489を流す

先週末のことになりますが、久しぶりに489系ボンネット編成が東海道線に姿を見せました。修学旅行の団体列車として金沢~大阪間を走ったものです。大阪行きの回送は、ぶんしゅうさんと山崎で待ち受けようとしていたところ、ダイヤを読み違えで寸前のところでアウト! 戻りの金沢行きを日没後の山崎駅で辛うじて写すことができました。

金沢総合車両所の489系ボンネット編成は、ことし3月改正で最後の定期運用「能登」から離脱しましたが、残った1編成は、特急の代走をしたり、団体列車で東京・大阪・京都へも来たり、予想外の活躍を続けています。
「臨時」表示ではありますが、ボンネットの姿、いいものです。自分自身が鉄道に目覚めた頃から走っている、50年間続くスタイルを見ると、つい鉄道少年だった時代のことを思い返したりします。
今まで489系ボンネット編成を、好んで撮りに行きましたが、時々、流し撮りをして楽しんでいます。流すことによってボンネット部がより強調され、DT32系台車の上に大きな車体が乗って、下回りがスコンと透けて見えるのが大好きです。
もちろんすべて成功するわけではなく、目も当てられない写真のほうが多いのですが、それだけに決まった時は快感です。撮りためた中からいくつかを紹介しましょう。

流し撮りの基本は、数を稼ぐことから始まる。一日10数往復も「雷鳥」が運転されていた時代、居住地近くの山崎~長岡京間には、流し撮りに適した真横から狙える区間がいくつかあり、よく自転車に乗って行ったものだ。「雷鳥」編成には、スカート部に切り欠きがあり、美観を損ねているが、真横なら、それも気にならない。この写真は、乗務員ドア付近は確かに止まっているが、アタマは流れてしまっている。斜めから撮る場合、止まるのは一点だけで、それをアタマに持ってくるのはなかなか難しい。

薄暮時に「しらさぎ」を流し撮りをする。露出の厳しい時間帯だけに、その低速シャッターがちょうど流し撮りに使える。北陸本線田村付近、バックは琵琶湖岸であり、空で抜くこともできる。当時、「しらさぎ」もボンネットだった。しかも「雷鳥」と違って、連結器カバーも付いたオリジナルのボンネットだ。前照灯を輝かせ、夕闇迫る湖東路を名古屋へ急ぐ姿である。

「能登」の廃止後も、今年の春は波動用として、ボンネットは、しばしば京都・大阪へ顔を見せた。ところが、ヘッドマークは良くて「臨時」、下手をすると、マークなしの蛍光灯むき出しの姿で、絵にならないこと夥しく、正面勝ちの撮影では全くサマにならない。そんな時、サイドからの流し撮りは有効な方法である。山崎付近でバックに緑を入れ、国鉄色が引き立つようにした。

ここで、流し撮りの方法をひとつ‥。カメラの流し方は、巷のハウツウどおり、腰を基点にして、上半身を振る抜く、野球のスイングと同じだ。つぎにシャッター速度だが、上ると成功率は高まるが、バックが流れない。私としては、確実に決めたいときは1/125S、成功率は低くなるがバックをより流したい場合は1/60S以下としている。それと、連続シャッターを使用する場合、高速ではなく、低速を選択している。高速連写だと、ほとんど幕が下りたままでファインダー視野から対象物が確認できないが、低速だと、幕の開閉の間にしっかり対象を眼で追うことができる。この春も、琵琶湖をバックに1/125Sで真横の編成を抜いてみた。

489を流す」への1件のフィードバック

  1. このようなテクニックの話は大変参考になります。小生も流し撮りは曇って条件の悪い時や日没後によくやります。最近はデジカメになり、その場で結果がわかるので多いに楽しんでおります。しかし、成功した例がなく、まるでゴルフのバンカーショットと同じで一発で決まった事がありません。正直に言いますとデジカメでやってくる列車にあわせて数発打つとその中にたまにまあまあのがあると言うことで、一発でしとめるのは難しいです。掲載写真では臨時のヘッドマークのものが綺麗に決まっておりますね。その下の1/125で切った写真は大きくして見ると確かに決まっていますが、少し暗いのでしょうか、迫力はやはり臨時マークの方ですね。と言うことは1/60あたりが流しの基本かなと思います。当たり前でしょうが車両のスピードが遅いとそれだけ成功率は高くなりますね。また、これまた当然でしょうが、フィルム時代に35ミリカメラよりブローニーの大型カメラを使った方が成功率は高かったです。小生、オーソドックスな写真が好きなので広田さんのような写真にはとてもついていけませんが、あの人の大型特殊カメラで撮影した流し撮りの形式写真には見とれてしまいました。また、1日1本のニセコのC62を植物の間から流し撮りをしているのには凄いと思いました。1日1本の列車に危険な流し撮りは今でもやれません。何本も来る私鉄の本線のような所で自分なりの感触をつかんでいくしかありません。そのうちに成功したら小生も披露させていただきます。

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