Stay Homeを楽しむ  ~風景印を集めてみた ④~

切手に押印する風景印を、“マッチング”と言って、関係の深いものにすることは、前回の江若鉄道百年の項でも述べたことですが、鉄道に関して、さまざまな組み合わせを、今回は見ていきます。

究極のマッチング? 廃駅の写真・入場券・駅スタンプ・下車印、風景印を一致

上記の5つを一致させることはできるのか? 写真・入場券・駅スタンプ・下車印が揃っている駅はいくつか見つかりました。ただ、駅名と同名の郵便局があって、しかも風景印のある局となると、さらに限られます。みごと5つとも揃ったのは、ひと駅だけ、北海道、羽幌線の鬼鹿でした。「鬼鹿」と言う、驚しい駅名も、今となっては知る人も少なくなった。われわれの時代には、羽幌線は希少なD61の走る線区で、まだ石炭列車もあった。勾配区間の鬼鹿~力昼~古丹別は撮影地として知られていて、私も下車した。交換列車があることが分かり、小雨の中で、通過する石炭列車を待った。駅名標は隠れてしまったが、ナメクジのD51 62が牽く石炭列車だった。この蒸機は、北海道ではとくに珍しい長工式の切取式デフを付けている。デフの前のステーの位置を見ても分かるように、ご丁寧に、北海道特有の切り詰めデフに再改造されている(昭和44年9月)。

羽幌線は国鉄の第二次地方交通線で昭和62年3月に廃止になった。訪れた時の入場券、駅スタンプ、均一周遊券の下車印が、50年ぶりに陽の目を見ることになり、改めて、鬼鹿郵便局へ郵頼した。絵柄の建物は、近くの番屋、夏には海水浴場もあって、羽幌線の頃には、最北の海水浴の臨時列車も走った。

5つはダメだったが、4つ揃った例として、深名線の朱鞠内を紹介。深名線の中枢駅で、列車は冬期の列車遅延を考慮して、すべて朱鞠内で折り返す運転になっていた。交換するのは、(左)930D キハ2245+キハ2123、(右)940D キハ22 2 

しみ込んだ水分が凍結して路盤を持ち上げる凍土のため、両列車とも傾いて、平衡感覚がおかしくなりそうな駅だった。当時は有人駅だったが、右の下車印で満足したのか、入場券を買っていなかったのが悔やまれる。深名線は、代替道路がないところから、国鉄時代の地方交通線から外れたが、平成7年9月に廃止されている(昭和47年3月)。

深名線の廃線跡もすっかり自然に還っていると聞くが、郵便局・風景印は健在だった。風景印、駅スタンプとも、雨竜ダムによる人造湖、朱鞠内湖を描いている。駅スタンプは、その前年からのキャンペーン“DISCOVER JAPAN”のものと、それまでのスタンプも併存していた。

 

北海道ついでに、もうひとつ。

札沼線の北海道医療大学~新十津川が、去る4月17日に突然廃止されてしまった。もともと、5月6日の廃止予定で、連休期間中のため、一日一往復の定期列車以外にも、臨時列車を増発し、廃止前の人出に対処の予定だった。しかし、新型コロナの拡大で、連休前の4月27日に廃止が繰り上げられていた。そのうち北海道に緊急時代宣言が発出されたため、4月17日にさらに繰り上げられた。予告もない突然の廃止繰り上げで、いっさいの行事もない、異例の幕切れだった。コロナ禍で、突然の廃止駅となってしまった札沼線の新十津川駅

ただ、新十津川駅近くにある新十津川郵便局では、「札沼線ラストラン」の記念印を期間限定で押印した。これは「小型印」と呼ばれる、イベントなどに対応した期間限定の記念印で、さっそく同局へ郵頼した。さらに同じ頃に、JR北海道に依頼していた「札沼線記念入場券」も到着。もともと、駅での発売予定だったが、これも中止、郵便に限定した。

はからずも、突然の廃止駅となった記念印、記念入場券を、Stay Homeで偲ぶことができた。

「札沼線入場券記念(5駅セット)」 たいへんな状況が続くJR北海道だが、「収束の暁にはJR北海道をご利用いただき、北海道の旅をお楽しみください」と、入場券に添えてあった。

 Stay Homeを楽しむ  ~風景印を集めてみた ④~」への1件のフィードバック

  1. 切手と鉄道の雑文を綴っている時に、スバリの新聞記事が出ました。昨日の朝日新聞夕刊で、読まれた方も多いと思いますが、記事に登場されたのが、昨年のホームカミングデーに来ていただいた須田寬さんでした。実は、一週間ほど前に、須田さんからも直接、同書の献本していただいていました。お礼状を書かなければと思っていた時の新聞掲載で、記念印についての記述もあります。機会がありましたら、ぜひご覧になってください。

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