—–第4・5日目 2月22・23日
6時46分、地平線の彼方からあがる朝日を見ながら行動開始です。
フラジルは、チチハルにある工業都市です。3大工場と火力発電所の4ヶ所に蒸気機関車があるらしい。しかし、どこも工場内で使用されているために、一般の目に触れることはない。見たければ許可を必要としますが、生産現場となるとまず難しい。忍び込む以外に手はないのですが、見つかれば厳罰が待っていますので、これは避けなければなりません。それでも撮りたいものは、撮りたいとの二重三重苦に矛盾が重なり、考えれば考えるほど動きが取れません。
昨日ホテルにチェックイン後、その中でも発電所の蒸気機関車は石炭輸送のため、国鉄線への専用線があって工場外郊外約7キロを走るので、撮影には問題ない。また約60両、おおよそ5,000トンものセキを牽引をするからには爆炎も期待できるだろうと、確認のためにロケハンに出かけました。
ホテル前に止まっていたTaxiに乗り込み、発電所を伝えますと料金メーターを倒さず、まず15元(約190円)の料金提示です。流しを拾えば良かったのかと思いましたが、15元なら値切る事もないかとOKを出しました。この地のTaxi、すれ違う度に見ていますと、客が乗っているのにすべて空車マークです。こんなの中国内でも見るのは初めてです。
約20分ほどで発電所の正門に到着しましたが、線路は裏側です。裏へ回れとメモ用紙に地図を書いて申しますが、さっぱり理解してくれません。丁度夕日が真っ赤に染まっていますので、撮影チャンスですが、言葉が通じないとは困ったものです。
仕方なく車を降りて歩きましたが、専用線にたどり着くころには夕闇が迫り、ロケハンは失敗に終わりました。
今日は昨日のリベンジに燃えていました。 まずは歩いてホテルから近い第一重機です。道路と交差していますのでここの専用線は分りましたが、DLが見えるのみで踏切番も蒸気機関車は走っていない。しかし工場内にはいるが、ここからの入場は許可できないと申されます。ごもっともです。グーグルアースで蒸気機関車がいるらしい位置は確認していますが、ここからは距離があります。忍び込むのは無理です。諦めて、優先順位一番の発電所専用線へとTaxiに乗りました。
昨日同様にメーターは倒さず6元 (約75円)です。昨夜の帰りは12元、途中で別の客を乗せて相乗りでした。この地では、これが当り前で、市内中心は6元で、市街は場所によって相場が決まっているようです。勿論相乗りはOKで、乗車途中でも客をひらいます。これって、大都会なら問題ですが、Taxiが少ない地方なら、常に客を乗せたい運転手と、空車まちでヤキモキする客にとっても都合がいい慣習?だと思われますが、皆様方いかがでしょうか。
着いた専用線踏切には、丁度国鉄線から発電所方向への真新しいDLが単機で走行中でした。ここは蒸気機関車ではなったのかと、期待は失望へと変わりました。Taxiを降りて彼方に過ぎ行くDLを見ながら、これが試運転かも知れない。ひょっとしたら次に来るのは蒸気機関車かもとの勝手な想像をして諦めきれない想いで発電所に向けて歩くことにしました。
▲ 発電所への途中で、最後尾が見えないくらいの54両ものセキを牽引してやってきたのは、残念ながらDLでした。
▲ 正午前に発電所裏手に到着。昨夜は闇で見えなかったのですが、遠くに煙が見えましたので辺りを見渡してから突入しました。幸いにして発見されることなく機関区に着くと、綺麗な建設型6545号機が有火状態で止まっていました。買い込んでおいた昼食を食べながら動くの待ちました。約2時間を経過しましたが、運転手も乗ってきませんので諦めました。
▲ 明日の齐齐哈尔までの切符を買いに駅に行ってきました。東清鉄道時代の1900年に建築されたロシア風の富拉尔基站。丁度、義和団の乱があった年である。
【富拉尔基 3日目】
▲ まだ旅は始まったばかりだ。ここで捕まってのとほほは避けたいと、また発電所の専用線を目指したが今日もDLでした。それではと、昨日と違って裏門からではあるが堂々と、機関区に向かった。昨日は見られなった建設型8123号機がいました。
▲ 昨日撮った6546号機だが場所が違う。入替作用で動いたようです。
▲ 有火状態ではなかったが、上遊型1312号機もいました。
苦労を重ねた?3日間でしたが、期待した写真は取れずじまいとなりました。
初めての場所で、それも異国で、望む写真を初めから撮ろうなどとは偶然でもなければ、無理なのを分ってはいても懲りないことを恥じました。 そして、蒸気機関車は生きてはいても止まっている状態は、感動を感じないことを知りました。現存する中国の蒸気機関車を撮ろうと旅に出ましたが、感動を得られない以上続けるのは意味がありません。もう1つの目標であったのんびりした乗り鉄旅に変更することにしました。
▲ フラジルからチチハルへの帰路は、鉄ちゃんらしく途中乗車の4092次です。無座切符でしたが、運よく座れました。運賃はバスの半額で、所要時間も同じです。
もっと頻繁に区間列車があったら、利用は多いと思われますが、輸送能力が足らず、近距離輸送には対応していないのが中国鉄路の現状です。切符には、名前もパスポート番号も印刷されていません。徹底されていないようです。
チチハル到着後は、駅前の齐鉄賓館に飛び込みで宿をとりました。インターネットが出来る部屋でしたが、昨夜の4分の1という狭い部屋で、159元(約2,000円)でした。
Part4 へ続く