川重製のみぶ型

「京22か 402」昭和49年11月4日 四条大宮/市電20系統代替の202系統 

青信号特派員さん投稿の「【9605】山陰線四条踏切のこと」のコメントでK.H生さんが「川重製のみぶ型」という表現をされておられた。私自身は初めて耳にした単語であるが、非常に的を得た表現であると思う。

「川重製のみぶ型」とはコメントで少し触れたが、昭和47年1月22日千本・大宮・四条線の廃止により壬生車庫が廃止になった際に代替バス用として新製されたバスのことで、シャーシはいすず、車体は川崎重工製で型式はBU06Dと称し、当時最新鋭の都市型低床バスであった。窓の大きい車体は京都市交通局の特注である。同形式のバスは、近畿圏では他の都市での導入例は無いと思われるが、関東圏では東京都営バス、東武バス、東急バス、西東京バス、国際興業等で導入された。

登録番号「京22か382~441」の60両が導入され、市電の代替系統に使用された。438~441のラスト4両は側面の方向幕が前後に設置され、市電代替系統以外でも使用可能なようになっていた。

当時の市バスは、均一系統は「前乗り運賃先払い」、整理券方式の多区間系統は「後乗り運賃後払い」であったが、代替系統は均一系統であるにもかかわらず「後乗り後払い」としたため必然的に専用車となった。配置は市電時代の壬生車庫が廃止されたので五条車庫となった。

その後、均一、多区間を問わず「後乗り後払い」に統一されたため、均一区間用車両の側面方向幕の後部への移設工事が行われた。

京22か 429 55年4月10日

 

京22か 440 51年1月8日/市電代替系統以外でも使用するため方向幕が前後に設置されている。

 

その他の47年式車について

47年式車はBU06D以外に、前期13両、後期65両合わせて78両導入されたが、後期車から、いすゞ西工車、ふそう車と日野車の窓の2段サッシ化、後扉の引戸化が行われたためスタイルが大きく変化した。

参考までにメーカー別に画像を表示する。

いすゞ

後期車は「京22か616~638」の23両が作られ、型式はBU05である。車体は616~625が西日本車体工業(以下西工と略す)、626~638が川崎重工である。前期車がBU06Dのため比較ができないので46年式車を表示する。46年式車は「京22か204~210、314~346」(342欠)の39両が在籍し、前者が型式BA30、車体は川崎重工、後者が型式BU05D、車体は西工である。

京22か 210  46年式BA30(川崎重工) 50年1月19日/「210」は市電10系統の代替系統で、この時期起点が当初の九条車庫から京都駅八条口に変更されている。その後、起点を京都駅、終点を玄琢に、系統番号を「6」に変更して現在に至っている。

 

京22か 316 46年式BU05D(西工) 50年6月15日

 

京22か 617 47年式BU05(西工) 50年3月16日

 

京22か 637 47年式BU05(川崎重工) 55年9月7日

 

ふそう

前期車は「京22か443~451」(449欠)で型式MR410、車体はクレハで44年式から続くスタイルである。

後期車は「京22か608~615・672~674」の11両で型式MR470、車体は608、672、673の3両が西工、609~615、674の8両がクレハである。

西工、クレハともに基本的なスタイルは変わらないが、窓の2段サッシ化と後扉の引戸化により印象が大きく変化した。

京22か 443 47年式MR410(クレハ)55年1月5日

 

京22か 613 47年式(クレハ)MR410 50年1月19日

 

京22か 673 47年式MR410(西工)50年1月19日

 

日野

前期車は「京22か455~459」で型式RE100、車体は帝国車体である。「山陰線四条踏切」の上から2番目に「京22か313」が写っているので、同一グループの「311」(46年式RE100、帝国車体)を表示する。47年式前期車は低床車となったが44年式から続くスタイルである。

後期車は「京22か639~671」(642、649欠)の31両で形式RE100、車体は639~663の23両が帝国車体、664~671の8両が西工である。

京22か 310  46年式RE100(帝国車体) 55年11月8日

 

京22か 645  47年式RE100(帝国車体) 50年1月19日

 

京22か 671  47年式RE100(西工) 58年1月1日

 

日産ディーゼル

47年式車は在籍しない。参考までに46年式車を表示する。46年式車は「京22か288~293」の6両在籍し、型式4R95、車体は西工である。

京22か 293 46年式4R95(西工) 50年3月16日

 

日産ディーゼル車は京都市交通局では少数派である。ちなみに、昭和51年9月末現在の在籍車両数は976両(定期観光車15両を含む)でメーカー別の内訳は、いすゞ321両(定期観光車2両)、ふそう278両(定期観光車7両、内1両休車)、日野340両(定期観光車6両)、日産ディーゼル37両)であった。

47年式「川重のみぶ型」の関連で、同年式車のスタイルの変化について簡単に触れたが、あまりバスの話をすると「あいつは何者」と言うことになりかねないので、ここまでにする。

【参考1】市電千本・大宮・四条線廃止時の代替バスの系統

201 みぶ~千本今出川~百万編~祇園~みぶ(1の代替)

202 白梅町~千本今出川~みぶ~祇園~岡崎公園(20の代替)

205 烏丸車庫~千本北大路~四条大宮(5の代替)

207 九条車庫~九条大宮~四条大宮~祇園~東福寺~九条車庫(7の代替)

210 九条車庫~京都駅~七条大宮~千本今出川~白梅町(10の代替)

217 九条車庫~四条大宮~祇園~岡崎公園(1・7の代替)

217甲 九条車庫~西大路七条~七条大宮~四条大宮~四条烏丸(17の代替)

221 九条車庫~九条大宮~四条大宮~千本北大路~烏丸車庫(21の代替)

205と221は西賀茂、210は三哲で担当した以外はすべて五条で担当した。

【参考2】BU06、BUO6Dの使用例

東京都交通局 46年式BU06D  58年6月30日 御茶ノ水駅前

 

東武バス 46年式BU06D 59年1月15日 足立営業所

 

東武バス 46年式BU06D 60年2月11日 新座営業所

多区間用の前後扉車で、スタイルは京都市の「みぶ型」と類似している。前扉が2枚共内側に開くグライドスライドドアー、後扉が引戸でなく折戸である点が異なっている。

 

東急バス 45年式BU06D 59年3月20日 大森操車所

 

西東京バス 46年式BU06D 59年7月24日 八王子営業所

川重製のみぶ型」への4件のフィードバック

  1. ありがとうございました。
    通称「みぶ型」は私の在学中(1979〜83)年に
    先輩方の中で、バスの好きな人たちの使っていた通称です。
    私はどうしても、仕事柄からか、川重=ロッキード、
    小佐野賢治=国際興業というつながりで、歴史の事実を見て
    しまいます。
    たとえば十和田観光電鉄。3400と4400で発注が
    後者は川車に変わります。ああ、この時代に国際興業の影響が
    入ったのかな、と。
    どこの新聞社も、鉄道マニアも書かないですよね。
    どうしてこういうことに、視点がいかないのかな、と
    ときどき不思議に思う時があります。

  2. K.H.生さん、コメントありがとうございます。
    DRFCの中にもバス好きの方がおられたとは驚きです。隠れバスファンの方はクローバー会にも名乗りこそ上げられませんが少なからずおられます。私もその端くれかも知れません。私の場合は市電廃止時の代替バスから少しだけバスにも目を向けるようになった次第です。

    お話の中の十和田観光電鉄4400形の件ですが、真偽の程はともかく私は次のように考えております。同社が国際興業の軍門に下ったのは昭和44年10月のことで、理由は前年5月16日に東北北部を襲った十勝沖地震で大きな被害を受け、復旧費に多額の資金を要したことにより会社経営が危うくなったためであります。余談ですが、尻内(現八戸)~五戸間を営業していた「南部鉄道」は復旧を諦めバス専業になりました。
    一方、クハ4400形(4406)は、昭和30年製のモハ3400形(3401)の相棒として昭和37年に川崎車両で新製されており、同じ帝国車両で作ればよかったものを何故か川崎車両で作られており、国際興業の影響によるものと思われるのも無理からぬところです。しかし、この時期は未だ国際興業の影響はなく、現にバスは「ふそう車」が導入されていることが何よりの証明かと思います。

  3. 上の画像は今から32年前の昭和58(1983)年6月30日のお茶の水駅前に停車をしています昭和46(1971)年製のBU06のものですがちなみに昭和46(1971)年製のBU06は今から何年前に廃車をしましたかとのことですが、

  4. こんにちは。都営バスですが、BU06改です。エンジンが異なり
    DH100で、BU06DのDの意味はD920エンジン搭載車を意味する記号です。
    ちなみにZ代はDH100エンジンですが、Y代はBU06Dです。中扉が三枚まどになっていて外観で識別できます。

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