GoToトラベルで「行け!」「行くな!」と騒がしい昨今ですが、客足の途絶えた瀬戸内にも何とか観光客を呼び戻そうとJR西が画策しているようです。今まで呉線には「瀬戸内マリンビュー」号という観光列車が休日運転されていましたが、この度車両を再改造して、10月から「エトセトラ」として再デビューさせるそうです。まずは改造前の姿からご紹介します。
電化区間しか走らないのに、しぶとくキハ47を使い続けてきました。その背景には広島に芸備線の気動車運転士がいることがあげられます。いろいろお化粧をしてみたところでキハ47ですから、そろそろお役御免かと思いきや、更に改造して老体を使おうというのは少々驚きでした。
コロナ騒ぎが始まる前の2019年12月にマリンビューとしての営業運転を終えて、改造工事が始まり、この度工事を終えて報道陣に公開されました。
マリンビュー時代には、三原駅の呉線ホームが1面1線しかないため、呉線経由で三原に到着後すぐに忠海まで回送され、定期列車に三原駅呉線ホームを使えるようにしたうえで再度三原へ回送するというダイヤが長く続きました。晩年にはようやく忠海回送をやめて糸崎に回送するダイヤに変更されました。最初からそうすれば良いのにと思っていましたが、広鉄局と岡鉄局の壁があったようにも思えます。また一時的には広島から宮島口まで足を伸ばしていた時期もありました。しかし貨物列車も多く走る山陽本線にイレギュラーな折り返し列車を走らすのは長続きしませんでした。
ところが今回は宮島口から尾道までと区間延長されました。「瑞風」停車・留置で宮島口、尾道とも実績を積んだためでしょう。一方、「マリンビュー」時代は1両が指定席、1両が自由席でしたが、「エトセトラ」は2両とも指定席になりました。今までは快速列車感覚で自由席に区間乗車していましたが、これからはグリーン指定券が必要で、敷居が高くなってしまいました。貧乏人はお断りということでしょう。
この「エトセトラ」登場の背景には、「SEA SPICA」というクルーズ船の就航が関係しています。JR西と瀬戸内海汽船が出資した新会社が発足し、アルミ製双胴の豪華クルーズ船を建造し、広島港と三原港間を運行させることになっています。
尾道市向島にある小型アルミ船を得意とする造船所で完成しており、9月からは団体ツアー用に、10月からは一般客も乗せるということです。
広島港を8:30に出港し、途中呉港で海上から海自や米軍艦船を見て下蒲刈島に寄港、次いでウサギの島で有名になった大久野島、瀬戸田港に寄港して13:15に三原港着。三原港では10分間の乗降で13:25に出港し、瀬戸田、大久野島に寄港後、御手洗港、呉港を経て18:00に広島港に戻るというスケジュールのようです。即ち片道は陸路「エトセトラ」、片道は海路「シースピカ」という選択も可能な企画を考えているようです。なおシースピカの定員は約90名、片道6000円程度のようです。
またAKB48の姉妹グループであるSTU48のメンバーが数名、乗員として乗り組むようです。ちなみにSTUとはSeToUchiの略です。若いお嬢さん目当ての客を呼び込もうという魂胆はいかがなものでしょうかね。秋になれば「エトセトラ」と「シースピカ」の撮影に出かけるつもりですが、コロナはとても終息しそうにはありませんね。皆様ご自愛下さい。