◆最終日の北海道は、3度目の上目名へ 昭和43(1968)年9月14日
北海道へ入って14日目の最終日、事前のプランではフリーにしていましたが、やはり足は上目名に向かいました。いつもより遅い目の時刻に上目名に着くと、澄んだ青空に秋の深まりを感じます。最初に上目名に来た時に比べると、駅に集まる人数もぐっと少なくなっています。撮影地を探して、一人でトボトボ線路上を歩いていると、突然、自分の名前を叫ぶ声が、頭の上のほうから聞こえてきます。

▶次いで“ここや!ここや!”の声、声の聞こえる方向を、よ~く見定めると、なんと数日前に別れたはずの鉄鈍爺さんが、90度近い絶壁の上に立っているではないか。たしかに、その付近だけ岩場になっていて、熊笹もなく、何とか上がれそうだ。上からの声に励まされて、何度も滑りそうになりながら、人一人がやっと立てそうな岩場の頂きに到達することができて、偶然の出会いに喜び合った。鉄鈍爺さんは、倶知安YHから私より早い目に着いて、撮影地を確保し、偶然、あとから歩いて来た私を見つけたそうだ。まもなく、例のジェット機音が聞こえてきた。

















