CRHの旅Ⅲ Part4 CRH2寝台電車

北京駅には。21:50に到着。前回の広州駅のようなギリギリは、控えたいと思っていましたが、既に乗車は、始まっていました。和諧号待合室から、専用跨線橋を通ってホームへ下ります。ほぼ、最後尾に近い位置です。指定席は、前です。車両番号を撮影しながら向かいました。

4番プラットホームには、乗車する上海行きのD301と杭州行のD309が並んで、発車待ちをしていました。ここで、初めて杭州行きもある事、上海行きがD309ではなく、D301である事を知りました。天津で、購入した切符を見れば分かったのですが、日本で入手できた中国情報は、当てにならないものです。

車両は、どちらも間違いなくCRH2です。中国鉄路では、初めての寝台電車、中国版 『月光号』です。そして、最高速度200km/hで走行します。

今まで、北京~上海間1,463キロには、毎日19:26から20:02までに、5往復のZ列車が、寝台列車として走行していました。所要時間は、最速11時間28分(平均速度127.6km/h)です。

1月時刻改正から、2本がCRH2型に置き換えられました。所要時間は、9時間59分(146.5km/h)となり、1時間29分のスピードアップとなりました。私の乗車するD301の5分後の21:44にD305も、続いて発車します。

今までは、北京でゆっくりと夕食をとる事は、ちょっと無理がありましたが、発車時間が、1時間42分も遅くなったおかげで、出来るようになりました。夜行寝台に乗って、朝には上海に着けます。

各車両の入口には、赤いオーバーコートの制服を着た、若い女性服務員が立ち、切符の確認をしています。通常ですと、入口か車内で、直ぐに切符と席札を交換するのですが、なぜか今日は、やりません。理由は、聞かない事にしました。

私の席は、2号車28番上段席です。中国では、日本のJRのように、購入時に車両番号や、座席の指定ができません。1号車1番から順に発売していく単純なシステムです。

天津の旅行社では、下段を依頼したのですが、下段は満席で、これしかない。購入しなければ、他の人が買うと言われました。しかし、後部から見てきましたが、殆ど客は乗車していません。むしろ、ガラガラの状態です。言っている事と、事実が違う事が多いので、中国人の言う事は、100%信じられません。

まあ、最近の日本人も、負けず劣らずの偽造や嘘が多く、中国人だからと言うのは、大変失礼ですが、真実を暴いても、堂々としているか、何かと言い訳をつくって、自分の非は認めない事は、何度も経験済みです。この国では、騙される方が、勉強不足で悪いといった受け取り方です。

2号車の服務員に座席の変更を申し出ると、嫌な顔はせずで、発車後に列車長と相談するとの返答です。これは、期待できます。発車後、ぴったりとくっ付いて行くと、4号車を案内してくれました。
それでも、乗客が既にいるので、誰もいない部屋をお願いしましたら、OKがでました。1部屋を快適に個室使用できます。追加料金の76元を支払って、切符を受け取りました。車内で、携帯切符発売機から、印刷発行された切符を受け取るのは、初めてです。

この列車は、前後両端車が、2等座席車、8号車は全車食堂車、後の13両は、4人1部屋のコンパーメント軟臥(一等寝台車)の16両固定編成です。上海寄り、1号車よりの車両番号です。

ZE21212201+WR212202+WR212203+WR212204+WR212205+WR212206
+WR212207+CA212208+WR212209+WR212210
+WR212211+WR212212
+WR212213+WR212214+WR212215
+ZE212200 (列車編成CRH2-122E)

夜行寝台列車が多い中国鉄路では、最初に売れるのは、硬臥(2等寝台)です。次に硬座(2等座席)、最後に軟臥(1等寝台)と、聞いています。

この列車がガラガラなのは、人気の硬臥がないのと、競合する航空券代よりも高くなるのも要因と思われます。軟臥は、731元(約9,800円)です。一方、飛行機は、定価で1,100(約14,700円)ですが、早割だと、450(約6,000円)~750元(約10,000円)程度で購入でき、ほぼ同額以下となります。飲料や、軽食も付いています。

所要時間は、2時間10分程度です。24時近くまで運航しているので、北京でゆっくりと、夕食を取っても最終便に間に合います。ゆっくりと自宅で寝るか、列車で寝るかの選択となります。当分は、苦戦が続きそうな気がします。

杭州行きのD309が、5分前に出発した後に、D301も静かにホームを離れました。3本の高速列車が、5分間隔の並行ダイヤで走行するように組まれています。

さて、『はやて』が、どのような寝台電車に、設計変更されたかを見てみました。軟臥は、高包(2人用)はなく、すべて4人コンパーメントで、片側は通路です。通路には、折りたたみ椅子が設置されています。各車には、洗面所とトイレが各2人分、設置してあり、中国鉄路には、不可欠の給湯器も設置してありました。

車内設備は、Z列車寝台と同様に個人用液晶TVが設置され、ベット幅は70㎝、長さ205㎝、下段の高さは95㎝、上段は75㎝あり十分ですが、車体高が客車と比べて、低いので、車内から通路天井上に設置されている荷物置き場スペースがありません。中国人旅行者は、荷物量が半端ではありません。床に置くしかありませんが、4人分となると、大変でしょう。荷物の少ない路線でしか、この車両は使用できません。『はるか』のように、各車に荷物置き場の設置が必要です。

落ち着いたところで、食堂車視察に出かけました。列車服務員が座っているのみで、ガラガラです。厨房スペースは、結構あるので、車内で調理をするのかと思いましたが、写真のようにすべて電子レンジ調理品ばかりです。

試しにソーセージを頼みましたが、中々出てきません。冷凍品なので、解凍してから温めるので、たっぷりと時間がかかります。郷に入れば郷に入れです。生暖かいビールで乾杯しました。

列車服務員と話をしていると、この車両は、日本語で”カワサキ”と、言います。まさか、末端の乗務員から”カワサキ”を聞くとは、思いませんでした。

確かに当初の3編成24両は、川崎重工からの完成品で、6編成分はノックダウン方式の輸出でした。後の51編成は、約70%の国産比率での製造と聞いています。余程、周知されているだろう事を知りました。

数人の利用客が来た程度で、食堂車は、他の列車と同様に、列車服務員の憩いの場になっていました。

部屋に戻ってからは、パソコンを立ち上げて、ゆっくりと日本酒を飲み、映画を見ながら、いつしか夢の中となっていました。

夜が明けだした7時前に、目も明けました。時刻表では、無錫に停車するように載っていますが、徐行しての通過です。運転手が忘れた訳ではないでしょうが、時刻表にない駅に停車したりで、この逆もあります。結構、臨機応変で需要に応じたダイヤを、組んでいるようなところもある中国鉄路です。

定刻の7:39に、上海定刻到着しました。5分後に追走するD305も到着しましたが、こちらも乗客わずかでした。春節前の静けさなのでしょうか。

上海駅前は、春節帰省用の臨時切符売場や、乗車待ちのテント村が設置されていました。高速道路が未整備だった日本も、お盆や正月規制時には、京都や大阪駅前にテント村が設置されて、多くの帰省客の方々が、並ばれていたのを思い出します。まずは、荷物をホテルに預けてから行動しようと、地鉄駅に下りましたが、丁度通勤ラッシュです。到着する電車は、既に超満員で、スーツケースを持っての乗車等、ヒンシュクものです。3本も待ち続けて、ようやく隙間を見つけました。

中国のホテルで良いところは、部屋が空いていれば、早朝からでもチェックインできる事です。部屋に荷物を置いた後は、上海朝食名物の1つ、焼き豚饅頭を食しました。満腹となったところで、部屋に戻り、しばし夜行列車移動の疲れを取りました。今日は、日本での情報では、休館日となっている上海鉄道博物館の場所確認です。
 Part5 へ続く

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