写真展での発見

先の花見小路での写真展の最終日に会場にお邪魔し、片付けを手伝いもせずに退散致しました。準備、片付けをして頂いた皆様方に感謝申し上げます。さて力作揃いの写真の中で 山科の人間国宝が南米ペルーで撮影された写真がありました。その中の1枚を見て「アレッ、ひょっとして!」と目が釘付けになりました。了解を得て記録撮影して帰ったのがこの1枚です。

右端の緑色の機関車にご注目!

佐竹先輩が現地を旅されたのが昭和55年11月と伺いましたので、36年前の撮影です。キャプションには「リマを出てすぐの機関区、まだ蒸機が残っているのが見えた。ごく最近まで使われていた様子が伺えた」とあります。多分ペルー中央鉄道(軌間914mm)だと思われます。右端に薄緑色の機関車が見えます。どう見ても日本スタイルです。帰宅後すぐに調べたところ この機関車は三菱三原が昭和37年8月にペルー国鉄向けに2両製作したDD2601(製番1120)かDD2602(製番1121)のどちらかにまず間違い無いと確認できました。カタログがありました。

DD26のカタログ

不鮮明な画像で恐縮ですが 三菱神戸ズルッアーGLDA22ディーゼルエンジン(725PS)で315KWの発電機を回して67KWモーター4台を駆動する55Ton電気式ディーゼル機関車です。海抜3760mでともわざわざ書かれています。この機関車が生まれた当時 三原では同じく電気式の国鉄DF50の製造が一段落した一方で EF70の生産が行われていました。まさにDF50で培った電気式DLの技術とEF70を短くしたような車体の組合せです。昭和37年8月の社内報の1面に機関車の完成を報じた記事もありました。

昭和37年8月1日発行 「三原通信」より

DD50やDF50は電気機関車の一種と見られていて「電関」として扱われていました。この1年後にDD54の母体となる山陰線京都口で試用されたDD91が作られて やがて電気式DLは姿を消し DD54,DD51と変化してゆきます。丁度その端境期の産物とも言えそうです。この社内報記事にもありますように 重連総括制御も可能で、将来914mmから1435mmに改軌可能となっています。8月10日に糸崎港から日本郵船若桜丸に積み込まれて地球の反対側に旅立ったようです。こんな写真もありました。

現地での撮影だが、時期、場所不明

実はこの2両のDLを輸出する前に ディーゼルカー1両をペルー国鉄に納めています。このディーゼルカーについての詳しい資料がないのですが、やはり軌間914mm、CUZCO(クスコ)-QUILLABAMBA(クイラバンバ)間の建設用に作られたようです。車番P3001。三菱製番1134です。

ペルー国鉄向けディーゼルカーP3001

カタログ表紙

カタログ裏表紙

カタログ表紙はあるのですが、肝心の中身を持ち合わせておりません。この時期はまだ「新三菱重工」でした。

昭和37年5月2日発行「三原通信」より

さてここでクイズです。三菱三原は機関車と貨車を生産し、人を運ぶ車両はごくわずかしか作っていません。(現在は広電などの電車も作っていますが、昔の話としてです)電車、客車の新製は皆無です。唯一ディーゼルカーのみですが、さて何両作ったでしょうか?

答えは4両です。昭和35年9月に島原鉄道向けキハ2601、2602、5505の3両を作り、残る1両が昭和37年3月のこのペルー国鉄向け1両なのです。そもそもなぜ浮気のように島原の3両を作ったのかが謎ですが、その経験を活かしてペルー向けが生まれたように思われます。昭和37年4月8日に糸崎港から日本郵船三鷹丸に積まれてペルーへ向かったようです。

ディーゼルカーのことはともかくとして、2両の機関車が現地で充分活躍したのか、あるいは不具合続出とか牽引力不足で役に立たなかったのかなどその後の情報が全くありません。約20年後の昭和55年に現役ではないにせよ、リマ近郊に残っていたというのは 貴重な記録だと思います。今までご紹介したようにこの機関車は白黒写真でしか見ていませんでしたので、薄緑色の塗色だったことも初めて知りました。この写真展のあと私は三重、岐阜方面を回ったのですが、思いもよらない三菱三原生まれの車両たちとの出会いがありました。西利さんでのペルーの1枚が不思議な力を与えてくれたようにも思えてきます。

6 thoughts on “写真展での発見

  1. 西村雅幸様
    これは実にいい話ですね。自社のパンフレットや文献等を大切に保管されよく頭の中に整理されて入っていたことと思います。

    • 準特急様
      日本車両や元汽車会社など車両専門メーカーは節目節目で製作した車両の一覧表や写真集が作られていて 入手することも可能です。ところがM重工においては鉄道車両はONE OF THEMで 事業所の年史はありますが 車歴表や記録写真を残す風土ではありません。そこで個人的に製番リストを作り、写真や資料を集めて残すことを続けてきました。そんなわけで佐竹氏の写真を拝見して すぐに気付いたわけです。準特急様が神居古潭で撮影されたC57201の写真もその1枚として役立っております。もし準特急様が御所望であれば CDで製番リストと写真集をお送り致します。すでに須磨の大先輩やTURUKAME氏にも進呈しています。いつも速攻のコメントありがとうございます。

  2. いよいよ予感した三菱三原車両シリーズの始まりでしょうか。三重・伊勢のみならず、既にここまでの因縁奇縁があるともうこれは運命的な出会い、俗にいう赤い糸で結ばれた・・というしかないですね。それにしても地道な資料集めのご努力が報われたといえますね。続編に期待が膨らみます。

    • 1900生様
      続編を期待して頂くのは有り難いのですが、今回のように予想もしない出会いがあって話が始まるのですが、単なる車両紹介では味気ないので また何かのチャンスを捉えてご紹介させて下さい。いつもコメントをありがとうございます。

  3. 西村雅幸様
    なかなか世に出ていないような あるいは出ていても限定された中での資料は一般的に見ることの出来ない歴史的にも貴重なものと思います。いろいろな問題点もあるかと思いますが機会をみて体系的に紹介して頂ければ有意義と思います。
    「三菱三原車両シリーズ」を期待しています。

    • INUBUSE様
      励ましのコメントありがとうございます。前向きに検討することに致します。国鉄向け車両は皆さま周知でしょうから、あまり知られていないであろう専用線向けDLなどがおもしろいのではと思っています。あまり期待せずにお待ちください。

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