2013年 春の中国鉄路の旅 Part21 北満一人旅 その4 綏芬河から大連へ、復州湾塩田ナローへのアプローチ

第20・21日目 5月20日、21日
① 綏芬河 12:54(2728次)→翌日10:12普蘭店
② 普蘭店駅11:00(Taxi)→11:10ホテル13:30(Bus)→14:00普蘭店駅
③ 普蘭店14:30(Bus)→14:30復州湾16:00→17:00普蘭店
④ 普蘭店駅前17:30(Bus)→17:50

02_切符2国際列車撮影後の午後からは再び列車に乗って大連へと向かいます。綏芬河~大連は、走行距離1,494キロ、所要時間22時間29分です。

3連チャンの夜行列車の旅となりました。
3日間の移動距離は2,760キロと大したことはありませんが、3列車に乗っての所要時間は46時間19分はまずまずです。
狭いながらも我が家となった軟座寝台で大連への出発です。

ちなみに乗車するこの2728次は、5月14日に今までの瀋陽止まりが延長されてできたばかりの列車です。02_車内

01_2728次走行路線2

02_綏芬河2▲ 改札前の待合室です。座って待っていますと突然に切符と身分証を見せるようにと公安官がきました。全員の切符と身分証を見て確認しています。私がパスポートを出すと、手で「お前はいい」と無視されました。外国人はどうでもいいのでしょうか。国境の駅だけあって前回よりも警戒が厳しくなっていました。 待合室にWiFiの表示は初めて見ました。これは国際線接続駅としてのメンツなのでしょうか。
02_綏芬河
隣のホームには先ほど撮った国際列車が発車待ちです。まだ改札はされていないようで、機関車横では兵士が警戒しています。
ホームの真ん中に設置された柵だけが通関の境界線です。
窓越しにカメラを向けていると見つけたのか止めるように注意を促します。

02_車窓114:18、発車して1時間を過ぎると山岳森林地帯に入ります。
新緑と満開の杏の花の中を列車はループ線を回り蛇行しながらゆっくりと下っていきます。
綏芬河は海抜455m、哈尔滨は海抜128mで高差は327mあります。
明治34(1901)年に開業した東清鉄道の哈尔滨~綏芬河(浜綏鉄路)で最も車窓が綺麗な区間です。
02_車窓2往路では夢の中でしたが、この沿線の駅はこじんまりしたロシア建築が多く、中国鉄路では特異的な景観を楽しませてくれます。
04_馬橋河▲ 馬橋河駅です。
04_下城子▲ 下城子駅です。鶏西へ向かう城鸡線(城鸡铁路)の分岐駅となっています。牡丹江~虎林は客レ2往復が運行されています。
03_磨力石▲ 磨刀石駅です。
05_新線05_新線2▲ 16:19、牡丹江近くになってきますと、牡丹江~綏芬河138.8キロに建設中の高速鉄道の橋脚がずらりと見えます。2013年に複線電化で完成予定だそうですが、現状を日本の常識から見ますと、とても無理と思います。
しかし、それをやってしまうのが中国の今の勢いなんですね。牡丹江方向からは橋の床版が製造されて送られ、1本1本と伸ばしているのが見えました。

06_牡丹江▲ 17:06、牡丹江に着きました。ホームの向こうにC2型蒸気機関車が見えました。「牡丹江号」とのプレートが付いています。説明板があるようですが、遠くて写せませんでした。近辺の森林鉄道で使用されていたと思われます。次回は降りてみて見ましょう。
06_車販弁当
今日の夕食は車内弁当にしました。
珍しくぶっかけ御飯です。これで15元(約250円)は納得です。

 

—————- 一夜明けて —————— 
味も良かったので翌朝は食堂車に行ってみました。なんとバイキングで用意してあります。料金は夕食と同じ15元でした。
07_朝飯
08__普蘭店▲ 10:18、普蘭店に到着しました。当初は大連まで乗車して宿をとってから復州湾ナローへと向かう予定でしたが、普蘭店をベースにすれば近くて時間的にも十分時間がとれます。途中下車を乗務員に告げて降り立ちました。
09_ホテル2まずは駅前での宿探しです。駅横に併設された宿屋がありましたので、空いていますかと聞くとOKです。部屋を見せてもらいましたらシャワー・トイレ付で120元(約2,000円)とリーズナブルなのでこちらもOKを出しました。

順調と思われたのですが、店の奥から経営者らしいおばさんが出てきて、「普蘭店は外国人宿泊にはうるさい所なのよ、公安に許可を取りにいかなければならない。」と申されます。行かなくてもいいのにと思いましたが、公安まで行くとやはり許可が出ません。
そしておばさんは、駅前で外国人が泊まれるホテルは1軒だけと言います。宿賃は400元(約6,500円)だそうですが、そんな大金は出せませんでした。
するとおばさんはTaxiで5分ぐらいで安いホテルがあると紹介します。他の駅前ホテルを探そうと考えましたが、このおばさんが見ている以上は通報されますので不可能です。仕方なくTaxi(5元)で向かいました。
09_ホテル▲ 11:10、ホテルに着きました。中国では4ツ星、5ツ星の高級ホテルは別にして庶民的なホテルは、予約よりも飛び込みで入る客も多数おられます。空き室があるかどうか、宿泊料はいくらかを聞いた後は部屋を見て確かめてから決めます。これで良ければ成立です。
私もフロントで2泊しますので空き室はあるか、インターネットは出来るかと聞きますと、今日は安い部屋は満室で180元の3人部屋しかない、明日は安い120元の部屋を提供できます。インターネットは有線LANがありますと言われましたので、まず部屋を見せてもらうことにしました。
3人用と言われたのはファミリールームのようでダブルベットとシングルベットが並んでいます。部屋も広く浴室にはバスタブも付いています。バスタブ付きは貴重ですので気に入りましたが問題は高い宿泊料です。

中国では何か物を買う時は、値段交渉するのは日常的で駆け引きは面白いものがあって買い物の楽しみでもありますが、ホテルでは予め繁忙期と閑散期で宿泊料を決めていて、その日の料金はフロントで提示されています。会員制のあるビジネスホテルでは会員割引料金も提示されています。何度か安くの交渉をしたことがありますが、フロントのお姉さんは頑として交渉に応じてはくれませんでした。
今回も宿泊料金交渉は無理と諦めていましたが、ダメもとで「駅前からTaxiに乗って、わざわざ来ました。お金のない老人なので割引してもらえないか。」と頼むと、責任者と相談をして、1日目は140元(約2,300円)にしてくださいました。たまには、言ってみるものですね。40元もの割引は大きいものがあります。ありがとうございます。

10_バス切符これで宿は決まりました。
しばらく汗を流していませんのバスタブにゆっくりと浸かって、ついでに洗濯をしてから出かけました。

10_バス復州湾に向かうバスが発着するターミナルは国鉄普蘭店駅前にあります。
倹約のためにホテルからはフロントで駅に行くバス停と系統番号を聞いてバス(1元)で向かいました。

バスターミナルで復州湾に行くバスを探します。丁度14:30発がありましたので、乗り込みました。
バスは中型バスです。それほど需要はないようですね。

【 中国のナロー鉄路 】
中国には今なお多くのナローゲージ鉄路が残っています。
四川省芭石鉄道、广元の監獄鉄道は現役でC2型蒸気機関車が走るので有名ですが、東北にも綏棱森林鉄道、興隆森林鉄道のようにDLは勿論、チャーターすれば蒸気機関車を走らせてくれる鉄路があります。
それ以外の東北では、蒸気機関車はありませんが、復州湾・営口錦州の塩田、大連近郊の露天、阜新炭鉱にも隠れたナローが存在します。南の方では四川省沙湾の鳥籠、河南省許昌、また南京にもあるように聞いています。他にも未知のナローが存在しているようです。
※ 修正;  部分は既に廃線

今日はまだ来たことがない遼寧省復州湾塩田ナローを4日間をかけて探訪します。
初めてで一人ですので、前もって鉄道ホビダスの名取紀之氏が詳しく書かれています2008年訪問を読んでから印刷もして持って参りました。
また中国ナロー鉄道をこよなく愛されるKさんからも訪問記録、撮影された写真や地図をいただきました。これを参考にしての訪問です。

▲ 普蘭店駅前から復州湾までは約40キロ強はあります。

14:30、バスは6割程度の客を乗せて発車しました。10_バス車窓10_バス時刻表10_バス終点▲ 普蘭店の町を出ますと信号もない1本道を走ります。高速道路や新幹線とも交差して潮風が漂う集落に入って止まりました。終点ですが周りにレールはありません。途中で製塩工業がありましたが、レールは錆びつき門は閉まっていました。約1時間余りを要しました。

運転手に塩田のナローはどこかを聞きますと、ここは金城運輸站五島運輸站の中間点辺りで、ナローが走っているのを見るには、三輪Taxiに乗って五島方面に行く必要があるそうです。
今日は事前ロケハンをして、あわよくば夕刻に戻ってくる職員運搬列車を夕日の光景をバックに撮ろうと思っていましたが、難しい状況です。天気もどんよりとしていて夕日は望めません。

10_バス終点2それよりもバス車内に掲示されていた時刻表の最終便は4時です。もう1度運転手に聞きますと、もう1台が次に来るのでそれが最終バスと申されます。時間は4時半だそうです。
ゆっくりと2時間ぐらいはウロウロとできるかなと思ってきましたが、これでは時間的に無理です。
仕切り直しが必要です。今日は諦めて、折り返しのバスで戻ることにしました。

今回は事前に調べてきたつもりでしたが、実際に現地へ来てみると全くすり合わせができません。初めての地を一人自力訪問では方向すら分かりません。案内人のいない辛さです。運転手に聞くと駅前からここに向かう始発バスは、6時だそうです。
明日は早朝から万全を期して再訪する気持ちを固めました。 Part 22 へ続く

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