2012年~2013年 極寒の中国鉄路の旅 Part3 京广高速鉄路、兴隆森林鉄路(興隆森林鉄道)

第4日目 12月26日

哈尔滨9:25(K7063次)→11:01兴隆镇

02_ぼうや02_ぼうや2▲ 兴隆镇に向かう列車で一緒だったおばあさんと元気そうなお孫さん。14号車と4号車を間違えて乗車されたそうで、席がありません。優しいお嬢さんが自分の座っていた席を譲られました。また立たれていたお嬢さんに同行していただいた趙さんが、私の席をどうぞと譲られました。
譲り合いの連鎖がありました。優しい人民の様子を見ていて、朝からとてもすがすがしい気分をいただきました。趙さんは、荷棚に溢れる大きな荷物も整理されていました。さすが旅行社に勤める人物です。よく気が付かれていました。

30_京广高速鉄道03_北京西駅パンフ▲ 今日は、出かける前にTVを見ますと、ビックなニュースが飛び込んできました。首都北京と南の中心都市广州を結ぶ高速鉄道、「京广高速鉄路」が全線開業したと、トップニュースで紹介されていました。北京側の起点である北京西站からの中継も放映されて、国を挙げての祝賀ムードでした。

北京西站は、1996年9月1日に新築され、翌年1997年に京广在来線が開業しました。香港への直通列車の式典に招待された時の思い出が、昨日のように思い浮かび上がりました。

丁度この年は第1次高速化がなったばかりで、北京~広州、北京~上海、北京~哈尔滨の三大幹線を対象路線として、最高時速120km/h以上の路線は総延長1398キロ、同140キkm/h以上の路線は588キロ、同160km/h以上の路線は752キロに達したにすぎませんでした。その後高速化は、他の路線にも拡大されて、2007年の第6次まで続きました。
約16年経った今、その当時を考えると夢のような大躍進です。当時の香港までの国際列車は、約30時間を要しました。

03_北京西駅切手

【京广高速鉄路】
广州南~武漢は2009年12月26日に、深圳北~广州は2011年12月26日に、武漢~鄭州東は2012年9月28日に開通していました。今回開通したのは鄭州東~北京西で、中国中央部を南北に走破する全長2,298キロの世界最長の高速鉄路が完成しました。
インターネットからの時刻表では、香港との国境の深圳北駅までの列車(所要時間;9時間38分)が1往復、广州南までの列車(最速所要時間;7時間59分)が2本の計3本です。今まで夜行列車で約20時間30分を要しましたので、驚くべき短縮時間です。勿論、このほかに、区間列車は数多くあります。2015年には香港までの高速鉄道路線も開業予定です。次回は、一度乗車してみないといけませんね。

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今日は、明日チャーターする兴隆森林鉄路に先乗りして、森林局との前打ち合わせをします。手配していただいた趙さんと一緒に向かいました。
01_K7029
▲ 哈尔滨から兴隆镇までは、1日12本の列車があります。お昼ごろに着けばいいとのことで、9:25発の切符を手配していただきました。この切符は、ご覧のとおりパスポート番号や名前が印刷されていません。2012年1月から実名制切符となりましたが、1年経ってもまだまだ徹底されていないのが現状です。
またこの列車は、始発駅のチチハルを5:28に出発して、哈尔滨を経由してジャムスへと向かいます。ジャムス着は18:09.、運行距離は795キロ、所要時間は12時間41分。昼間に走る長距離列車です。途中乗車、途中下車の切符がよく取れたなあと思うほど、満席で無座客も多数でした。
04_興隆鎮駅[googlemap lat=”46.443534945303306″ lng=”127.12074279785156″ align=”Left” width=”300px” height=”150px” zoom=”13″ type=”G_NORMAL_MAP”]黒竜江省 興隆鎮駅[/googlemap]▲ 11:01、哈尔滨から北へ97キロの兴隆镇に到着しました。降りられる客も乗られる客も多数です。
この駅の1番ホーム駅名板は、ちょっと変わっていてエッチングされていて立派です。どうしてだか分かりませんが、珍しいです。
04_興隆鎮駅304_興隆鎮駅2▲ 列車が出た後、今度は哈尔滨方面へと向かう列車の改札が始まりました。マイナス25℃の凍てつくホームには、大勢の乗客がお待ちでした。
11:17、約50両余りのセキ5000トンを牽引して猛スピードで通過するのは、最新のHXN5型電気式ディーゼル機関車50275号機です。
GE社の技術移転を受けて2009年より300両が量産されています。GE社のAC6000CWがコピーもとでC+Cの軸配置、4,660kwの出力を誇ります。主に哈尔滨機関区に配属されました。
04_興隆鎮駅4▲ 11:19、中国鉄路で最大勢力を誇る東風4型電気式ディーゼル機関車DF4D3019号機が牽引する、北安始発牡丹江行きの14両編成のK7110次が定刻に到着しました。こちらは、688キロを所要時間14時間54分をかけて走行します。東風4型の軸配置C+C、出力は2,160kwです。

05_興隆鎮ホテル▲ 駅前には、兴隆林業局の車が待っていました。まずは森林局経営のホテルにチェックインして荷物を置き、13時過ぎに林業局鉄路部事務所へ参りました。右が事務所から見た機関区です。

今回の兴隆森林鉄路の訪問は、11月末に綏棱森林鉄路訪問に同行させていただきました丸谷氏のお誘いを受けました。丁度、小竹直人先生が企画しておられます綏棱森林鉄路撮影ツアーが28日スタートでしたので、日程がピタリと合いました。
私は失業者ですので、勤めておられる皆さんとは違って日程は自分の都合で調整できます。哈大高速鉄路の初乗車もしたかったので、前乗りで参った次第です。

当初の予定では、兴隆森林鉄路を走るレールバスの定期運行を撮影することでしたが、途中で約8年間静態保存されていたC2型蒸気機関車が動かせるとの情報がでまして、もし可動できるのなら是非にお願いしようということになりました。私一人が先乗りしての打ち合わせは、まず本当に動かせるのかの確認と、走行する場合の連結車両の選択と確認です。

兴隆林業局鉄路部の責任者が事務所でお待ちでした。子供さんが東京にお住まいとかで、今年も日本に行く予定をしていたが、島の問題勃発で断念しました。私は政府の人間なので、上から行くなと言われれば拒否できない。島の問題は争いではなく、政府間で話し合って解決してもらいたい。民間人はお互いの国の発展のために平和で友好関係でありたいと申されておられました。旅先でお会いした皆さん方は一応に争いを避けたい。早くに収束して欲しいと、我々と同じ考え方をお持ちなんだなあと思いました。

打ち合わせが終わった後、早速蒸気機関車の状態を確認に参りました。
06_車庫内SL106_車庫内SL206_車庫内SL3▲ 機関車修理工場に入ると、磨かれ黒光りしたC2型蒸気機関車がありました。
8年間の眠りを覚ますために約2ケ月をかけて走行できる状態に修理総点検を行ったと申されました。
試運転も車庫前を少し走っただけで、今回の走行は約10キロ先までを往復するだけなのですが、やってみようとの試運転になるようでした。無事に走行することを祈りました。
07_車庫のDLたち107_車庫のDLたち207_車庫のDLたち3▲ 車庫内には牡丹江型ディーゼル機関車5両が点検中でした。
08_車庫のDLたち1
08_車庫のDLたち2

▲ 上は、クレーン車です。「錦州」と、大きなプレートがありました。
08_車庫の外の車両▲ 車庫前には、いろいろと車両が留置されていました。左上は貨車ですが、鉄製有蓋車でもあり、通風車、タンク車、車掌車でもあります。このような貨車は日本では何と分類されて、型式を付けられるのでしょうか? ワテタヨキ??
左下は客車ですが「森林旅游」との表示がありました。観光用の客車なのでしょうかね。08_車庫の外のDL▲ 大型のレールバスですね。中に入ってみましたらエンジンが取り外されていました。廃車ではありませんので、単にエンジンの点検だったのでしょうね。
09_車庫の客車09_車庫の客車2▲ 車庫はまだありました。こちらは客車や貨車用の修理工場です。台車や車輪がうず高く積んでありました。奥には観光客車がありましたが、外観上から見ますと、腐食が進んでいるようで総点検修理が必要なようです。

10_機関区110_機関区2修理工場からDLに牽引されてC2型が出てきました。
牽引する牡丹江型ディーゼル機関車は、工場内でみた機関車とは違っての両運転台タイプでした、

10_機関区3一旦引き込み線に入ってからスイッチバックして、機関区へと入っていきました。機関区の扉は両開きの観音ドアではなく、上から落とすシャッターでした。
機関区内の温度保持のためにドア下には、ご丁寧にマットを敷きます。
中で、走行前の最終準備に入ったようです。

しばらくは出てこないようですので、公園横の路線に移動しました。ここには静態保存のC2型が展示されていました。
構内図がお分かりにくいとおもいます。分かりやすいインターネット記事がありますので、こちらをご覧ください。

11_公園で展示のC211_公園前の路線▲ 静態保存機が展示してある公園前の路線です。上が貯木場へと向かう方向です。広い道路と平面交差をしていて踏切があります。踏切手前が奥地へと向かうレールバスの乗降所になっています。
12_▲ こちらは踏切から見た光景です。おとぎの国の城にあるような建物は、夜にはライトアップされてとても綺麗でした。レールバスは、向こう左側の車庫から来てこの位置で止まり乗客を乗せると、スイッチバックで真っ直ぐに奥地へと向かいます。

13_積み下ろし場13_積み下ろし場トロッコ▲ 13:45、貯木場の積み降ろし場に行ってみますと、人車トロッコが見えました。
近づいてみますと、降ろされた原木をトロッコに積み込んで、作業員が人力で処理場へと押して行かれていました。

13_積み下ろし場作業14_林鉄スイリン駅▲ 13:55、機関区に戻る途中で林鉄兴隆站に寄って、明朝のレールバスの発車時間と運材列車の時刻を聞きました。レールバスは、6:30発の18:30戻り着です。運材列車は、昼間の到着はなく、夜明け前の早朝または日没後と分かりました。要するに日中に撮れる列車は、朝のレールバスしかないのです。しかし、林鉄にしては立派な駅ですね。

15_仕上げ2▲ 15;53、一度電話を入れてみましたが、まだ走行できる状態にはなっていないという事でした。少し休んでから機関区に行きますと、外には出ていましたが、まだ何やらと調整中でした。15_仕上げ▲ どうも蒸気を送る管が凍りついていて、バーナーで溶かしています。これが最後の仕上げだったようで蒸気管が開通しましたので、走れる状態になりました。
15_仕上げ315_仕上げ4
 機関区前のわずかな区間ですが、思いっきり吹き上げて欲しいとオーダーを出して2回走行していただきました。

16_帰路夕闇が迫ってきました。外温もマイナス30℃近くになりましたので、今日はこれで撮影終了です。

夕食は、久しぶりに羊肉しゃぶしゃぶを食べに凍てつく道を向かいました。

深夜、丸谷氏ともう一人K井さんがハルピン空港からTaxiで着かれました。明日と明後日の予定を確認して早めの就寝としました。  Part4  へ続く

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