2014~2015年 凍える大地への旅 Part16 長春路面電車(トラム)その1

DSC_1783_112▲ 冬枯れの白くなった軌道を長春路面電車54号系統の新型車両900型が走ります。この54号系統が走行する路線は日本統治下時代に建設されました。殆どが廃線となりましたが唯一残っている路線です。2005年訪問時には日本車両名古屋で製造された路面電車が更新されてまだ元気に走っていました。

前回訪問したのは2012年11月17日でした。その時は全ての車両が走行路線に置かれ再開業なる日を静かに待っていました。その前の5月に来た時は全車元気に稼動していましたのでなぜに運休しているのかと驚きでした。ただトラムが走っていた専用軌道横の広い道路は高架橋の建築工事が始まっていました。車庫も立て直し中でしたので、道路工事が済むまでは当分運行されるのは無理だなと思い、以降そのままになっていました。

以降4回の訪中の際に何度か長春站に降り立つ事がありましたが乗り継ぎばかりで訪問する機会はありませんでした。どうなったのだろうと思い今回の訪中前に調べてみますと新型車両が投入されている。また哈大高速鉄道の開業により新設された長春西站への延伸線も開業したとのネット情報を見ました。これは是非に見に行かなければと機会を作りました。

第13日目 1月7日 その1
① 長春站6:43(軽軌)⇒7:05寛平橋

長春站で小竹先生とお別れてしてから軽軌に乗車してトラムとの乗換駅の寛平橋で下車しました。階段を上がりトラムが走る道路に出ますと、2年前には何もなかった道路上には高架道路が出来ています。中国の高速鉄道や高速道路が建設されるスピードは日本とは比較にならないほど早いと思っていますが、ここも同じです。工事進行についてスピーディに行われるのは一党独裁政権国家ならではのワザと認識していますが、やはり驚かせられます。
DSC_1718_102▲ 7:11 東の空が明るくなってきた中、多くの乗客が待つ電停に新型車両900型が向かってきました。ご覧のように右側には完成した都市高速道路に車が走っています。

DSC_1723_103▲ 7:13 向かいの電停にも900型が入ってきました。
長春西站への延伸線がどうなっているのか早く見たいので次の電車に乗って西安大路方向に向かう事にしました。

DSC_1921_200▲ 電停に掲示されている路線図。青色の路線が従来からの54系統、緑色が新しく延伸された高速鉄道長春西站に至る55系統です。南阳路から分岐して約5.1キロが2014年12月に全線建設完了なりました。

② 寛平大橋7:15⇒7:37西安大路
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▲ 7:15 乗って見て気づきましたが、この車両は低床車ではなく出入口にステップが付いています。そしてオールロングシートです。中国でこの5年間に新造されたトラムは全て70%、または100%の低床式でした。座席もセミクロスシートです。乗客にとって快適になったのは旧型に比べの静粛性と冷暖房車になったという事です。確かに今までの車両は扇風機もなく、厳冬は隙間風が入る寒さでした。車内空間は確かに良くなりましたが障碍者や老人等が乗り降りに楽な低床車にどうしてしなかったのでしょうか。長春には中国の最新鉄道車両を製造する長春軌道客車株式有限公司があります。なぜに長春軽軌にも使用されている低床式を投入しなったのでしょうか。これからの都市内交通機関の進むべき流れを考慮していないようで残念です。

車内は、大きく窓をとった開放的で明るい最近の電車を見慣れているせいなのか、何か閉鎖感があります。そして窓枠、握り棒、つり革等の内部装飾は洗練されたものではなく垢抜けしていません。野暮ったくもあります。外観も色合いこそ派手ですがスタイリッシュとは言えず何かバランスの悪い箱が走っているように見えます。内外装ともデザインを検討したのかと疑りたくなります。まあパクリがない自国製だとこの程度までなのかと諦める事にしました。

【 900型 】
車両長15,850㎜、幅2,500㎜、高さ3,170㎜、製造;沈阳新阳光机电科技有限公司、-40℃対応、形式;SY-YG16-2、電動機;75kw×2、最高許容速度70km/h、営業最高速度50km/h、加速度3.0km/h/s、減速度3.6km/h/s(通常)・4.33km/h/s(緊急)、定員150人(座席40人)、重量22t、車輪直径700㎜、投入開始:2012年12月28日、製造数;46両

DSC_1731_105▲ 7:24 最後部から走行ぶりを見ていましたら長春西站への路線が分岐しているポイントを通過しました。丁度55系統のトラムが渡ってきました。分岐電停は南阳路でした。降りようかなと思いましたが、このまま終点の西安大路まで行く事にしました。

DSC_1733_106▲ 7:34 最新車両だけあって運転席にはモニター画面が設置されています。拡大して見ていただければお分かりと思いますが、現在8.6km/hで走行しています。現在時間は7:41で7分違っています。10月に訪問した瀋陽のトラムの時計はバッチリと合っていましたので、当初の設定が曖昧だったようです。
電圧;DC600V、車外温度;-10℃、室内温度;+2℃と車内温度は暖房はきいておらず快適な温度にはなっていません。トリップメーターは735キロとなっていますので、ホカホカの新車のようですが・・。

DSC_1734_100DSC_1750_107▲ 7:37 西安大路に到着。バタ臭い光景は昔から変わらずです。

01_DSCF0334_100▲ 1999年8月10日、15年前のの撮影です。当時の電停名は和平大路でした。

DSC_1764_108▲ トラムが発車ホームに入りますと待機していたおばちゃまたちがブラシやぞうきんを使って車体外側の清掃を始めました。CRHも起点終点站ホームでは同じような清掃をやっています。折角の新車ですので綺麗にしておこうなのですね。路面電車の電停でこのような清掃が行われているのは初めて見ました。

③ 西安大路7:50⇒7:53緑園
再びトラムに乗って、緑園まで移動しました。
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DSC_1782_111▲ 8:06 やって来た同じ900型、車両番号は運転席横の外側に小さく表示されていますのでよほど近づかないと分かりません。

温度は-7.3℃、悴む寒さですが三道嶺や中朝国境撮影に備えて-30℃対応はしておりますので歩くと汗ばんでもきます。

DSC_1797_113▲ 8:24 景阳大路電停、屋根付きになっています。

DSC_1814_115▲ 8:36 ようやく冬の日差しが差し込み始めました。モニュメントがありましたが、どういったコンセプトがあってこういったものになったのか理解に苦しみます。

DSC_1815_116DSC_1819_118 DSC_1816_117▲ 8:36 电车公司電停は電車区前にあります。柵越しに覗いて見ましたが、運用されているのは全て900型で統一されています。前回には留め置かれていた旧型車両たちはいません。ただ奥に古い2両が置かれていました。1両は中華人民共和国建国後に初めて1959年に自国製造された长春号です。製造は长春轨道客车股份有限公司、1両のみでしたが記念の車両として保存されているようです。

SANYO DIGITAL CAMERA▲ 元気に営業運行についていた2005年5月の撮影です。2006年に現役を退きました。

DSC_1822_119▲ 8:24 电车公司電停です。この後も撮りながら歩いて長春西站への分岐のある南阳路まで行き55系統に乗って長春西站へと向かいました。  Part17へ続く

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