北海道旅行記、いろいろ書きたいこともありますが、今年もあと一週間と言う時に「秋」の話では、鮮度落ちも甚だしいところで、今回を最後にしたいと思います。“ヤマ線”でもう一ヵ所確認したかったのが倶知安でした。蒸機時代、駅の裏手にユースホステルがあったため、連日、C62を追う前線基地として、よく乗降したものです。かつては倶知安機関区もあって、“鉄道のまち”として賑わっていたものの、今はすっかり無くなってしまったことは、長万部と同じですが、訪問してみると、少し違った様子が見て取れました。
▲倶知安駅、ここで外国語が聞けるとは思わなかった。
▲上り「ニセコ1号」の倶知安の停車時間は6分、ここでも列車から飛び降りて、編成全体を写す。C62では、給水と火床整備に忙しい。「ていね」から「ニセコ」に変わって、食堂車の連結がなくなり、やや寂しい編成となった。
倶知安駅に降り立つと、裏手には機関区があって、いつも煙が絶えなかった。しかし、機関区廃止後、すっかり整地されて、一部には公共施設も建っていて、駅は二面三線の小さな駅になっている。ただ駅そのものは、長万部と比べると、結構な賑わいを見せている。調べると、倶知安町の人口は約1.5万人と、昭和40年代の2万人と比べても減少はそれほどでもない。長万部は約5千人で、そもそも町の規模が違うことと、周辺の観光地では、とくに外国人観光客に人気があって、駅で耳にしたのは中国語だった。
北海道新幹線の札幌延伸計画でも、倶知安に駅が設けられる。もともと札幌まで2030年に開業予定のところ、観光客を当て込んで、新函館北斗~倶知安を2025年に前倒し開業することの動きがあると言う。その際は、リレー特急を、小樽・札幌へ運転することになり、一時的とは言え“ヤマ線”も意外な形で活況を呈するかもしれない。
▲山間部を走るだけに天気が目まぐるしく変わる。急に雨が降ってきたが、倶知安に着いた時には、雨も上がって虹が出ていた。
▲倶知安から乗車する小樽行き1945Dは、キハ150+キハ40の2連、倶知安から小樽寄りは、明らかに各駅での乗降が多い。
▲昭和43年8月、C62「ていね」に乗って、初めて夕刻の倶知安に到着した。確かいまは亡き1年先輩のKさんと一緒だった。ユースへ向かうため、跨線橋から発車直前の「ていね」をとらえた。ホームにある水飲み場は、倶知安駅名物の羊蹄山の湧水、同じ角度から、48年後に対比すると、ものの見事に何もなくなってしまった。
▲D51146に牽かれて進入するのは網走発函館行き124列車で、北見~札幌は急行「石北」として運転、札幌で段落ちして、寝台車・グリーン車を切り離しているので、急行崩れとはいえ、見かけは普通列車と変わらない。
▲右は廃止前の胆振線の列車、左は急行「らいでん1号」、どちらもキハ22の単行、貫通扉が開いているのは、これからもう1両増結されるところ、両運転台でデッキ付きのキハ22は、ローカル線の単行急行に重宝された。
▲駅からは羊蹄山がきれいに望めた。
▲あちこちから蒸気が漏れて、幻想的な風景に。▲そして倶知安名物、夜のC62発車の撮影にもよく行った。いつもユースに投宿して、休んだあと、頃合いを見計らって、みんなで駅へ向かったものだ。▲「倶知安機関区」と彫られたアーチの手前に、ちっぽけな貨車が停まっている。安全走行のため、2段リンク未改造の貨車は、最高速度65キロに制限を受け、北海道内に封じ込められため、本土では見られない形式も多い。のちに青函連絡船に誤って入り込まないよう識別を強化し、「道外禁止」の文字と太い黄帯が付けられた。以下、北海道で見られた珍しい貨車を載せて、最後にしよう。
以下、左上から右へ ◎三軸のチサ470(形式チサ100) ◎原木を積載したチサ100形(12尺の原木が2列に積める) ◎タム1697(形式タム400、私有貨車) ◎セキ6566(形式セキ6000。北海道の石炭車はすべてセキだが、このセキ6000は比較的少数) ◎コンテナ2個積みのコム37(形式コム1) ◎コンテナ3個積みのコラ19(コラ1、いずれも無蓋車からの改造、北海道ならではの二軸コンテナ車)
総本家特派員様
北海道訪問記を涙を流しながら見せて頂いております。C62、D51などの蒸機の雄姿は貴君の十八番ですので その確かなカメラアングルにはいつも感心させられていますが、今回驚かされたのはタ、チサ、タム、コム、コラといった内地では見られない貨車たちを紹介して頂いた点です。道外禁止の黄帯を巻いた貨車を見ると北海道へ来たという感激にひたったものでした。今回の連載はこれでおしまいということですが、また別のシリーズで涙なしでは見られない名作をご披露下さい。
西村様
涙なしでは読めない記事を読んでいただき、ありがとうございます。貨車については、好評に応えて?車番・形式を追記しておきました。国鉄の貨車、と言うのはブラックボックスと言うか、資料も少なく、あまり撮っていませんが、北海道だけは、封じ込めの貨車など、興味深いものがあり、気が付けば撮っていました。チサ、コム、コラなどは、北海道ならではの称号ですね。