノロ走行では、他の車の邪魔になっています。そこで、追い越す道内ナンバー車を見つけては、後方を並走する事に終始しました。

快調に走り続けていますが、やはり2時間で着ける見込みは、難しいと分ってきました。丸瀬布いこいの森の事務所に、再度連絡を取ると、3時間以内と言われました。聞き間違えていたようです。このままでは、時間までに到着できるかどうか、微妙な時間です。

道中自動車道は、どこで降りたらいいのか? そこから、どう走ったら早く着くのか、昨日の教訓を生かして、聞いてみました。『旭川インターを過ぎると、本線から分離して、紋別へと向かう無料の高規格道路が、できています。全線開通していなく、途中一部は、一般道を走りますが、また高規格道路に戻れます。これが、最短コースです。』と、説明を受けました。

予定通り、12:00には、高規格道路に入りましたが、ここからが遠い。途中、何度も確認連絡を取っていると、『どこから来られたのですか?』との質問を受けました。京都からと答えると、次の連絡では、『もし、間に合わないようであれば、2時から格納式があります。その間に、最終便をもう1本運行しますので、安全に来て下さい。お待ちしております。』との、思わぬ、ありがたいお言葉をいただきました。感謝、感謝です。



結局、到着は、1:15でした。森林鉄道駅まで、乗り入れると、『連絡をいただいた方ですね。まだ時間はあります。駐車場に車を入れてからでも大丈夫です。』と、案内されました。
見れば、遊園地を走っているような、ちゃちな鉄道ではなく。結構立派な設備です。何と言っても、雨宮製の21号が、現役で、延長約2キロのナローゲージを走ります。可愛い木曽森林鉄道を走った客車も連結しています。乗ってみるのも良いし、走行写真を撮るのも良いです。

発車時刻が近づきました。『乗車されますか?』と、聞かれました。本当は、撮影を優先したかったのですが、わざわざ、私ごときのために、臨時増発をしていただいています。500円の切符を購入して、乗車することにしました。

機関士は、二役です。機関助手も兼ねます。燃料は、森林鉄道にふさわしい木材です。


雨宮21号が牽引する森林列車は、公園内を8の字に約2キロ走ります。
結構高い木々の中を、色づいた木々の中を、鉄橋も渡って、ゆっくりと走ります。

ナローゲージの列車に乗るのは、はるか昔に乗車した記憶がありました。父の郷里が、井笠鉄道沿いにあり、小学生の頃だったと思いますが、墓参りに行き、笠岡駅から乗車しました。父との思い出の一つです。

父が国鉄に勤めていたこともあって、子供の頃の楽しみと言えば、日曜日に父に連れられ、無料で乗れる国鉄乗車でした。本と言えば、時刻表や路線図でしたので、自然と鉄道好きと、なった訳です。

そんな昔を思い浮かべながら、10数分でしたが、森林鉄道の乗車を楽しみました。
今日も人のご親切が身にしみる時間を過ごせました。丸瀬布いこいの森の皆様方、本当にありがとうございました。





左側は、本日運行された列車。木曽森林鉄道の客車で、右側が、説明表示のある井笠鉄道の木造客車です。

右側は、静態保存の、1930年コッペル社製の、西武鉄道から譲渡された532号



一旦、客車を車庫入れしてから、単機で戻り式典準備です。

2時から開催された、車庫への格納式は、遠軽町長、お偉いさん方々がご出席された立派なものでした。東京から、毎年この日には来ているという、鉄ちゃん数名と一緒に、厳粛な式典を見ました。


式典が終わると、雨宮21号が長い冬を、無事に過ごすために、『缶水』が行われました。見るのは、初めてです。『缶水』とは、タンクやボイラーに溜まった、水蒸気や水を抜く作業です。水を抜いておかないと、厳寒の冬季に凍って破裂します。

缶水が始まりました。初めは、少しずつ蒸気を抜いていきます。10分後、全開し、その後、10分後に缶水を終えます。



20分間のショーでした。今日は、2日間の好天が続いたせいもあって、この程度だそうですが、普通だと、辺り一面が雲海のようになるそうです。雲海に浮かぶ雨宮21号機も見てみたいと思いました。

機関士に聞きますと、『今季は、煙管に光ファイバーを入れて、腐食状況を調査する。来年も走れるように稼動部分は、毎年分解して、札幌の専門会社に送り、精密検査もする。取替えの必要な部品は、新しく製造してもらったりもする。』と、言っておられました。

一の橋のたもとに展示してある客車は、スハ43-703。

雨宮21号
が走る『丸瀬布いこいの森』は、今日で、今期の営業を終えます。長い冬に備えて、建物や表示板の冬支度が、始まっていました。もう今年は、走らない線路を歩いて、次回来るときのためにロケハンをして、『丸瀬布いこいの森』を出ました。

3:50、丸瀬布の日没は、早く迫っています。今夜の宿はどこにしようかと、考えようと、昼食兼夕食を隣接する温泉施設『やまびこ』でとり、その後は、ゆっくりと温泉につかりました。

ここまで来ると、オホーツク海は直ぐです。約40年前に、毎年行った湧網線は、今は廃線となりましたが、懐かしい思い出の地は、どうなっているのか、見たくなりました。スイッチバックの遠軽駅も途中にあります。闇夜の道を、鹿等の飛び出しに気をつけながら、出発しました。


遠軽駅での、スイッチバックする貨物列車です。DD51が、前後に付いているプッシュプルです。駅内待合室は、ストーブが入っていましたので、久しぶりのステホをしようかと思いましたが、外へ出たら、直ぐに施錠されてしまいました。
今日の宿は、道の駅『かみゆうべつ温泉チューリップの湯』と、なりました。
 Part4 へ続く

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