本シリーズ、前回は和歌山電気軌道の和歌山市内線をご覧いただきました。た~ちゃんが訪れた当時、和歌山電気軌道には、もうひとつ東和歌山(当時)~貴志の鉄道線がありました。昭和36年には、南海貴志川線となり、いまの“たま駅長”、“いちご電車”の和歌山電鐵です。
た~ちゃんの述懐を続けますと、最初に和歌山へ行ったのは、昭和27年、14歳の時で、関西急電の華モハ52に乗りたい一心で、一人でカメラも持たずに東和歌山へ日帰りで行ったそうです、構内にいた4輪車が琴参電鉄から来た電車とは全く知らず、次いで昭和32年には、今回発表する訪問となりました。その時には琴参電車は解体後で、あとで高橋弘さんから、もと琴参車の写真をいただいた感動が忘れられないとのこと、それを使って「関西の鉄道」で貴志川線の琴参電車を紹介したところ、編集長に召し上げられたと思い出しておられます。
△ 東和歌山から和歌山電気軌道の鉄道線に乗り、伊太祁曾の車庫を訪問しての帰りに、岡崎前で801+202と交換した。801は、もとガソリンカーで、ほかにも阪急・東急から来た中古車両ばかりで、新造した電車が1両もないことは、いまも変わらない。
△ 201(モハ200形) 前身の山東軽便鉄道のガソリンカーのキハ201を、昭和16年の電化とともに電車に改造した。
貴志川線については、JTBパプリッシング発行の「昭和30年代鉄道原風景」に、ご本人が成立やその後を概説されているので、以下に転載しよう。
和歌山駅東端から出入りする貴志川線は、大正11年(1916)開業の山東軽便鉄道による蒸気運転がスタートである。昭和16年に電化工事に着手、部分竣工区間から電車を走らせ、2年後に全線電化となった。最初は、琴平参宮電鉄から購入した四輪単車であったが、ガソリンカーの電車化や、他社から中古車を購入した。昭和30年に和歌山電気軌道と合併、6年後に南海電鉄の一員となり、以後は同社の転入車が相次いだ。沿線に住宅地開発もあり、居住者も増加したが、自家用車保有による客離れが続いている。平成7年には南海高野線22001形改造の冷房車、2271系MT編成6本を投入、ワンマン運転に切り替えたが、経営改善ならず、平成16年9月の廃止が予定されている。
と結んでいるように、瀕死の貴志川線は廃止寸前の状態だったが、住民パワーと再生公募に応じた両備グループによって、平成18年に南海から引き継ぎ、和歌山電鐵として、リ・スタートを切った。
なお、前身の山東軽便鉄道のDCについては「内燃動車発達史」下巻(湯口徹著)に詳しく解説されている。本文には「この鉄道は内燃動車(のなれの果て)が大好きで、敗戦後も各社から買い集めて再生した」と記している。
△ 202(モハ200形) 同じく山東軽便鉄道時代のガソリンカーのキハニ202で、電化とともに電車に改造された。正面3枚窓だが、左側の窓が細い。
△ 206(モハ200形) 昭和6年製のガソリンカー、江若鉄道のキニ1・2を戦後に譲り受けて電装、205・206とした。車庫のある伊太祁曾で撮影。
△ 601(モハ600形) 阪急81形の車体に、南海より譲受の台車を付けて、昭和30年601・602として登場させた。側面窓の上部はRが付いている。
△ 801(クハ800形) もと芸備鉄道の片ボギーガソリンカー、キハ3で、国鉄を経て譲受、トレーラーとして使用した。その後、サハ8001と改番され、昭和30年クハ801となった。
△ 803(クハ800形) もと片上鉄道のガソリンカー、キハニ120で、昭和10年の製造、荷台が両側に付いている。戦後にトレーラーとなり、フハ120となって、和歌山へ入線しクハとなった。Rのきつい正面、広い幕板に両側デッキと、かなりユニークな車両だ。
△ 804(クハ800形) 東急より譲受のクハ3144を、昭和30年にもと阪急1形8の車体と振り替えてクハ化し、804となった。貴志側のみ運転台があり、多客時に貴志側に連結され。M+Tcで活躍した。
乙訓ご老人のネガは学生時代から熟知していますが、この「たーちゃん」ではピントもコントラストも素晴らしくいいですね。後者はデジタル処理でいかようにでもなりますが、前者はアンシャープマスクのご利益でしょうか。要するに総本家さんの手のひらで自由自在という次第なんでしょうか。
湯口様
またまたのコメント、ありがとうございます。今回の写真は、分厚い写真アルバムを渡されて、“これやっといて”と頼まれたもので、すべてL版写真をスキャンしています。私も長い間、モノクロスキャンに専念し、“インスタ映え”ではないですが、“デジ青映え”する手法を編み出し?ました。
写真は普通にスキャンします。L版の場合は4枚ひと組みでスキャンします。修整ソフトで、調子の調整、キズ取りします。PC上では、コントラストが強くなるので、やや軟調気味、つまりシャドウは明るくして黒ツブレのないように、また白トビがないようにハイライトはやや濃くします。そして湯口さんも以前にお書きですが、トリミング、傾きに注意します。ちょっとでも傾きがあると、稚拙な印象を受けますので、かなり神経質に、物理的、視覚的な両面から傾きをチェックします。そして最後にシャープネスを掛けます。普通は、スキャン→修整→シャープネス→リサイズですが、PC上の見映えからすると、リサイズしてから、修整ソフトでシャープネスを掛けたほうが良いようです。かなり面倒な工程ですが、やっぱり写真が命ですので、とくに人さまの写真は大事に扱っています。