“なにわ”の赤バス、消える 〈2〉

A 130315_256sy塗装は正真正銘の赤、印刷用語で言う“金赤”である。外国製ともあいまって、真っ赤なバスは、ちょっと大阪離れした雰囲気を漂わせていた(加島駅前)。

赤バスのあゆみ

赤バスは、一般の路線バスではカバーしきれない、各区内の病院、駅、区役所などの公共施設をきめ細かく結んでいた。2000年に試験運行を開始。2002年に21路線で本格的な運行を開始した。

各区内で完結(一部例外あり)するルートだが、そのルートは公共施設を丹念に拾っていくため、複雑を極め、ループ、8の字、タブル8の字、なんでもありだった。運行は、交通局の外郭団体である、大阪運輸振興に委託していた。

運行時間は基本8時台から17時台、30分ヘッドが基本だが、45分ヘッドもある。その複雑なルートから、知らないものには、なかなか使いにくい乗り物でもあった。各区で完結するのも、市民の生活圏の実態からは乖離していた。運賃は100円均一、と言っても、乗客のほとんどは、敬老パスを持った高齢者だから、現金収入は知れている。

その後、中央ループ、西ループが廃止となり、廃止時には29路線が運行されていたが、乗客数の伸び悩みなどから、紆余曲折の末、3月31日で運行を終了した。

4月からは、目標乗客数を上回った天王寺、東淀川、平野区内の3路線が一般系統として存続したが、一般バスと同じ200円に値上げされている。それ以外についての廃止後の処置は各区に委ねられ、一部の区では独自にコミュニティバスを運行したり、タクシー代行を行っている区もある。

A 130322_50sy浪速区「浪速東ループ」。もっとも大阪らしい名所、通天閣を行く。外国からの観光客で賑わっている通天閣の下に乗り場がある。どの時間帯でも逆光になり、おまけに自動車に邪魔ばかりされるので、何度も通ったものだ(通天閣付近)。A 130330_115sy浪速区「浪速東ループ」。日本橋東一丁目から右折して、堺筋に入り、日本橋電気街の雑踏の中に入っていく赤バス。

A 130208 (110)sy大正区「大正ループ」。大正区は沖縄県出身者が多く、関連したテレビ番組も多い。赤バスの1両も、沖縄の伝説の獣像であるシーサーをあしらったラッピングして、昨年12月から運行している。赤一色の中にあって、唯一の異色車両(大正区役所前)。A 130223_102sy淀川区「区役所~加島駅」。十三から、JR線の撮影地、加島陸橋へ行くのには、この赤バスが便利。梅田経由の鉄道より、短時間で100円で乗れる。歓楽街の印象が強い十三だが、少し離れると、歴史を感じさせる家も見られる(十三中学校前付近)。A 130330_057sy生野区「生野南ループ」。地下鉄千日前線の終点、南巽を発車。生野区の南部を複雑なルートで運転し、JR桃谷駅前に至り、ループ運行して、南巽へ戻る。A 130326_050sy複数ある赤バスのルートは、始発バス停で乗り継ぎができるようになっており、2台の赤バスが続行することがある。写真の東淀川区役所前は、3ルートの赤バスが始終発とするターミナルで、一日に数回、3台が続行するシーンが見られる。A 130330_127sy大阪市バスの天然ガスノンステ車と顔を合わす(なんば)。A 130315_213sy加島駅前では、幼稚園バスと顔を合わす。

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