おじん2人ヨーロッパ軽便 その23-11

THE GREAT LITTLE TRAINS of WALES その4 TALYLLYN RAILWAY その2


タリスリン鉄道始発駅 いかにもこじんまりとし、実に綺麗である ポストはやっぱり赤い

17号客車 日本にも明治時代あったメトロポリタン製で、コリス鉄道から到来


3コンパートの2軸車

終点駅で

先述のように、この鉄道は本来終点→基点(港)間のスレート搬出を目的とする産業鉄道だったから、途中駅は大した側線もない単なる停留場ないし離合施設だが、沿線には羊の放牧場が展開している。道路や隣接放牧場とは背高の生垣で仕切られ、戦車なら別だろうが、突き抜けたり、上を越すなど物理的に不可能で、考えすらも及ばない程厳重で深くびっしり詰まった茂みである。


僅かだが羊が点在している

マン島でも記したが、これはまさしく高校の西洋史で習った「囲い込み運動」Enclosuer Moovement の表徴なのである。すなわち土地所有者は、それ以外の者の自己土地立入を極めて厳しく拒絶していることに外ならず、我々農耕―中でも水耕―民族には理解の及ばない、それはそれは厳重な拒否表現である。土地立入や通り抜けが銃撃を伴う争いになる西部劇のテーマが多いが、牧畜民族の(広大な)土地に対する執念は、土地本位制とまでいわれる日本人の土地に対する価値観念とは、別次元のものがある。

それでいて面白いのは、恐らくは英国特有の事象であろうが、非土地所有者は「通行権」なるものを裁判で土地所有者から勝取っている。厳重に囲い込まれた放牧場の中に小道が、縦横とまではいわないが走っていて、これが「通行権」によって設定された道= Foot Path なのである。シャーロック・ホームズシリーズに4つある長編のひとつ「バスカーヴィル家の犬」に、村の裁判マニヤの爺さんが、誰それの土地に「通行権を設定してやった」と威張る一幕がある。

そこで問題です。上記のように放牧地は厳重極まる生垣に囲まれているのに、フット・パスはどうしてそれ越えるのか。この鉄道のとある途中駅に近づき、車をおいて小路を歩いたが、駅目前に到り厳重な扉があって近づけない。鍵はないから開けて入るのは容易だが、これが私有地だったら侵入すなわち犯罪になる。標識の類は何もなく、結局我々は入るのをあきらめた。帰路行き違った人に聞くと、あの柵を開け、そのあと閉めておけばよいとのことであった。これが「通行権」かと、身をもって体験した事であった。


鉄道に募金を呼びかける看板

なおマン島 Grodle Glen Railway (555=10月9日)、ウエールズの Welshpool & Llanfair Railway (1035=11月10日)で、BANK HOLIDAY とは?との疑問を呈した。澤村達也氏から、これは英国の休日のことだとご教示があり、辞書をひくとちゃんと出ているではないか。すなわち拙老の「もの知らず」以外の何者でもなく、その上分からん事は辞書を引くという、最低限の努力さえ怠っていた事がはからずも露呈した。お詫びして以下の通り加筆しておく。

BANK HOLIDAYS とは、英国の(法定)公休日で、▽New Year’s Day (1月1日)▽Good Friday(聖金曜日=復活祭の前の金曜日) ▽Easter Monday (復活祭明けの日曜日) ▽May Day (5月第一月曜日) ▽Spring Bank Holiday (5月最終月曜日) ▽August Bank Holiday (8月最終月曜日) ▽Christmas Day (12月25日)▽Boxing Day (クリスマスの翌日) 、の8日を示す。

因みに米国では Leagal Holidays と称し、リンカン誕生日、ワシントン誕生日、独立記念日、コロンブス祭などを含む13日の由。


終点駅で 

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