2015年 西方見聞録 ハンガリー鉄路の旅 Part49 ブダベストのトラムに乗って その6 子供鉄道①

DSC_8380_200登山鉄道との接続駅セーチェニの丘(Széchenyi-hegy)を出発してヒューヴェシュヴェルジ(Hűvösvölgy)へと向かう子供鉄道の列車。左側、敬礼を出すのはこの鉄道で学ぶ少年です。この鉄道ではこれからの時代を担う10歳から14歳の青少年少女たちが運営現場に入って、社会への一歩を歩き始めています。


第19日目 3月1日 その3

DSC_819403011:49 見えてきたのは子供鉄道の起点、セーチェニの丘(Széchenyi-hegy)駅です。
1947年4月、この駅から3.2㌔の区間で建設が始まっています。

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05_子供鉄道切符▲ 11:52 駅舎内に入りますと切符売場兼の待合室になっていました。早速、切符の購入です。
この鉄道はブダベストの公共交通ではありませんので、フリーパスは使用外です。また、各種の割引運賃の設定もありません。選べるのは片道切符700Ft(約311円)と往復1,400Ft(約622円)のどちらかでした。
復路ではどこか気に行った所で降りて撮ろうと往復を購入しました。行きはロケハンを兼ねての乗り鉄、帰りは撮り鉄のいつものパターンです。
DSCN9433_100DSCN9434_200▲ こちらは、ヒューヴェシュヴェルジ(Hűvösvölgy)セーチェニの丘(Széchenyi-hegy)の時刻表です。所要時間はヒューヴェシュヴェルジ行きが37分、セーチェニの丘行きが40分になっています。ブダ(ブカレストはドナウ川を挟んでブタとベストに分かれています。)の丘を巡る子供たちで運営する鉄道。SL列車や年代物のディーゼル列車の運転があるそうです。

【ブダベスト子供の鉄道(MÁV Zrt. Széchenyi-hegyi Gyermekvasút)の歴史】
ハンガリーが共産党時代だった頃に8~15歳の子供たちを対象に青少年教育(ピオネール活動)の一環として、ハンガリー国鉄(MÁV )により子供鉄道の建設が1947年に決定されました。いくつかの候補地の中からラック鉄道が走るブタ山地が最適と選ばれました。

19480731_開業式 子供鉄道の公式HPからの転載

19480731_開業式 子供鉄道の公式HPからの転載

建設工事はボランティアや学生を総動員して行われ、山を切り開きレールを敷設して、1948年7月31日にセーチェニの丘からの3.2㌔が完成しました。
続いて1949年6月24日には3.6㌔が延伸され、1951年には西欧製品の禁輸状況の中で苦難の末にようやく全線11.2㌔の開業にこぎつけました。

導入された車両たちの中にはレトロなDL・DC・客車・特殊車両や蒸気機関車(490-039 、490-056)がいるそうです。
子供鉄道の生い立ち詳細については公式HPをご覧ください。こちらです。

▲ 切符販売窓口でもらったパンフです。クリックしてボアアップしてご覧になってもまだ小さいと思います。一旦デスクトップにドロップしてから開けていただくとさらに大きく見えます。

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▲ 11:56 山の上の始発駅、ヒューヴェシュヴェルジからの折り返す列車が到着しました。
閑散としていた待合室でしたが列車が来る直前のホームにはどこからかたくさんの家族連れが集まってきていました。左側の写真をご覧のように発車合図をおくる少年駅員がいます。信号機は腕木式が使用されていました。

12:03 列車は定刻にヒューヴェシュヴェルジへ向けて発車しました。DSCN9420084▲ 12:06 発車しますと直ぐに車内改札です。制服姿に身を整えた凛々しい少年が切符を確認しながら改札パンチを入れていきます。この鉄道では客扱いの営業運転を行っているためなのか直接安全に伴う本線運行や構内入れ換えの機関車運転には熟練の運転手が従事していますが、車内・駅での業務については少年・少女たちが行っています。

かつてのピオネール活動においてこの鉄道に従事できる少年・少女たちは、公募ではなく将来に期待のかかる選ばれし者でした。9歳から15歳(子供鉄道では10~14歳)を対象に家系・学力・健康・品行方正等から選抜され、将来の党幹部候補生へのエリート教育を行っていきました。ピオネールとは「開拓者」の意味で、スローガンは”Всегда готов!”、「何時でも準備よし」だったそうです。
革命解放後の現在は子供教育の一環として一般公募されています。入学?すると4ケ月間の講習が行われ試験にパスすると、はれて現場実習となります。子供たちにとっては憧れの初めての社会との接触です。勿論、無給で期間中の学校での授業は免除されているそうです。 詳細はこちら

DSC_8236042▲ 12:15 3つ目の停車駅”Viragvolgy”に到着。この辺りが最初に開通した区間です。入線手前では少年と監督する大人の鉄道員が手動でのポイント切り替え作業を行っていました。
隣のホームでは私たちの列車同様にヒューヴェシュヴェルジへ向けての列車が止まっていました。追い抜いた恰好です。

DSC_8244044▲ 12:21 次のジョン·ヒル(Janos-Hegy)駅を降りるとブタの丘では2番目に高いジョン・ヒルに登る事が出来ます。市民にとっては絶好のハイキングコースとなっていてシーズンは多くの家族連れやカップルたちのハイカーでにぎあうそうです。

DSC_8247046▲ 12:27 交換駅のSzépjuhásznéに到着。駅構内にはビッフュもあってブダペストで一番高い海抜527mのヤーノシュ山ハイキングコースの起点の1つにもなっています。
※ 多くのヤーノシュ山観光は手前のヤーノシュ山(János-hegy)駅で降りた方が早いかも・・。

DSCN9435090▲ 12:40 終点のヒューヴェシュヴェルジ(Hűvösvölgy)に到着しました。セーチェニの丘からは11.2㌔、標高差235m、平均勾配21‰を上りきりました。
では、駅と車庫の見学です。  Part50へ続く

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