今まで鉄道廃止に伴う代替え手段として バスへの転換が一般的でしたが、それとても成り立たない状況が見えてきます。
可部線の可部・三段峡間は平成15年12月1日に廃止され、広電バスがその代替えとして走っています。広島バスセンター発三段峡行きの路線バスには2系統あります。ひとつは一般道を旧可部線に沿って走る系統で、可部線との比較のために横川駅を始点とすると途中116のバス停があり、所要時間が約2時間15分 全線料金800円の系統です。もうひとつの系統は途中一部区間を広島道、中国道を経由し 34のバス停、約1時間10分、1420円の高速系統です。一般道系統が1日8往復、高速系統が3往復走っています。残念ながら旧可部線時代の古い時刻表を持ちあわせていないため 細かな比較ができないのですが、横川・三段峡間は60.2Km、途中可部で電車から気動車への乗り換えもありますが 約2時間強を要していたと思います。もし今も可部線がそのまま三段峡まで健在だったとすると 地方交通線60.2Kmの運賃は1140円となります。現在は広電バスがほぼ同じ所要時間で800円で走っているのですから、拍手を送らねばなりません。たまたま高速道路が開通して高速系統が往時の半分の時間で走ることができていて、1420円という設定はリーズナブルな感じを受けます。ただふらりと訪れる旅行者には良いとしても、これを毎日の通勤・通学に利用する人にとっては定期代ですら負担が大きいのもうなずけます。
さて行き止まりの可部線と通り抜けできる三江線では単純比較は難しいかもしれませんが、三江線全線は108.1Kmですから、広電バス並みの運転時分をはじくと約4時間を要する長距離系統になります。とは言え三江線を全線乗って通過する物好きな旅客は超ヒマな我々ぐらいのものですから、全線通しの系統は作られず 細切れの系統をいくつも乗り継いでゆくことになるでしょう。現在の三江線運賃は1940円ですが、バスで乗り通すともっと高くなるでしょうね。
ともかく人口が減り、高齢化が進み、高校生もいなくなればバスも成り立たないのは自明の理です。乗合タクシーや宅急便、郵便との兼用便、ドアツードアの時代到来です。昔の閑散線区での混合列車が道路の上を走る時代とも言えますね。なお本シリーズNo.4(2月20日朝刊)は鉄道が出てこない話なのでパス致します。
西村雅幸様 山深いあの謎のヒバゴンが生息していた?といわれる中国山地シリーズの記事を興味深く拝見しております。可部線の代替バスで駅以外に停留所が増えても利用者が減っているようですが、三重県の名松線が3月26日に運休区間が復旧して再開され、18日に訓練列車の運行が報道公開されたというニュースがありました。日経新聞の電子版の記事に伊勢奥津で代行バスを待っている人のインタビューで列車が再開されることでほっとすると書かれてありました。そして、被災前は1日約90人の利用者が代行バスになってから30人に減っていたと書かれてありました。たしかに、中国新聞の記事にもありましたが普通のバスであれば乗り降りが大変だと思います。奈良交通バスでは小型のノンステップバスやステップがあっても段差の低いバスがあり、乗り降りが楽なようです。鉄道でもレールがしっかりしていないと揺れが大きくなりますが、比較的バスに比べたら揺れが少ないのも列車の再開を望む一つの要因ではないかと思います。人が移動して人々が交流して初めて活性化されるのではと思います。自動車はあくまで個人が歩く代わりに早く到着したいための道具であって、列車やバスなどの公共交通機関とは異なると思います。公共交通機関が衰退している地域は地域自身が衰退して行っているような気がしてなりません。そうすると都会の公共交通機関と地方の公共交通機関とは考えを改めなければならないのではと思います。地方の公共交通機関を利益を追求する民間企業に委ねるには限界があるのかもしれません。いよいよなにか考える必要があるのではないかと思います。
どですかでん様
早速のコメントありがとうございます。名松線の件は知りませんでしたが、似たような状況ですね。この問題は考えれば考えるほど難しく、名案が浮かびません。交通手段を含め生活全体を維持してゆくのが難しくなっているのが中山間地域の実態でしょう。私が暮らす小さな地方都市でも次々とマンションが建ち、結構すぐに満室になってゆくのを不思議に思っていましたが、クルマの運転もおぼつかなくなり、買い物弱者になり、通院も大変なので便利な都市部に移ってこられる高齢者がどんどん増えています。広島にも多い 高度成長期に造成された高台の住宅団地も同様です。かけ声だけの地方創生でカタがつくとは到底思えませんね。少し暖かくなったら、広島バスセンターから三段峡まで2時間余の乗りバスをしてみようかと思っています。