2014年 天空の鏡 チャカ塩湖に走るナローへの旅 Part12 西安⇒北京 西安北站、中国高速鉄道の現状

高速鉄路03▲ 今日は西安北からCRH(高速電車)に乗車して北京西に向かいます。赤線が乗車する高速鉄路の区間(営業距離:1,216キロ)です。
中国の高速鉄路は北京オリンピック直前の2008年8月1日に開業した京津城際鉄道(北京南~天津、116.907キロ)から始まりました。実質距離こそ違えてはいますが、日本の新幹線(東京~新大阪、515.4キロ)が東京オンピック直前の1964年10月1日に開業したのとよく似ています。
国家の威信をかけて建設されましたが、中国では大躍進の新規開業が相次ぎ、気が付けば10,000キロを超えて日本の新幹線(2,620.2キロ)の3倍を上回る距離で建設されています。今年中には4倍を越えようとしています。

なぜにこれほど計画通りスムーズに開業が相次いでいるのか、それは都市間移動短縮に伴う大きな経済効果があげられますが、中国では55もの少数民族を有しているがために日本とは違った事情があります。
最近では新疆ウィグル自治区に始まり、少数民族による反政府テロが発生しました。これを武力鎮圧するには短時間で大勢の軍隊を移動させなければなりません。外務省公式HPでは中国960k㎡、日本は38万k㎡と約25倍もの大差があって、もし有事があった場合には高速大量輸送が国策上で欠かせないためでもありました。
高速鉄路建設には最初に用地買収が必要ですが、土地は国の物であって使用権は認められているものの国策となれば転居は強制的に行われます。日本とは全く違った状況が早期の高速鉄路建設の前進を進めました。


第12日目 8月20日

① 安远门7:41(地鉄)⇒7:59北客站
② 西安北9:00(G654次)⇒13:53北京西

DSCN481301▲ 早朝のホテル前は、いつも朝食屋台が集まっていました。
ホテルの朝食はチェーン店の定番バイキングですので、昨日同様にここで買い求めて部屋で食べます。ここは漢族が住む地域ですので回族風は見かけられません。
DSCN481702今日は、煎餅巻菜をいただきます。小麦粉をクレープ状に焼いた皮に卵を落として割ります。次に薄い揚げパン(脆饼)を乗せて、薬味(ネギ等の涼菜)を振りかけます。そこにソースとして、テンメンジャン(甜面醤)とラージャン(辣醤)をかけて2つ折りにしたら出来上がりです。
中国各地の屋台で見かけますのでどこで発祥されたのか分かりませんが、地域によって米粉、トウモロコシ粉、大豆粉、小麦粉を混ぜた生地やソーセージを挟むものもあって、それなりに楽しめます。日本のおせんべいのルーツはこれだそうです。他にベトナムの春巻きや日本のお好み焼きのはるか昔の起源は、これなのかも・・。
※ ウィキペディアの煎餅(せんべい)の歴史に詳細な説明があります。こちらです。

DSCN481903DSCN4822_12▲ 7:59 地下鉄安远门(安遠門)から西安北站に向かいます。上は鐘楼方面に向かう反対方向の電車ですが、ラッシュ時とはいえ落ち着いた乗車でした。子供連れは次の電車を待たれます。

DSCN482304DSCN4828_1▲ 8:00 着いた西安北站の地下コンコースは、やはり乗換客で一杯です。高速鉄路の自動切符販売機前は長蛇の列ができていました。と、いう事は乗車直前に切符を買っておられるのですね。頻繁に発車する高速鉄路開業は、人民の切符の買い方にも変貌が出ています。

DSCN483006▲ 8:13 高速鉄路入場口で実名制切符とパスポートとの確認、荷物のX線検査を受けて站内に入ります。

DSCN483207DSCN483308DSCN483810▲ 8:14 長いエスカレータで上った待合コンコースは高い天井からの光を浴びて明るく、床は輝いていました。

中央に位置するカウンターでCRHサービスの水のペットボトルを受取ります。

DSCN484211▲ 中央に仕切られた待合室は、商務車(ビジネスシート車)専用です。1等待合室の設置はありません。

DSCN484312_1▲ 今日の切符と発車改札口の案内表示です。切符には実名との照合済み印が押され、水のペットボトルを受取ったチェックが入っています。
1等の運賃・切符代は、824.5元(約13,600円)、比較対象の新幹線の東京~久留米(1,210.6キロ、グリーン)の32,740円の半額以下です。ちなみに2等車指定席では、515.5元(約約8,500円)と25,100円で、約3倍です。2等車でも良いのですが、中国鉄路ではA~E席の指定ができません。B席になるのは長時間移動では窮屈ですので贅沢ですが1等席を選んでいます。

DSCN484814_2▲ 8:40 20分前になると改札口前には乗客が集まりだします。

DSCN485015▲ 8:45 15分前に改札開始です。ホームへの降り口は1つしかありませんが皆さんゆったりと指定席車両へと向かわれます。

DSCN486018▲ G645次は2010年7月1日、滬杭城際鉄道(上海~杭州、301キロ)開業時に登場したCRH380ALです。14M2T編成、出力21,560kw、設計最高速度400km/hの中国第2世代の高速車両で、中国南車グループの青島四方機車車輛股份有限公司が製造しています。
滬杭城際鉄道では当初最高速度356km/hで、運行されていました。瀧本さんや篠崎さんをお連れしてCRH380A運転席後ろの展望席からの初体験の超スピード感を堪能しました車両です。

DSCN485816▲ 先頭車側面はエアロフォルムに基づいた長いノーズですが、長さといい500系に似ていませんか。500系が早くにのぞみ運用から消えた原因の1つとして乗務員ドアがなかった事が挙げられていますが、この車両も同様です。
シーメンスから伝授されたCRH3には運転席後ろに展望席が設置されていますのでスペースの関係で、乗務員ドア設置はありません。”はやて”改良型のCRH380Aを設計する折に好評の展望席を設置するために省かれたものと思われます。コピーとパクリには長けた中国ならではの設計ですね。
編成は、西安鉄路局所属のCRH380A-6092L、①1等/商務車、②③1等車、④~⑧2等車、⑨食堂車、⑩~⑮2等車、⑯1等/商務車の堂々の16両編成です。CRH380ALの編成には2バージョンありますのでご注意ください。

DSCN485917▲ 向こうのホームにも同じCRH380A6071LCRH2-129Eが見えます。このCRH2Eは、16編成中先頭車と8号車の食堂車を除いて軟座寝台車となっています。何回か乗りましたが、昼間は座席車として運用されています。8M8T編成出力9,600kw、最高運転速度250km/hタイプです。CRH2にはその他いくつかの派生型があります。

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▲ 同じホームとなり線にはCRH2-299Aが止まっています。4M4T編成で、出力4,800kw、最高運転速度250km/hタイプです。うん、こちらは乗務員ドアが設置されていません。製造時に変更したのかな・・。今まで見ていましたが気が付きませんでした。次回確認します。
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▲ 9:00 定刻に発車しました。
隣のお嬢さんは足元にある電源コンセントでスマホを充電しながら使っています。
前後の席でも同様の光景が見られます。スマホはいずれも電池消耗が激しいので電源が取れるのは便利です。
私的には飛行機の座席のような各席USBでの充電も設置されていても良いかなとは思いますが・・。

DSCN488922DSCN490425_1▲ 9:51 タブレットを広げて、走行している現在位置を見ます。乗り鉄旅には大変便利です。GPSロガーでは速度表示と走行した距離が出ます。

この路線は、開業当初には300~350km/h運転だったのですが、あの事故以来スピードダウンがされました。乗車中に300km/hを一度も超える事はありませんでした。

DSCN491929DSCN489523_1g▲ 列車乗務員のお姉さんがCRH菓子箱を配布してきました。中にはご覧の通りの品々が入っています。商務車では弁当も支給されます。中国では飛行機に搭乗すると短時間の国内線でも食事や弁当が配布されますので、競争相手として意識したサービスです。

DSCN490826▲ 車窓を楽しみたいのですが、ご覧の通りのトウモロコシ畑が続いていくだけで代わり映えしません。旧満州のように海が見えたり、丘陵があると良いのですが・・。

DSCN491627▲ 12:36 石家庄に早着です。この駅では在来線も並行して発着しています。向こうに見えるのはSS7-0098号機、手前はHXD3D-0056号機牽引の列車です。

SS7型電気機関車(韶山7型)は、1986年と1987年に川重より輸入した85台の6K型電気機関車(源の設計;ED75型+EF66型)の実績が好評だったところからこの技術を流用して国産化されました。1992年から大同电力机车有限责任公司で113台が製造、当初は山岳区間が多い南昆線用として集中配備されました。軸配置BoBoBo、出力4,800kw、最高速度100km/h。

HXD3D型電気機関車は、東芝からインバーター技術を技術供与するために設立された大连机车车辆有限公司(旧;満鉄沙河口工場が2012年から製造中です。軸配置Co+Co、出力7,200kw、最高速度160km/h、各鉄路局に配車されています。
両車とも日本の血を引く電気機関車です。

DSCN491828▲ 高速鉄路側のホームにはCRH5-85Aと手前にCRH380B-6452L編成が発車待ちです。

CRH5はフランスのアルストムのから技術導入されたETR600系(Pendolino)のコピーですが振り子仕様ではありません。中国北車集団の长春轨道客车股份有限公司で製造されていて主に東北方面に配車されました。車体幅が3,240㎜とCRH2の3,380㎜と比べると狭く、車内居住性ではCRH中、最悪です。特に”はやて”のCRH2は車体にダブルスキン構造が採用されていますので実質の車両内幅が広く、乗り比べると違いは歴然としたものがあります。
8両編成での出力は5,500kw、最高速度250km/hです。

CRH380BLはドイツICE3からのCRH3を増強改良した車両で同じくベース車よりも約30㎜拡幅されています。唐山轨道客车有限责任公司で製造されています。こちらは16両編成(8M8T)で出力18,752kw、最高速度380km/h(通常は現在、300km/h)です。

お腹が空いてきましたので食堂車まで弁当の買い出しに行きます。
DSCN492130▲ 2等車車内です。ご覧の通り全席満席。

DSCN492532DSCN493133▲ 食堂車は無座客の席でもあります。適当に注文して座席確保です。

車内で販売される弁当は電子レンジで温めたもので、お味はまあまあですが、私的には客車列車の列車食堂で作って車販される弁当の方が好きです。
今日は座席に持ち帰って車窓を見ながら食べました。

13:51 北京西にも若干の早着でした。西安西から北京西まで1,216キロ、所用時間4時間51分、平均速度は250.7km/hと快適な旅でした。この区間を在来線で行くと最速列車でも12時間23分もかかる1泊の乗車です。約1/3になった時間の短縮は、我々日本人が東海道新幹線開業で受けたと同じ衝撃を持って受けられているのでしょうね。交通インフラの急激な進化は、更なる大躍進があるだろうと容易に想像できます。民度が低い、未熟だと思っているとその内にしっぺ返しを受けるかもと危惧する旅でもありました。   Part13  へ続く

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