2010年 秋の中国一人旅 Part14 滬寧高速鉄道

第14日目 11月3日

① 上海10:00(G7010)→11:15南京
② 南京16:05(G7149)→18:04上海虹橋

今日は、2010年7月1日に開業した滬寧高速鉄道に乗車して、往路は上海から南京へ、復路は上海虹橋行きと少しルートを変えて往復します。
【滬寧高速鉄道】

2008年7月1日、中国鉄路の中でも最も列車本数密度が高く、輸送力の限界に達している上海~南京間の打開策として、鉄道部と江蘇省、上海市は共同出資で高速旅客専用線の建設計画を立ち上げました。そして驚愕のわずか2年間で総延長300キロの路線を完成、今年2010年7月1日に開業しました。
設計最高速度は、350km/hで、21箇所の駅が設置されていますが、日本の新幹線「こだま」のように各駅停車する列車はなく、各列車とも別々の停車站を設定しています。滬寧高速鉄道の列車番号は、G7000番台が振り当てられました。南京~上海・上海虹橋間に使用される車両は当初、CRH2C、CRH3でした。

開業時より合肥・六安・汉口・武昌・武漢~上海南間のCRH(動車組)が上海南から上海虹橋発着に変更され、8月21日の時刻改正では、北京南・天津~上海・杭州間の夜行寝台電車CRH1E-WG上海虹橋発着に変更され入線してきました。10月26日滬杭高速鉄道の開業により杭州からのCRH380Aも加わっています。1日当たりの列車本数は、209本にもなっています。東海道幹線の名古屋~大阪間213本に匹敵する過密度です。

上海~南京間
の所要時間は、以前の最短2時間14分から1時間15分へと約1時間の短縮が計られました。ただ、運賃は2等車93元→146元に1.57倍、1等車112元→233元に2.08倍とアップされ、利用者からアップ率が高すぎるとの不評の声が上がり、7月11日以降の切符販売停止された事がありました。
これは、スピードアップされたものの速いノンストップ列車本数が少なく、途中停車する列車では1時間50分台と以前との時間差が少なく、それでは運賃の安い在来線に残るCRH(動車組)列車に乗ろうとする利用者が殺到したためと言われています。また、上海站と市内から遠い上海虹橋站の両方から発着しているのも問題となりました。確かに上海站から地铁で上海虹橋站までは30分はかかりますので、これでは、短縮時間は相殺されて、高額運賃だけが残ります。このために早くも8月12日に時刻改正が行われノンストップ列車が上海站から16往復、上海虹橋站から4往復運転される事になりました。

以前に上海リニアをご紹介しました際に中国人は時間よりお金を日本人以上に考える。「Time is money」は、一般の中国人には通用しません。目的地に多少早く着いてもそれは早く出発する事で解決する。必要ないお金を使う意味はない。乗換も面倒だと結論付けてしまい以後もリニアの乗車率は増加していません。途中までの開業だった地铁2号線も2010年4月8日に虹橋空港と浦東国際空港間が全線開通(路線長;60キロ、所要時間;1時間52分、駅数;30駅)、時間はそれなりにかかりますが乗換不要(注意;広蘭路~浦東国際空港は同じホーム上で向かいの車両へ乗換が必要)、運賃は全区間乗車で9元(約113円)と約5分の1となると、益々苦戦を強いられてきました。

まあ、リニアは海外旅行に行く旅行者が使用する非日常的な交通機関ですが、滬寧高速鉄道の方は、多くのビジネス客の他にも沿線に苏州(蘇州)や无錫(無錫)といった有名観光地があり、観光客も多い日常的な交通機関です。様子を見て割引や値下げがあるかもしれませんが、同様に高すぎると言われた广州南~武漢間の武広高鐡も運賃値下げなしですので、期待は難しそうです。
また上海市内の住居は高騰し過ぎたので、富裕層でなくとも中級者層は苏州(最短31分)、无錫(最短43分)へと転居、住宅購入をしての新幹線通勤族が現れてきています。元々利用者が多い路線でしたので、運賃高騰は仕方がないと諦められるでしょう。

それよりも注目されている上海~北京間の京滬高速鉄道の開業は来年2011年10月1日が予定されています。滬寧高速鉄道とは異なる別線で、何と上海~南京間には在来線と2本の超高速鉄道が並行して走る事になります。運賃は同一になるのでしょうか? また列車ダイヤはどうなるでしょうか?
滬寧高速鉄道は最高速度350km/hですが、京滬高速鉄道は最高速度380km/h以上と言われています。CRH380Aが昨日同様以上の走りを見せれば、所要時間も短縮なります。そうなると滬寧高速鉄道は、通勤鉄道や幾分安い運賃の鉄道として対応せざるを得なくなると思います。いずれにしても結論は1年後にでます。一体どうなるのか楽しみですね。

既にこの路線は天津からのD341次に乗車した際に南京から乗り入れていましたので乗車済みですが、昼間の列車ではなったので、改めての乗車となりました。

【滬寧高速鉄道に初乗車】
地铁で上海鉄路站に向かいますが、昨日のように長い間の途中停車はご免です。昨日より余裕を持ってホテルを出ました。路線も東安路站からですと7号線と1号線を乗換した方が早く着きますが、乗換なし途中から高架線になる4号線にしました。24分乗車で上海鉄路站に到着です。通常は表の南口から乗車しますが、リニューアルされた反対側の北口が近いので視察も含めてこちら側にしました。


上は、東安路の地上口ですが、公安が立っています。万博終了後は交通案内人(ボランティア)が立つそうです。乗車時にX線の荷物点検をしますが、これも警備員が他都市の地铁より厳重でした。下は、3・4号線が共有試用する上海鉄路站です。虹橋路から宝山路までの区間は、3号線と高架区間の線路を共有していますが、乗客が激増していますので分離されます。


昨日視察に来たのは、正面玄関の南口でしたが、地铁3・4号線が発着する方は、北口です。まだ全体が未完成ですが、駅前広場は綺麗に整備されて広大です。春節(旧正月)ともなれば、ここにもテント村が出来るんでしょうね。

自動切符売場は南口にもありましたが、窓口があるのは北口のみです。まだ閑散期ですので、窓口は半分しか開いていません。並ぶ利用客もそんなに多くありません。電光掲示板で長距離列車の残席を見ましたが、当日の軟臥下鋪も結構空いていましたので、次回は上海発も考慮の対象になってきました。

まだ工事中のところもありますが、駅前広場も整備され広く、切符売場窓口はこちらに変わっています。站コンコースに入って本屋を探しましたら、ようやく大判の全国版2010年10月号時刻表を見つけました。今日からの販売だそうです。これで、7月号と比べての変化がわかります。

左が上海鉄路局管轄区内の列車時刻表(5元=63円)、右が全国版時刻表(10元ー125円)ですが、表紙は2009年からず~と同じです。どちらも中国鉄道出版社発行ですが、左側は他局の駅では売っていません。

改札が始まりホームに下りるとCRH2-082CとCRH2-080の2ユニット16両編成です。
①ZE20820+②ZE208202+③ZE208203+④ZE208204+⑤ZEC208205+⑥ZE208206+⑦ZY208207(1等車)+⑧ZE208200と⑨ZE208001+⑩ZE208002+⑪ZE208003+⑫ZE208001+⑬ZEC208005+⑭ZE208006+⑮ZY208007+⑯ZE208000

7面13線の上海駅。ここが北京站と言われても分らない程、中国鉄路站のデザインは、画一化しています。各ホームは到着した長距離夜行寝台列車で満杯です。

10:00、満員の乗客を乗せて定刻発車、終着南京まではノンストップです。発車11分後に300km/hを突破、18分後に330km/hに到達しましたが、頭打ちでCRH380A並みに350km/h連続走行はありませんでした。昨日のCRH380Aの走行が圧巻だっただけに、ちょっと拍子抜けでしたが、南京まで300キロを1時間15分、表定速度240km/hの走行で定刻11:15に到着しました。1年後はもっと速くに着ける京滬高速鉄道が走ります。東海道新幹線が日本経済発展に重要な役割を果たしたように、中国鉄路の新幹線建設そして高速化は更なる経済発展を強烈に推し進めると思われます。

同じ移動式売店車がズラリと並ぶ南京駅ホームです。

列車が到着すると、直ぐに車体・窓ガラスの水洗いが人海戦術で始まります。日本と違い片道だけでも相当な汚れです。それだけ空気汚染が多いということなんでしょうね。いつもマスクは必需しています。

南京駅でズラリと並ぶ高速電車トリオ

左は、CRH380A。右は、CRH3。

【復路】




▲ 南京駅前広場も広大です。地下鉄視察が終わった後に見てみましたが、駅前広場から夕陽が見えるのは初めてです。発車時間を忘れて、しばし見入っていましたので大慌てで乗車しました。


復路の列車はCRH3でした。ノンストップを選択したと思っていたのですが、5駅も途中停車する列車で2時間もかかってしまいました。
復路は、①ZEG60141+②ZE601402+③ZY601403+④ZY601404+⑤ZEC601405+⑥ZE601406+⑦ZZE601407+⑧ZED601400
昼間、初乗車した南京地下鉄につきましては、次の投稿で行わせていただきます。
Part15へ続く

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