【105091】 存廃に揺れる北海道の駅を巡る (2)

尺別

夕方の列車で直別を去り、ひと駅釧路寄りの「尺別」へ向かいました。隣り合う二つの駅がともに同時期に廃止されるのも、この地域の現状なのでしょう。廃止後も信号場として残ると思われますが、音別~厚内の15.0キロの間に駅が無くなるわけです。当初は尺別で下車して、約2時間後の後続列車まで写す予定でしたが、乗車列車が、交換のため尺別で10分ほど停車することが分かり、下車は止めて、交換待ちの間に撮影することにしました。
尺別は、1900生さんのコメントにあるように、昭和45年4月まで尺別鉄道が分岐していました。尺別~尺別炭山10.8キロの地方鉄道で、尺別炭坑からの運炭を目的に敷設された鉄道ですが、C12+二軸客車の旅客列車も一日2往復運転していました。ただ国鉄との運輸連絡が無かったためか、全国版の時刻表にも記載がなく、結局、私は乗ることも見ることもなく終わった鉄道でした。青信号「雪中北海道見聞録」に記載のように、1900生さん、kawanakaさん、西村さんの三人が、尺別鉄道訪問され、近年のホームカミングデーでも様子が披露されました。尺別鉄道の紹介記事は少なく、三人の記録はたいへん貴重なものでした。
釧路から直別に向かう時も、尺別で2527Dとの交換待ちがあって、乗車したタラコ色のキハ40 1758を、駅舎も入れて順光で撮影することができた。


上記の交換相手の2527Dは、キハ40の北海道色の単行だった。尺別は、二面二線の対向式、右手の1番ホーム側が一線スルー化され、上下の特急・貨物が通過する。

明治の頃、尺別付近には、数戸の農家と、海岸にわずかの魚師がいたに過ぎず、開業した根室本線に駅はなかった。大正7年には尺別炭坑が開坑したが、石炭は馬車で音別まで運ばれた。大正9年に、尺別炭坑の専用線が尺別川に沿って敷設されることになり、炭坑側は、国鉄に信号場の設置を求めて、同年、尺別信号場が開設された。そして大正14年に貨物、昭和5年に旅客も取扱いを開始し、尺別駅の骨格ができたのだった。

西村さんからいただいた蒸機時代の尺別駅、右手の下り列車を待たせて、上り貨物が右側通行で通過する。左手に尺別鉄道の側線が見える貴重な写真だ(昭和44年2月)。

陸橋から見下ろした尺別駅の全景、蒸機時代の写真は、左側のホームで写された。尺別鉄道の側線跡は、雪に覆われた原野に還っている。駅周辺に、わずかに民家が残るが、生活感か感じられず、すべて無人のようだ。
直別から乗った列車は、16時40分に尺別に到着、交換待ちを利用して写す。すでに、太陽が原野の向こうに没しようとしていた。
駅名標も夕陽の光芒に包まれる。背後が尺別鉄道の廃線跡。
高速で通過して、札幌へ急ぐ上り「スーパーおおぞら10号」。
駅は、尺別鉄道廃止直後の昭和46年から無人駅化されているが、待合室もキレイに整備され、照明も入れられて、絵になる夕景となっている。

2010年6月に、ぶんしゅうさんと北海道各地をクルマで巡った時も、尺別に立ち寄っていた。新緑の美しい季節で、今回とはまったく違った印象だった。

尺別鉄道

ピク別冊の「私鉄車両めぐり」特集が唯一の尺別鉄道の資料だった。

尺別鉄道の資料は少ないが、たまたまI原さんからもらい受けた資料の中に、尺別鉄道の社史があった。親会社の雄別炭砿に勤務されていた方が著されたもので、写真もあってたいへん貴重な記録だ。

これによると、大正時代に開坑した当時の運炭は馬車によったが、尺別川に沿って、762ミリの運炭専用線が建設が進められた。のち昭和17年に1067ミリに改軌され、「尺別専用鉄道」となり、蒸機を雄別鉄道、客車を美唄鉄道から借り入れて、従業員、家族の輸送も行なった。昭和36年6月付で、旅客・貨物の連帯運輸を行う地方鉄道の尺別鉄道に変更され、石炭以外の貨物輸送、一般旅客の輸送も行なうようになった。駅は、国鉄尺別駅から200mほど離れたところに、土盛りのホームを設けて、(社)尺別として、駅舎も設けて、旅客営業と手小荷物の取扱いを行った。ここへは、国鉄駅を出て、国鉄線を横断し、泥道を歩いて行かなければならず、夜間や風雨の時はたいへんだったと記されている。私はてっきり尺別駅の3番線に尺別鉄道の列車が発着していたと思っていたが、徒歩連絡を強いられていたのである。

尺別駅の構内図も、社史に載っていた。廃止直前の図かは不明だが、(社)尺別が離れたところに描かれている。転車台もあったが、これは国鉄の蒸機用で、尺別のC12は逆機で運転していた。財産分界点も記されている。

 

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