2024年夏、タイからラオスへ(その7最終回)

快速133列車は、クルンテープに30分ほど遅れて到着しました。タイでは長距離列車の遅延は織り込み済です。むしろこの程度で済んだのはまだまし、と言えます。ここからは沿線撮影です。▲普通261列車スアンソン行き サムセン

とりあえず、ホワランポーンに向けて隣のサムセン駅での撮影と決めました。もともとは優等列車の発着がホワランポーン駅に集中していたので優等客車列車も全部サムセンで撮ることが出来たのですが、クルンテープですとチェンマイへ向かう北線とノーンカーイ行きの東北線はアユタヤの北までは同じ線を走りますが、ナコンパトムを通ってハジャイ、ヤラー方面へ向かう南線は、クルンテープからいきなり分岐してしまいます。といっても長距離優等列車はその多くが夜行列車なので日中時間帯は、サムセンでローカル列車や貨物列車なら今でも十分撮ることが出来る訳です。

▲普通201列車ピッサヌローク行き サムセン HID型電気式ディーゼル機関車が牽いています。日立製だそうです。

▲貨物も結構頻繁にやってきます。サムセン ADD型電気式ディーゼル機関車 こちらはアルストム製だとか。

▲ナコンサワンから来た普通208列車ホワランポーン行き サムセン

▲単機回送も結構やってきます。サムセン

▲ディーゼルカーの配給? 機関車は電気式GE型 米国ゼネラルエレクトリック製だとか。これは年代物で製造60年近いようです。

▲スリン行きの普通233列車 遅れてやってきました。 サムセン

▲ホワランポーン駅での荷物車への積み下ろし作業です。

▲ANS1115 韓国大宇重工製の2等エアコン寝台車です。ホワランポーン

暑いので駅のベンチでコーラを飲んでいると、目の前で荷物専用列車が通過していきました。しまった、と思いましたが後の祭りです。これで撮影意欲が少し沈下したのと暑いのとで、一旦ホワランポーンへ引き上げ、バンコクのもう一つのターミナル駅、トンブリ駅から南線のローカル列車で大寺院で有名なナコンパトムをめざしますが、金色に輝く巨大仏塔に興味がある訳ではありません。

トンブリ駅の周辺は、市場があり活気がありますが、トンブリ駅を発車する列車は客車のローカル10本ほどしかなく半世紀前の片町駅のような感じがしました。南下優等列車の寝台車には、元ブルートレインの客車は連結されませんが、バンコクからスンガイコーロク行きの寝台車連結の快速ですと長駆1150キロを19時間かけて走る運用もあり、以前は車内で調理する食堂車も連結されていました。また機会があれば、マレーシア国境のバダンブザール行きの南下優等列車に乗ってみたいものです。

▲南下優等列車 スンガイコーロク行き快速171列車 トムサムロン 機関車はQSY型電気式ディーゼル機関車 中国中車製造 この最新の機関車は、よく優等列車の牽引機として使用されています。

▲南下優等列車 スンガイコーロク行き特急37列車とパダンプザール行き特急45列車の併結、ハジャイで分割されます。快速171列車 ナコンチャイシ

スワンナプーム国際空港からの帰りの関西空港行きは、1時15分発のところが、離着陸の混雑を理由に1時間遅れの離陸となりました。LCCなので機内食も映画などのエンタテイメントも何もありませんが、そもそも夜行なので何とかなりました。夜行の飛行機は苦行ですが、フルフラットになるビジネスクラスだとまた違うのでしょうが生憎乗ったことはありません。白いシーツのベッドに体を横たえるタイ国鉄の寝台車は快適です。それにしても、関西から宮崎や大分方面或いは山陰の出雲市、萩方面への夜行寝台列車を非定期でいいので設定してもらえないものでしょうか。

▲ローカル列車は、このような木製の椅子が多いです。

▲椅子だけでなく床も窓枠も壁面も木製、ばりばりの半鋼製客車です。

▲ローカル列車のワイルドなデッキ部分 日本でもついこないだ前までは当たり前だったんですが。

▲トンブリ駅です。

▲トンブリ18時15分発ラチャブリー行きの普通351列車

▲351列車の機関車次位の客車はなかなか年代物ですね。

 ▲最後尾の客車は、長距離優等列車にも使用されている近代的なBPD1129 1983年の日本製だとか。

▲トンブリ駅周辺は、このような商店が並び活気にあふれています。

▲夜のホワランポーン駅です。新しい駅もいいのですが、旅の終わりは雰囲気のあるホワランポーン駅にしました。

最後に、タイの鉄道乗車の勧めを

4年ぶりにタイの鉄道に乗りましたが、基本的には昔のままです。台湾もマレーシアも高速の特急電車と通勤電車ばかりになりつつある中、タイはあまり変わっていません。タイ国鉄も、ドンムアン空港方面へ向かう路線は高架化し、日本製のエアコンが効いた通勤電車が頻発してるので、「変わっていない」と断定すると語弊があるかも知れません。ただ長距離の鉄道路線は、快適でリーズナブルなLCCや高速バスと比べ、優位性があるとは言えないようです。

ただ趣味的な観点で捉えると、ローカル列車は、一部ディーゼルカーも活躍しているもののまだまだ非冷房直角シートの3等客車が主流です。日本からも24系25型寝台車や14系客車が活躍している他、キハ183系も運行され、更にキハ40系も今後導入されるようです。アジア鉄に興味のある方には、ぜひタイに行かれることをお勧めします。このレポートが、少しでもその後押しになるようでしたら望外の喜びです。

終わり

その6

2024年夏、タイからラオスへ(その7最終回)」への8件のフィードバック

  1. アジア鉄は興味はあるものの、年寄りには少しハードと感じていて、台湾だけしか行けていませんでしたが、今回の一連の投稿を拝見するといろんな面で改善されて快適になっているようですね。
    現地への移動が比較的短時間で済む東南アジアの旅、ぜひ行ってみたいと思っています。またいろいろと教えてください。

    • 大津の86様
      コメント有難うございます。タイはいろいろな楽しみ方があります。無理のない行程の組み方も考えられます。乗ったことはありませんが、特急寝台の1等なら二人個室でシャワー付きなのでホテル級の快適さが得られると思います。1番の障壁はフライトが6時間かかることですが、こればかりはどうしようもありません。

  2. コロナ騒動のためタイに最後に行ったのは2017年12月でしたので7年近くも経過しています。タイとラオスの鉄道の変貌を興味深く読ませていただきました。当時はドンムアン空港へは在来線で向かいましたが、ようやく新線が完成、バンスージャンクション駅も竣工なっているのですね。まだ列車が発着するファラボーン駅からキハ183系に乗車してみたいです。
    ヴィエンチャンから昆明まで久しぶりに中国鉄路にも乗車してみたいです。コロナも落ち着いたようなので近々にでも旅立とうと思いました。ベトナムにも行ってみたいので計画を練ってみます。ようやく海外鉄再開です。点火をいただき、ありがとうございます。

    • ぶんしゅう様
      コメント有難うございます。海外鉄の大先輩ぶんしゅう様にご覧頂いたこと嬉しく思います。バンスー駅の高架部の広さは半端ないです。移動に自転車が要ると思いました。アジアの鉄道は発展を続けています。是非とも、また海外版のぶんしゅう旅日記を読んでみたいです。楽しみにしています。それにしても残念なのは海外で日本人の存在感が薄れていると感じたことです。ちょっと前までは、東南アジアを旅する日本人とよく出会ったものです。

        • ユーチューブ何でも出てますね。車内は今様のJR北海道車でした。タイ国鉄は、台湾鉄路のようにホームページで日帰りや泊まりのツアーを売り出しています。そこでもキハ183系は大活躍ですが、日帰りツアーでも約7500円で、これを高いとみるか、安いとみるか?

  3. ブギウギ様
     コメントが遅れました。
     私にとって未知の世界への旅を満喫させてた頂きました。
    南国の風景や雰囲気がよく伝わってきました。ラオスなんてなかなか行く機会がないですものね。
     日本の車両が活躍する姿が印象的ですね!
     所謂夜行寝台での旅、それも線路に直角、平行の二つの体験、羨ましく思いました。特にブルマン型(オロネ10的?)は熟睡されたとありますが、良かったでしょうね。
     ただ、アルコールが駄目というのは厳しいですね。せめて持ち込み可にはならないのでしょうか?
     旅情溢れるレポート、様々な車両の様子、特に車内の様子を見せて頂き有り難かったです。食堂車で出てくるお弁当なんて百聞は一見にしかずですものね。
     シリーズ楽しませて頂き有り難うございました。

  4. マルーン様
    コメントを頂戴し有難うございます。
    ご感想はまたの励みになります。といってもすぐどこかへ行く具体的な計画はありませんが。寝台列車に久しぶりに乗る機会に恵まれました。サンライズも遠く東京発着で、JR3社が運行する富裕層向けの豪華列車には将来に渡って縁はなさそうですが、南方の寝台列車なら少し気合いを入れれば乗れますのでまた機会を作って行きたいと思います。

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