微笑みの国、タイ王国鉄道の旅 Part5 タイの蒸気機関車撮影

第4日目 12月5日

① ファランボーン8:20(DC)→9:39アユタヤ ※実際は約30分遅れ発、約57分延着
② アユタヤ16:37(136)→18:40ファランボーン ※実際は、約45分遅れ発、約58分延着

00_微笑みの車窓▲ アユタヤ駅で蒸気機関車を撮っていましたら、隣のホームに着いた列車の窓からの柔らかな視線を感じました。振り返ってシャッターを押した1枚です。微笑みの国民が持つ寛容に満ちた優しさの姿がありました。

00_微笑みの車中▲ 今回はもう1カット。アユタヤへ向かうDCでお向かいに座られたお嬢さん。乗車中に難解なタイ語を教えてくださいました。コォープ・クゥン(ありがとうございました)。穏やかでさわやかな微笑みが、とってもすてきでした。

今日はいよいよ本隊と合流、国王誕生日を記念してのファランボーン~アユタヤ間に運行されるSL901列車の撮影です。発車は8時です。本隊との集合は発車ホームの5番線7:30、
入線も撮りたいなあと、早めにファランボーン駅に向かいました。
01_朝のファラボーン駅▲ 夜明けを迎えたファランボーン駅の駅名は厳密には俗称で、タイ国鉄での正式な呼称はクルンテープ駅だそうです。しかし、政府刊行物はじめ多くの出版物ではファランボーン駅、フランボーン駅、ホランボーン駅と称されているのが一般的で、タイの田舎に行くとクルンテープ駅というと「??」で、通じないそうです。他にバンコク駅、バンコク中央駅とも呼ばれています。ウィキペディアでは間違っていますが、時刻表、行先表示板や切符には、タイ語でกรุงเทพ、日本語でバンコク、英語ではBangkokで、統一されています。現在の駅舎開業日は、1910年6月25日です。
02_朝のファラボーン駅024SL_ファラボーン駅▲ 6:49、5番線にはすでにSL901列車は入線していました。客車への給水用ホースを使っての給水作業の真っ最中でした。たまたま駅におられた方やどこかで情報を聞きつけた現地鉄ちゃんが周りを囲んでの記念撮影が始まっていました。
先頭のSLまで行くと、もう本隊の皆さんは到着されていて撮影を始められておられました。準特急先輩は、D51そっくりと言われましたが、軸配置2C1のパシフィック形動輪3軸でなければ見た目はその通りです。各製造会社の製造記録を調べてみますと、軸配置1D1のミカド形動輪4軸もあったようです。今回は見に行きませんでしたが、動態保存の953号機がそのようです。

03_SL_ファラボーン駅04-1_SL_ファラボーン駅
05_SL_ファラボーン駅06_SL_ファラボーン駅
▲ 国王誕生日を祝って「バンコクーアユタヤ」間の特別記念列車を牽引するのは、1949年日本車両製「Pacific R.S.R824」と、1950年川崎重工製「Pacific R.S.R850」の2両の動態保存機です。走行する本線には転車台が現存していないために、背を合わせての重連での運行がされていました。
13-1_タイ蒸気機関車タイへは、戦後賠償として1949年と1950年に各50両、1952年に26両の合計126両もの蒸気機関車が、日立製作所、日本車両、三菱重工、川崎重工等で製造され送られました。1970年後半あたりまで現役だったようですが、無煙化で廃車されました。この2両の廃車年号も分かっていません。
「タイ国鉄開通記念日」の3月26日、「王妃誕生日(母の日)」の8月12日、「チュラロンコーン大王記念日」の10月23日と合わせて1年に4回、本線上を走っているそうですが、今年は車両故障のために10月23日の運行はできませんでした。今日の運行も案じられていましたが、無事に走行可能となりました。
07_SL_ファラボーン駅▲ 磨き上げられた車体には国旗と国章が掲げられ、正面には菊や紋章の飾り付けも付けられていました。
10_SL_ファラボーン駅 11_SL_ファラボーン駅

18_車内▲ これも磨き上げられた黒光りするスポーク動輪。緑色に塗装された配管がタイ式なのですね。
車両は、3等客車10両編成で運用されていました。シンプルな車内です。
08_TVレポート&見学客09_押し寄せる見学客▲ はじめは疎らだった見学客もTV局の取材が始まる頃には、ホームから線路上まで鈴なりとなってきましたが、交通整理をする駅員は見当たりません。発車直前までこの状態で、汽笛を鳴らした後は、かき分けるように発車していきました。
12_SL_ファラボーン駅発車jpg 13_SL_ファラボーン駅発車jpg15_アユタヤ行窓▲ 定刻の8時より5分遅れの発車でした。ゆっくりの加速です。走って行って、2回の撮影チャンスが持てました。

客車の車体側面に表示されていたSRTは、タイ国鉄を英語名では、「State Railway of Thailand」と呼ぶそうで、頭文字をとった略称です。

14_バンコク-アユタヤ時刻表19_時刻表15_アユタヤ行切符▲ SL901列車の発車を撮った後は、8:20発の75列車か8:30発の8列車アユタヤまでに追い越して、アユタヤ駅手前の桟道橋で待ち受けての撮影を予定していました。早くに出る75列車に乗車できましたが、なぜか後発の8列車が先に出発して、我々の列車は約30分遅れになりました。理由はさっぱり分かりません。おまけに切符は、6:40発の135列車の分です。隊長が購入される時にこれでも乗れると言われたそうですが、かなりいい加減ですね。3等車は自由席なので関係ないのかも・・・。バンコク(ファランボーン)~アユタヤは、71.08キロ。ローカル列車では1時間45分を要しています。表定速度は、40.62km/hと鈍いですが、運賃は20バーツ(約55円)と、とっても安いです。
20_車販便當▲ 発車が遅れているので、発車前から車内販売のおばちゃまがやってきました。タイで駅弁は多分初めてかも・・・、早速買って食べてみましたら、後から別の種類も売りに来ました。お味ですが、ちょっと辛めで、まあまあ日本人にも食べられる味です。
21_並走▲ SL901列車がアユタヤに着く時刻は、10:10です。乗車しているDCの定時到着時刻は9:39。約30分も遅れていては、到着すら撮れないだろうなと諦めていましたが、10:19に突然、車内に歓声があがりました。先行していたSL特別列車に追いつき、追い抜いて行くではありませんか! アユタヤまでの本線は、複線です。しかし平行するもう2線があって、その別線をSL列車が走行していました。車内の鉄ちゃんは窓から身を乗り出して、カメラを向けだしました。
私の座っている席は、先頭車両の運転席後ろです。編成を入れたいのですが、後方の窓から身を乗り出しての鉄ちゃんは、邪魔です。それでも、シャッタースピードを変えての流し撮りには何とか成功しました。
22_並走▲ 並走する蒸気機関車を車内から撮れたのは初めてでした。邪魔な電柱類がなく、これぐらいの車間がないと、まずは撮れない写真でしょうね。もう少しピントが合っていれば最高でしたが、一生の宝の1つになりました。
DATA;NIKON800E、VR28-300㎜、ISO100、28㎜、1/30、F18、-0.3段。ー0.3段は、ややアンダー露出ですが、このレンズは0段ですと撮った画質がややオーバーになるように思えますので、場合によってはー0.7かー1.0段で撮っています。後で画像処理をする際にオーバーでは復元できませんが、アンダーですと簡単にできますので、このように設定して使用しています。
24_アユタヤ駅[googlemap lat=”14.357260137983724″ lng=”100.58277368545532″ align=”left” width=”300px” height=”150px” zoom=”16″ type=”G_NORMAL_MAP”]Phra Nakhon Si Ayutthaya 13000, Thailand[/googlemap]▲ 10:36、約57分遅れでアユタヤ駅に到着しました。5分後にはDAEWOO製(韓国)のAPD.60系(行先;チェンマイ?・特急9列車?)が、その2分後にはALSTHOM製(フランス)のAHK形DLが牽引するデンチャイ行き111列車が入線してきました。
アユタヤ駅入線手前に鉄橋があって、3本の走行できる線路がありますが、右側は錆びていて最近に通過した痕跡がありません。左と中央は、複線運用と思っていましたが、DCとDLとも同一方向に進んできました。いったいどういう使い分けをしているのでしょうね。理解することは難しそうです。
通過した後者が間違いなく111列車だとしますと、この時点ですでに約2時間14分の遅れです。タイの鉄道の延着は予想以上で、時刻表はあってないようなものだと徐々に分かりだしてきました。
23_アユタヤ駅▲ タイ国鉄最初の鉄道として、1897年3月26日にファランボーン~アユタヤが、開通しました。ユネスコ世界遺産「古都アユタヤ」の最寄駅です。約125年が経過していますが、駅舎は大きな改造はなかったようで、開業当時の雰囲気を感じさせられました。
25_アユタヤ駅▲ 11:01、定刻より遅れること約51分、SL特別901列車が到着しました。
26_アユタヤ駅▲ 到着すると、列車から降りた乗客も参加しての撮影会です。ここでも交通整理員は見当たりませんが、それでも皆さんは無茶をすることなく撮っておられました。礼儀正しい国民性が随所に見受けられました。
28_SL▲ 私も遠慮なく運転席に入ってみました。重油炊きですので、投炭口はなく、塵も落ちていなくとても綺麗でした。
27_SL時刻表▲ 運転手さんから運行表を見せてもらいました。なんと機関区のトンブリー・シェッドを4:55に出庫してファランボーン駅には6:30に到着していました。この時期は回送を撮るのは、夜明け前でちょっと難しいですが、今回以外の3回なら可能ですね。10両の客車を従えて推進運転は無理だと思いますので、客車はDLが駅まで運び、SLは重連回送で先頭に付くのではと思われます。
返しの時間を確認して、昼食と世界遺産のアユタヤ歴史公園に行ってみることになりました。
29_アユタヤ観光▲ 12時前にアユタヤ駅をトゥクトック(三輪トラックタクシー)をチャーターして一行7名が乗って、向かった先は水上レストランでした。一人旅では、せいぜい麺か単品しか注文できませんが、多数で行くとたくさん注文できるのが大きなメリットです。他にも色々とタイ料理を堪能しました。
30_アユタヤ観光

31_アユタヤ観光

32_アユタヤ観光

▲ 昼食後は、折り返しの列車が発車するまでの約3時間を観光旅行しました。日本人町も行ってみましたが、痕跡はまったくなく当時の盛況を見ることはできませんでした。後は色々とまわりましたが、仏像や遺跡類にはまったく興味はなく解説できません。お許しください。
33_アユタヤ駅発車▲ 16:32、ほぼ定刻にSL特別902列車は、アユタヤ駅を発車しました。撮影場所は、準特急先輩はじめ5名が踏切、Y埼さんと私は道路橋から挑みましたが、着いてびっくり、下からは見えなかったタイ名物の大小約30本ほどの電線が垂れ下がって折角の眺望を邪魔していました。
34_アユタヤ駅発車35_アユタヤ駅発車▲ ご覧の通りです。これだけ束にしてあると画像処理をしても消せません。下で撮るべきでしたが、上まで上がるには結構迂回して歩きましたので、戻るのは諦めました。
下におられた皆さんは、撮影後すぐに駅へと帰られ、我々2人を置いてバンコクへと向かわれました。これは置き去りにされたのではなく、Y崎さんはJTBのOBで2人とも海外鉄のベテランですので、ほっておいても大丈夫だとの暗黙の了解でした。

36_アユタヤ駅発車▲ 16:47、我々が道路橋を降りると、丁度1983年日本車両製のTHN-DC5両編成が通過していきました。定刻では16:05に発車する112列車(ダンチャイ→バンコク)が遅れていて、皆さんはギリギリ間に合ったようです。これならSL特別902列車を追いついて並走写真が撮れたでしょうから、ちょっと残念な思いをしました。
38_アユタヤ→バンコク_時刻表37_アユタヤ→バンコク_切符39_アユタヤ→バンコク_列車▲ 17:00、アユタヤ駅に戻って窓口で次のバンコク行きの列車の切符を購入しました。こちらは、136列車で約47分遅れの17:24の発車でした。遅延がなければ次は2時間後でしたので、バスかTaxiも考えていました。ほっとしました。
牽引機は1974年ALSTOM製の4103号機で、タイに来て初めての客車列車の乗車でした。
39_アユタヤ→バンコク_列車車内▲ 乗車車両は、半室がリクライニングシートと固定クロスシートになっている3等車を選びました。クロスシートのシートピッチが窓2つ分で非常に広く、膝が合う以上の開きがあります。以前は、別のシートになっていて、1・2等の合造車だったろうとのY崎さんの診断です。
40_夜汽車▲ 18:54、夕闇の中、町の明かりに向ってゆっくり進みます。バンコク市内に入ると、鉄路が主要道路と平面交差しているところが多く信じられないでしょうが、道路との信号待ちで停車することもありました。
DATA;NIKON800E、VR28-300㎜、ISO6400、65㎜、1/13、F4、-0.7段。
41_yoru▲ 右上は18:28のラクシー駅、左上は19:18のサームセン駅、下2つは駅名板がなかったですが、19:24通過したチットラッダー王室駅?と思われます。
19:38、定刻に58分遅れでファランボーン駅に到着しました。
42_バンコク駅_夜行チェンマイ行▲ 隣で発車待ちのチェンマイ行の夜行列車。18:00、18:10、19:35、22:00と4本が運行されていますが、遅れているので特定できませんでした。機関車は1993年日立製作所製の4519号機です。
DATA;NIKON800E、VR28-300㎜、ISO6400、48㎜、1/50、F4.2、-0.3段。ISO6400の高感度撮影でもこの通りの画質でモレアも出なく、D300Sで撮っていた時と比べて雲泥の差です。
寝台車はJR西日本からの無償譲渡車両が使用されていました。
43_バンコク駅_夜行チェンマイ行44_バンコク駅_夜行チェンマイ行▲ 元ブルートレインに挟まれて食堂車が連結されていましたが、こちらは非冷房車です。
45_バンコク駅_SL▲ 19:53、5番線に移動してみますと、SL特別902列車が止まっていました。多くの見学客で取り囲まれています。本隊の姿を探しましたが見つかりません。Y崎さんから一緒に夕食を食べなくても良いから、別行動で客が少なくなるまで待って夜撮をしようとの提案です。大賛成です。欧米人鉄ちゃんも三脚にカメラを固定して、チャンスを待っていました。
後でわかったのですが、タイの後行きました小竹直人先生企画の中国綏棱森林鉄道ツアーに参加されていたバンコック駐在のSS木さんもこの中におられたそうです。昼間は仕事でこれなかったそうですが、ファランボーン到着を俯瞰で、その後は我々と一緒の位置で待たれたそうでした。
47_バンコク駅_SL▲ 21:01、待つこと1時間余り、ようやく見学客も引けて撮影チャンスがやってきました。安全弁が開いた瞬間を狙いました。
DATA:NIKON800E、VR28-300㎜、ISO400、36㎜、1/6、F5、0段。
48_バンコク駅_SL▲ 21:10、客車はDLが牽引して車庫に引き上げていきましたので、反対側から撮れました。前照灯が点灯されて発車間際の瞬間でした。
DATA:NIKON800E、VR28-300㎜、ISO400、28㎜、1/6、F5、0段。

三脚なしで挑んだファランボーン駅での夜撮でしたが、カメラの高性能に助けられて撮らせてもらいました。絞り優先やマニュアルでもよかったのですが、今回はカメラ性能を信じてのシャッタースピード優先のISOオート設定にしました。1/6のシャッタースピードまでは、手振れなしの自信もありましたので、極力遅めで切りました。画質は、三脚固定には及びませんが遜色ない上がりだったと思います。老体には重い三脚の持ち回りは、ただでさえない機動性を損ないますので、続けていきたいと思いました。そのための800Eの購入でしたが、期待以上に答えてくれたカメラさんに感謝、感謝でした。

この後は、ファランボーン駅前のセンターホテルに預けておいた荷物を取りに行き、Y崎さんと2人でトゥクトック(バイクタクシー)で本隊の皆さんが待つバイヨークスカイホテルへと快走で向かいました。

今日も長い一日が終わりました。明日は、乗り鉄と撮り鉄に分かれてアルヒル桟道橋に向かいます。  Part6へ続く

微笑みの国、タイ王国鉄道の旅 Part5 タイの蒸気機関車撮影」への3件のフィードバック

  1. ぶんしゅう旅日記様
    今どこあたりを徘徊しながらこの投稿をされているのでしょうか。バイタリティあふれると申しましょうか、執着心に富んだと申しましょうか、撮影に対する考え方、工夫等は本当に凄いものですね。私など到底足下にも及びません。今回の旅行も本隊長のSさんにすべて任せきりで後からついていくだけの楽な旅でした。ホームで蒸機撮影の頃にはホテルでお先に夕食をとっていました。それにしても手持ちなのでしょう、夜間三脚撮影にありがちな不自然な煙でなく、素晴らしい写真ですね。海外経験抜群のぶんしゅうさんですが、どうぞ、ご自愛なさって活動してください。

  2. 準特急様、コメントをいただきまして、ありがとうございます。
    ただ今、厳寒の地より帰国しまして、美味しいお酒を飲みながら本格的な投稿体制に入っています。タイでは、大変お世話になりましてありがとうございました。ちょっと日が経ってしまっていますので、思い出すのに一苦労です。手帳や資料を出して探しながら、また確認しながらの投稿です。厳寒の地では、田舎のためなのかホテルの部屋にインターネット回線がなかったり、遅くて途中で切れたりで、中々進みませんでした。次のお誘いも来ていますので、急ピッチで仕上げたいと思いますが、また旅の途中からの投稿になるかも・・。
    海外鉄はまだ始めてわずかで、まだまだ準特急先輩に比べると若輩者です。今年も頑張りたいと思っておりますので、ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。

  3. タイでエアコンなし車両に乗るなら断然客車列車をお勧めします。
    なぜならディーゼルカーは床下にエンジンがあるので、排熱が暑いのとエンジン音がうるさいのです。

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