2013年 春の中国鉄路の旅 Part13 北朝鮮国境沿いの鉄路 その7 国境の駅「開山屯」と国境の橋「三峰橋」

第13日目 5月13日 その2

小竹先生と私が訪れております日本統治下時代の満州と日本(朝鮮)の国境の橋の位置図を作成しました。ご覧ください。
国境沿いには白頭山(中国名:長白山)を源に発しての鴨緑江と豆満江が流れていて、それぞれ黄海と日本海に注いでいます。この2つの川が国境線となっていました。川に面した2つの国を結ぶ鉄道橋はそれぞれ3つが建設されています。軍事物資や生活物資輸送の他、旅客輸送も行われていました。今日の午後からは前回も訪問しました三峰橋を訪ねます。00_日満間国境の橋110_南坪~延吉▲ 国境の町「南坪」を訪ねた後は、殆ど車の走っていない道を龍井に向かって快走しました。

道中でガイドの崔さんは、若い頃に日本に留学していた。大学は京都工業繊維大学で宇治に住んでいましたと申されます。
中国の方とは結構面識がありますが、京都の大学は珍しく工繊大と聞くのは初めてです。私も京都の同志社ですと名刺を渡すと、崔さんも喜ばれたようで、打ち解けて京都の話で盛り上がりました。

今日はさわやかな春の青空が広がっています。Taxiは、殆ど車の走っていない道を龍井に向かって快走しました。町の中でまずは腹ごしらえです。

11_昼食11_昼食2▲ 12:40、ガイドの崔さんが案内してくださったのは朝鮮料理のお店です。
石焼ビビンバを注文しました。久しぶりの丼ものは、やはり口に合います。とっても美味しく、全部平らげました。これで18元(約300円)は、とても安いです。
この値段、この味で日本で出せたらお客殺到でしょうね、

12_開山屯駅1▲ 15時前に龍井から約40キロ、約1時間で目的地の開山屯駅に着きました。この駅は現在休止駅になっています。前回は正面から駅構内に入ろうとしましたが施錠されていて、駅員に鍵を開けてもらって入りたいと申しましたが却下されました。
12_開山屯駅2今回はちょっと迂回になりますが、線路沿いを歩いて構内へと向かうことにしました。
今回も断られるわけにはいきません。先生からはカメラは指示するまで出さないようにと注意を受けました。
離れて後ろから目立たないようにそっと歩きました。

12_開山屯駅3列車が発着することがなくなった駅では、暇そうにホームで物思いにふける駅員がいました。先生は積極的に挨拶をして何やら話しかけられておられました。そして、駅員さんとコミュニケーションができた時点で撮影OKのサインが出ました。

12_開山屯駅4▲ 先生のアタックが良かったのか前回と違って駅員さんはフレンドリーで駅舎内を案内してくださいました。いつ列車が発着しても問題ないように整頓されています。以前の待合室は、ベットが置かれた宿舎になっていました。
12_開山屯駅512_開山屯駅712_開山屯駅812_開山屯駅9▲ 三峰橋への路線は塀囲いが設置され鉄門で塞がれていました。ここから先はレールが撤去されてイミグレへと道路が続いています。

構内には日本統治下時代に植えられたでしょうか桜が満開でした。
13_三峰橋▲ 駅をでてから小高い丘に登って、北朝鮮との国境の三峰橋を撮りました。日本統治下時代に建設された橋にしては珍しくコンクリート橋になっています。

前回、2012年11月15日に訪問しました紀行記は こちらをクリックしください。

【 国境の開山屯駅と国境の三峰橋 】
開山屯駅は大正12(1923)年10月14日に龍井(当時は龍井村)~開山屯(図們江岸)、58.3キロが762㎜ナローゲージの天図軽便鉄道として開業した時に建設されました。
天図軽便鉄道は大正13(1924)年11月1日に天宝山銀銅鉱の鉱石輸送のために老頭溝までの42.9キロと中間駅の朝陽川~延吉10.0キロが延伸されて総延長111.2キロとなりましたが、開業当初からの不採算経営が続き、昭和8(1933)年2月9日に満鉄に買収されています。

しかし新たに標準軌の別線、京図線が同年5月15日に開業すると重複する天図軽便鉄道は不要とされて、老頭溝~朝陽川及び支線の朝陽川~延吉が廃止となりました。翌年、昭和9(1934)年4月1日にはまたも重複する朝開線が開業すると残った路線も廃止に追い込まれました。わずか10年弱の短命の鉄道でした。
15_三峰橋地図2

三峰橋は、天図軽便鉄道の開山屯と図們鉄道の上三峰との間の豆満江を渡る、鉄道&人道橋として昭和2(1927)年9月30日に建設されました。当初は上三峰橋と称されていましたが昭和8年8月1日に三峰橋と改称されています。図們鉄道は大正9(1920)年1月5日南満州大興合名会社が建設した会寧~潼関(潼関鎮)を継承した私鉄です。その後の大正11(1922)年12月1日に潼関~上三峰まで延伸開業しました。全線762㎜のナローゲージで、三峰橋も図們鉄道により建設されています。

しかし橋の設計・工事の一切は鮮鉄に一任されました。当初はナローゲージ規格設計で図面は出来上がりましたが、将来における標準軌改軌を考慮しての設計に変更されました。また工費節約の必要性もあり橋台、橋梁ともコンクリート製になりました。鉄道橋の両側に人道橋が設けられていました。橋は、予想通り朝開線開業に合わせた昭和9(1934)年4月1日に改軌されました。

現在、橋は自動車道路橋となっています。いつレールが剥がされたかは現地で聞いても確かな話は聞けませんでした。おそらく朝鮮戦争前後だろうと思われます。

16_帰路16時、撮るものは撮れましたので今日の撮影は終了です。延吉へと向かいました。最近開通したという道路は片側3車線の高速道路かと思えるほど立派で、わずか1時間ほどで到着しました。

14_ホテル17_延吉ホテル▲ 今夜の宿は、ガイドの崔さんの会社が入っているビル内の1泊120元(約2,000円)のホテルを奨められました。

まず見てからと部屋を見ますと綺麗で部屋の広さもまずまずです。この設備でこの料金は安い。安いので、今日は先生とは別々の部屋にしました。普通は200元なのだそうですが、崔さんの紹介なら120元になるそうです。大通りに面していて交通の便も良さそうですので私からもお奨めします。

今晩は溜まった洗濯をしなければなりません。夕食は近場で済ましましたが、不味過ぎて掲載できる内容でもありませんでした。たまにはハズレもあります。

明日は、小竹先生との中朝国境の橋の撮影最終日です。南陽図們橋と琿春図門橋へと参ります。その後は、もう1泊後先生は大連へと列車で向かわれます。私はいつもの一人旅に戻り、さらに北上を目指します。長い旅もようやく中盤にさしかかりました。無理をせぬよう健康に気をつけて参ろうと思っております。  Part 14 へ続く

2013年 春の中国鉄路の旅 Part13 北朝鮮国境沿いの鉄路 その7 国境の駅「開山屯」と国境の橋「三峰橋」」への4件のフィードバック

  1. ぶんしゅう旅日記様
    今回は聞いたことがあるような地名が出てきましたのでコメントならず質問させていただきます。三峰橋の近くと思いますが、以前、三峰洞という名の駅だったと思いますが、蒸機の撮影をしたことがあります。全て建設型で客車列車もありました。朝阳川からの支線だったような気がしますが今でもその路線や駅は健在なのでしょうか。北朝鮮との国境の近くということで駅名板には漢字とハングルが併用されていました。6つの橋のうち南陽図們橋は見たことがありますが、あとは鴨緑江の鉄道橋を列車で渡っただけです。それにしてもハラハラドキドキ旅行ですね。

  2. 準特急様、コメントをいただきまして、ありがとうございます。
    ご質問のありました三峰洞についてですが、三峰橋の解説をしております上の鉄道地図をご覧いただきますと、朝開線の朝阳川~龙井に存在します。かつて中国蒸気機関車全盛時代は、この辺りは絶好の撮影地でした。高い丘に登ると、龙井駅から発車して三峰洞への急勾配路線は補機が付いての力闘をフカンできたと、小竹先生も懐かしく話されていました。
    現在は、蒸気機関車は消えDL牽引になっています。この間の路線も駅も健在ですが、貨物のみで客扱いはしていません。図們からの旅客列車は9本と多いのですが、すべて長春方面に向かいます。龙井始発の旅客列車は2本だけで和龙方面に行きます。いずれ乗車しました龙井止まりの列車も延吉か図們まで延長されるとは思いますが、来年の長春~図們~琿春高速鉄道の開業後になるでしょうね。
    しかし、ここを訪れておられたとはすごいですね。いずれの機会かに写真を見せてください。よろしくお願い申し上げます。

  3. 準特急様、すみません間違いがありました。三峰洞駅は健在していません。
    ただ今、Part16を作成中ですが、お問い合わせを受けた時にグーグル地図を見てホームもあるので思い込みをしていました。この駅については詳しく書きますが、小竹先生と現地に行っています。現在は消えた駅となっています。

  4. ぶんしゅう旅日記様
    あーそうですか。無くなったのですか。その日は快晴でしたが、えらい寒かったことを覚えています。次の日の図們は大雪でした。その図們とロシア国境の経済特区の琿春の間で撮られたデジ青[35308]の北朝鮮の列車はいい写真ですね。山の高さ、川の位置、左端の二本の木の配置が見事です。とても慌てて望遠で撮ったようには見えません。このような場所があるのは予想できないことはないのですが、とても行けません。

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