2024年夏、タイからラオスへ(その5)

28日朝、起きると緑濃い平原の中を走っています。ほどなく乗務員が、寝台を解体
しにきました。上段にも客は居たようですが、途中で下車したようです。顔を見ることはありませんでした。定刻の6時25分、ノーンカーイに到着。約530キロを10時間掛かっているので早くはありませんが、997バーツ(約5千円)の値段を遥かに上回る快適な夜行特急でした。▲こちらはディーゼル急行76列車 キハ47のステンレスカーのような車両ですが、これでバンコクまで約9時間の乗り通すのはきついように思われます。いや、それを楽しみ、と捉えるか。

▲上段の快速133列車でヴィエンチャンへ。8時35分発とありますが、30分以上遅れました。

▲ノーンカーイ駅

この後は、ノーンカーイからラオスの首都、ヴィエンチャンのカムサワート駅をめざします。乗ってきた特急寝台はノーンカーイ止まりです。後続の快速133列車がバンコクから国境を越え、ヴィエンチャンに入る列車なのでこれに乗り替えます。往きは先ず特急寝台に乗ってみたかったので敢えてノーンカーイでの乗り換えを選択しました。直通列車に乗ったとしてもどのみち、一旦はタイ出国のためノーンカーイで降りて、イミグレーションで手続きを受けなければなりません。小1時間ほど並んで手続きを済まし、いよいよ発車です。乗車時間は30分ほど、3等非冷房の直角シートで自動車と軌道併用橋をゆっくりとメコン川を渡りラオスに入国です。町の風景はタイとさほど変わりませんが、道路通行が逆になります。タイは日本と同じ左側通行ですが、ラオスは米国や韓国と同じ右側通行です。

ヴィエンチャン、カムサワート駅は、大きな駅で一日に2往復しか列車が行き来しないのにもったいないくらいの広壮な駅舎でした。駅のまわりはまだ何もない状態で、発展していくのはまだまだこれからと思いました。それにしてもラオス側のイミグレーションの段取りの悪いこと。パスポートと入国者記載書類と顔を何度も見比べ時間が掛かります。タイの出入国手続きは、日本と同じく指紋と顔認証で機械化されていますが、ラオスは昔ながらの手作業、経験と勘の仕事ですね。小1時間ほどで手続きが終わり、バスでヴィエンチャンバスターミナルへ向かいました。

▲ヴィエンチャン、カムサワート駅の開業を祝う看板

▲ヴィエンチャン、カムサワート駅 大きな駅ですが発展はこれから

▲ヴィエンチャンの宿屋は、ベトナム料理屋も兼ねていました。お昼ごはんに豚肉のスープにつけ麺で食べるフォーを頂きました。なかなかいけました。

▲夜は、焼き飯と揚げ春巻き。焼き飯は、さっぱりしていて脂っこくもなく、それでいてコクがある、となかなか美味しかったです。

コロナ禍の2021年の12月、タイからの延伸に先駆け、ヴィエンチャンには中国からの鉄道が開業していました。ラオス中国鉄道で中国の昆明からヴィエンチャン、約440キロを結ぶ国際鉄道です。中国が提唱する一帯一路構想に組み込まれる鉄道で、中国からの資本と技術で建設されています。

▲ラオス中国鉄道のヴィエンチャン駅

切符は、今風のネット購入のQRコードと駅売り場、町中のチケットセンターで買えるようです。よく判らないので出たとこ勝負で、いきなり駅へ行ってみることにしました。駅はヴィエンチャンの外れで、バスターミナルから約30分かかります。駅舎は、昨日に見たカムサワート駅が小さく見えるくらいの巨大駅で、この規模感は中国で鉄道利用したことがある方なら直感的に解ると思います。切符を持っていても乗る前に最低30分は余裕を持って着いておかないと厳しい規模です。構内移動に時間がかかるだけでなく、中国と同じく飛行機のようなX線の荷物検査とボディチェックもあるので至って大層です。

▲ラオス中国鉄道ヴィエンチャン駅の改札前

▲ラオス中国鉄道ヴィエンチャン駅のホーム

幸いぶっつけ本番でもヴィエンチャンの隣の駅、バンビエン駅までの切符を買うことが出来ました。1時間ほどの乗車時間で2等で171000キープ(約1300円)と結構いい値段です。帰りの列車は、何とかぎりぎり1席だけ残っていました。2等車で十分だったのですが、2等も1等でもなく商務車の1席しかありません。2等の3倍、504000キープ(約3800円)でもったいない、と思いましたがこれでしか帰れないので選択の余地はありません。ラオス滞在時間は短いことを見越してあまり現金を持っていなかったのですが、中国工商銀行決済でビザのカードを使うことが出来ました。駅も中国式ですが、客が列に並ばない、平気で横入りするのも同じように感じました。

中国式の新幹線電車に乗るのは初めてです。動力集中式の9連で1両は機関車そのものなので実質8連ですが、完全に独立した機関車ではなく1M8Tで、台湾のE1000型や韓国の新幹線のような編成単位の動力集中式で、日本には無いタイプです。その機関車の前面の顔を撮ろうとカメラを持って前へ出ようとすると駅員に血相を変えて制止されました。車両の前面は国家機密なのかどうかよく判りませんが、ここは強行しても何も得なことはありませんので諦めます。

▲ラオス中国鉄道CR200J型の先頭部です。

▲ラオス中国鉄道CR200J型は、動力集中式です。

各車両に1人ずつ係員がつき、駅員か車掌かはたまた警官か軍人か判りませんが、いろんな制服を着た人がたくさんいます。ホームでは車両をバックにスマートフォンで写真や動画を撮る人は多くいましたが、一眼レフで車両を撮る人は一人も居ません。「鉄」は存在しない、または趣味とする概念はないのではないか、と思われました。車内に入ると新幹線と同じような3列と2列のシートが並びます。シートのリクライニングの角度とかもそんなに特筆すべきものはありません。なぜか窓割とシートが合ってません。日本でもJR西日本の115系とかの体質改善車も元の窓割と転換クロスシートと合ってませんが、新造車なのに何故?と思いました。

▲ラオス中国鉄道CR200J型2等車

▲2等車は窓割とシートが合ってませんね。

9時45分、C92列車は定刻どおり静かに発車しました。景色はなだらかな山が続きます。時折、放牧か牛の姿をよく見かけました。中国国内ではもっと高速の300キロで走る列車もあるようですが、最高速度は160キロのようで控えめです。それでも田舎風景なので全然スピード感はありませんでした。新線なので揺れも少なく静かです。この鉄道では中国の昆明まで直通する国際列車もありますが、急に思い立って行くわけには参りません。今、中国には事前にビザを取得しておかないと入国が出来ません。バンビエンには50分、10時35分に到着しました。もう一つ奥のルアンプラパンは有名な観光地ですが、バンビエンは地方都市のようです。市内まで出て昼食を取って少し散策をして帰りの列車に乗るため駅まで戻ります。▲バンビエンまで来ると田舎だな、と思いました。

▲ラオス中国鉄道の車窓から 田園風景です

バンビエンからのC91列車の商務車はどんな車か興味津々です。2等のシートが5列、1等が4列、商務車は3列で、乗ったことはありませんが東北新幹線のグランクラスのようなものでしょうか。シートに座ったところでミネラルウォーターとコーラのペットボトルを持ってきました。もっと長い距離で乗るとどんなサービスが受けれるのか判りませんが、一見したところ、台湾の商務車のお菓子と飲み物のサービスの方が洗練されているように感じました。革張りのシートは、多くの電動シートのボタンが付いています。いろいろ触っているうちにベッドのようにフルフラットになりました。しかし天井が高いせいか、寝台車のベッドのようには落ち着かず、通勤電車のロングシートに寝そべっているような感じがしました。そうこうしているうちにヴィエンチャンに着きました。もう市内に行く用事は無いので約1時間かけてバスでタイラオス鉄道のカムサワート駅に向かいます。

▲商務車です。

▲シートピッチは無限大です。スペース効率は???です。

▲フルフラットにしてみました。

▲最高速度です。

その6

その4

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