大井川の新緑

2年振りに大井川を訪れました。実は昨年も同志社の高分子化学ゼミの仲間と行ったのですが、SL牽引列車に乗り寸又峡に泊まり、接阻峡など観光中心 でしたので、鉄道沿線の大井川をゆっくり眺めることは出来ませんでした。今年は大井川水系の中でも、筆者が最も好きな塩郷から下泉間3.1km をゆっくり見て歩きました。五月晴れに山々は新緑に萌え、大井川も真っ青でした。

先ず、塩郷にある清流公園に立ち寄りました。
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立 ち寄るのは三度目ですが、上の板張りモニュメントと下の歌碑を改めて撮影したかったのです。大井川の今昔や『水を返せ運動』などを読み、知るにつけ大井川 の風景をもっと撮影しておきたくなりました。この公園は線路沿いの狭い土地を利用して作られており、良いカーブ位置に建っているのですが、公園とSL列車 を一枚に収めることは不可能です。なお、想像ですがひょっとしたら昔の塩郷駅がこの場所だったのではと思いました。昭和53年製作の寅さんシリーズ第22 作『噂の寅次郎』に出てくる塩郷駅は、島式ホームで線路が2本あったのですから。その痕跡をさがしてもそれらしき場所が他に見当たりませんので。
▼静岡県知事の歌碑
『桜花五トンの流れに照りはえて大いなる川よみがえりたり』静岡県知事斎藤滋与史と、
左手の『歌碑の由来』を拡大して、画像を合成しました。
対岸は、久野脇親水公園キャンプ場です。
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▼ 塩郷ダムの堰堤上から眺めました。電車が塩郷駅付近を通過中。先の公園は向こうの山裾を曲がるあたりです。広い川幅の大井川の端を、塩郷ダムから 5トン / 秒放水された、わずかに一条の水流。これが現在の姿です。70年近く前の満満と水を蓄えていた川とは様変わりです。一条でも復活しただけ幸いです、一時期 は河原砂漠だったそうですから。
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塩郷から少し上流へ。対岸遠くに白い久野脇発電所が見えます。古い水力発電所で、常時13,000kw出力、最大32,000kw出力だそうです。
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更に上流の横郷から対岸の中川根集落を望みます。青い川、遠近の山々、そして青空に浮かぶ綿帽子、これを眺めに毎年訪れます。できれば一月程ここで眺めて居る方法は無いものでしょうか。
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中川根のお茶畑、ここの製茶工場から毎年川根新茶を購入します。
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横郷付近を電車が下ってきました。
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そしてSL列車が大井川を上って行きました。この日は2往復が運転されていました。
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南アルプスに源を発し、豊富な水源と自然の標高落差を利用して沢山のダムと発電所で発電し、なおかつ上水道、農業用水に利用している大井川の水。ダムの数12、堰堤の数18。大井川のように、原子力発電に頼らないで済む発電システムが日本中にもっともっと広げられないのでしょうか。一方農家が減り、農業が様変わりする昨今、将来は用水が必要でなくなるのではないかしら。ならば川にもっと多量の水を戻せるのかしら。

訪れた横郷地区でもお茶畑が随分減りました。柿の木畑に変ったり、荒れた雑草地になったりして、撮影意欲がすっかり無くなった場所もありました。緑の山河を眺めに来たのですが、悲しい風景も目にしました。

【追記】
『大井川について』、『60年前の大井川絵地図』、『今の大井川の絵地図』をはじめ『大井川水系の水力発電の現状図』、などの資料が沢山あります。
大井川の清流を守る研究協議会
http://www.oigawaseiryu.jp/ooigawa/
https://www.town.kawanehon.shizuoka.jp/map/img/maplist10.pdf

川根本町観光パンフレットなど
http://www.okuooi.gr.jp/wordpress/pamphlet/

大井川の新緑」への2件のフィードバック

  1. tsrukameさん、こんな事を投稿するとおこがましいと皆さんから言われそうですが、老人が大井川鉄道で見せた執念を垣間見て下さったDRFC諸兄は許してくださるだろうと思っています。それは京阪3000系が去るのを前にして、老人が日本一の特別料金不要の電車が走らなくなった大井川鉄道に「さようなら」したのを引き継いで下さったように思うのです。近年、3歳の時から興味を有していた京阪電車に関心がなくなりました。言わば貴兄が時折名乗る故郷***が消滅していくように感じています。車両だけを対象としている老人の姿に対し、今回の大井川沿岸に対する貴兄の観察、こうして日本の故郷を知ることにより心が癒されていくのでしょうね。これからもこうした年寄りが身近に感じることができる沿線紹介をお願いします。

  2. 乙訓のご老人様
    コメントをありがとうございます。大井川沿線を訪ねると美しい日本の原風景を沢山目にすることが出来るので春秋に出かけます。そんな沿線の日本の原風景を見るべく金谷から千頭まで、笹間渡と地名間のトンネル区間を除き、歩き訪ねました。

    雄大な大井川の流れは中でも塩郷から下泉間が絶好、武庫川とはスケールの違う、文字通り山紫水明です。但し、もう少し水量豊かなら申し分無いのですが。発電と用水に取られ、河原が干上がり、砂利の堆積で川底が4~6mも上昇し、徳山から下泉にかけて右岸では、多雨時浸水の恐れがあるそうです。また、塩郷付近で眺める夕暮れ時の大井川は蒼然暮色、時間を忘れさせます。

    各地のお茶畑も好きです。その昔大井川の流域だったと想像できる平地に拡がる抜里のお茶畑がお好みです。昨今の茶摘は機械摘みが中心ですが、運が良ければすげ笠を被った娘ならぬ年寄りの手摘みも見られます。横郷で手摘みの様子とSLの組み合わせを狙ったのですが叶わず、元京阪電車と合成写真にしたことがあります。

    大井川七曲に近い久野脇のお茶畑は桜、菜の花、サクラソウ等の色が、紫幹翠葉に加わります。神尾から大和田にかけての山岳地帯、歩くのが困難な上、撮影場所が見つからずあまり面白くは無い区間ですが、大和田にある、樒の植木畑を3,4回訪ねました。畑に近づくと空気全体が独特の匂いに包まれ、ピント張り詰めたような不思議な感覚になります。

    他にも沢山あります。笹間渡駅の線路際にモモの木が繁り、見事なピンクの花行列だったのですが、野暮で無風流な鉄道職員によって切られてしまいました。が幹から新芽が出始めてだいぶ伸びました。木の数が減りましたが来年当たりには復活するでしょうか。今年、地元の何とか会の運動で、モモの若木があちこちに植えられて始めました。笹間渡駅の空き地にも沢山植えられています。全てが枯れずに咲けば良いのですが、3年ですね、桃は。

    大井川に架かる鉄橋は塗装が赤色で綺麗なこと。笹間渡、下泉、田野口駅をはじめ各地の駅舎は一昔前の姿で残り、夕暮れ時など裸電球が灯る姿は風情があり、映画やロケにも借り出されています。

    数えれば切が無いほど大井川には日本の原風景が揃っています。鉄道と無関係の原風景は、デジ青に投稿はし難く、それらはマイブログです。良ければご覧ください。最近は大阪府赤坂千早村の棚田や水が入り始めた各地の水田と田植えを追っています。

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