2009年 秋の中国一人旅 Part3 調兵山へ

今日、10月3日は、中国では、旧暦8月15日の中秋節を迎えています。この満月の祭りは、9~10世紀頃から始まったと言われています。古代中国の皇帝が、秋の季節にお月見を祭る礼から由来します。

中秋節は、自宅で、月餅を食べたり、名月を楽しんだりして、家族円満を祝う日です。中国人にとっては、家族の親睦や民族の団結、国家の統一を祈念する願いの日でもあります。中国の新年(春節)に次いで重要な年中行事です。今回の旅先でも、これでもかというほどの月餅が、街中で売られていました。値段は、1個1元前後の庶民用から、100元もする高級贈答品まで、さまざまです。飲食店では、年間の売上利益の大半を稼ぐそうです。

これが、日本に伝わり、月見団子になったのでしょうね。今夜は、晴れて満月です。皆様方は、どんな名月の夜を楽しんで、おられますでしょうか。

第4日目 9月20日

約36時間余りの夜行寝台列車の旅を満喫して、瀋陽駅に降り立ちました。瀋陽駅、中文では沈阳站(シャンヤンジャン)は、南満州鉄道時代の1910年に奉天駅として、完成しました。沈阳市は、遼寧省の省都であり、人口約740万人と、中国東北部の最大都市です。
満鉄時代は、旅順、大連、撫順、長春を含めて、満鉄の「五大停車場」と呼ばれていました。ご覧のように、赤煉瓦造りのレトロな駅です。駅前は、地鉄工事の真最中でした。

10月1日からの国慶節が迫っていて、9月末近くは、多くの列車の無座切符ですら、売切れ状態になっています。まずは、帰り切符の購入が、必要不可欠です。会社勤務時に駐在していた天津には、友人が待っています。是非とも確保したいので、切符売場に並びました。

日本では、全国の駅で指定席切符を購入できますが、中国鐡路では、切符のオンライン化が、まだ不完全です。一応、D列車等の優等列車の切符は、全国で購入できると言っていますが、現実は違っています。始発駅の持ち座席が多くあり、遠く離れた駅では、購入不可能なのです。深圳駅で、購入できなかった事情がありました。


購入できたのは、26日瀋陽北駅9:12発天津行きの、D176列車1等車の切符でした。瀋陽市には、ここ瀋陽駅の他、かなり離れた所に瀋陽北駅があります。今では、北駅がメインで、北京等への主要駅への始発駅となっています。

とにかく、帰路の切符が取れましたので、一安心です。今日から6日間、瀋陽を中心に動けます。予約しておいたホテルは、駅から歩いても、約15分程度でしたが、小雨模様で、重装備には堪えます。客引きのタクシーがやって来たので、20元(約260円)で、OKを出しました。

ホテルに着く間に、約70km先の調兵山までの料金を聞くと、片道350元(約2100円)、往復500元(3000円)の返事です。前回は、旅行社のワゴン車を1日チャーターしたので、約20,000円が必要でしたので、比較にはなりませんが、とにかく上遊型SLが、本当に走っているか、実際に行って、早く見てみる確認が必要です。1時間後にホテル前に、来てもらうことにしました。

乗車約1時間で、混みあう市内を抜けました。ここからは、殆ど信号なしです。約80km/h走行40分で、調兵山市に到着しました。東北の田舎町とはいえ、人口24万人の中都市です。運転手は、市内に入ったのは良いが、調兵山駅へのルートが分りません。途中、あちこちで聞きながら、1年8ヶ月ぶりの調兵山駅に到着しました。ホテルからの所要時間は、約2時間と、前回より、長めでした。市内モータリーゼ-ションが進んでいるためです。


直ぐに、ホームへ直行すると、懐かしの上遊型SLが煙を上げていました。間違えなく走行しています。まずは、駅2階にある旅行社に行って、撮影許可証を購入しました。20日昼から、22日昼までということで、本当は、3日分必要でしたが、中2日の撮影にしていただき、200元(2600円)です。確か、前回は、1日で120元取られましたので、今回は、格安です。


上記の時刻表は、ぶんしゅう作成の最新版です。行かれる方は、ご参考にして下さい。

続いて、列車ダイヤの確認です。前回印刷していただいた、時刻表を持ってきましたので、見せて確認してもらいますと、PC場面を見ながら、このとおりと返答されました。しかし、確認漏れもありますので、一応、駅構内の時刻表を撮っておいて、自ら確認することにしました。後で、デジカメのモニターで確認すると、一部、やはり違っていました。日本人と違って、このあたりが、大まかなので、注意が必要です。

次に大事なのは、今日のSLの運行状況です。4両しか、在籍していないので、毎日運行が変更されます。機関区に電話をしてもらい、問い合わせました。
結果、今日は、調兵山から、王千、大明、そして前回走行していなかった大青へも運行している事が分りました。

後、瀋陽のホテルは、帰路列車の切符が、確保できていなかったので、予約を4日間にしておきました。今回は、是非に夜間、早朝の撮影もしたかったので、現地宿泊が必要でした。

インターネットで、何でも購入や、予約ができるようになりましたが、さすが田舎町のホテルは、難しい現状です。駅前のホテルの空室状況と、料金を聞いてみると、空室はある。1部屋158元(2050円)だが、まだ安くはできるとの返答です。今日チェックインした瀋陽のホテルの半分以下です。外観は、まあまあ立派そうに見えます。後日、電話をすると言って、携帯番号を聞きました。

これでようやく撮影できる準備完了です。ただ、今日は雨模様で、土地勘のない運転手です。SLの走ってしる全線乗車に切り替えて、車中から撮影ポイントを探すことにしました。前回は、冬の原野状態だったので、比較的見通しがよかったのですが、秋は、高く育ったトウモロコシ畑に囲まれていて、そばを平行する道路からは、全く線路が見えません。

時刻は、12:30。昼飯は、撮影後にして、今から間に合う大明駅へと、行くように運転手に伝えますが、全く道を知りません。調兵山駅1階のゲームセンターにたむろしていた、地元高校生を案内人として乗せて、向かいました。今後、調兵山に行かれる方へのアドバイスの1つとして、鉄道と道路が、殆ど平行しておらず、むしろ、交差していて、道を1本間違うと、迷走する可能性が高いと言うことです。
また、道そのものが少なく、あっても未舗装の凸凹道で、4~10km/h程度でしか走れない悪路だらけです。今日は、致し方なくこうなりましたが、現地での移動には、地道を知り尽くした地元の運転手確保が、欠かせません。

前回も、大明駅には行きましたが、線路は、道路から大きく迂回して、炭鉱を経て、大明の街に着きます。道路は、高速で走行、ショートカットできます。列車では、最短約45分必要ですが、車ですと、15分で着きました。降りる際に、運転手には、今日の予定をメモにして渡し、私は列車に乗りたいので、これから、調兵山駅に引き返して待つように伝えて、列車に向かいました。


大明発は、12:58。発車前の撮影もできました。運賃は、全区間均一の1元(約13円)です。発車後、ビデオ撮影のために窓を開けようとしましたが、錆付いていて、老力では、びくともしません。諦めて、デッキドアを開けて、撮影しましたが、乗務員のおばちゃんから注意されて、次の駅からは、施錠されてしまいました。

発車時は、結構、煙を出してくれるのですが、運転速度は、40km/h以下です。直ぐに力行を止めてしまいます。何しろ、この上遊型は、かつて、総重量70トンの石炭貨物車を30両以上牽引していた力持ちです。勾配も殆ど無いので、3~7両程度の客車牽引は、楽勝です。


調兵山
着後、運転手と遅い昼食をとり、今度は、調兵山から王千までの乗車を楽しみました。王千までの途中駅に行くルートは、地元人でないと分りませんが、王千駅は、国道にも比較的近くて、不慣れな運転手でも大丈夫です。車は、王千駅へ回送させました。


王千駅
下車後は、途中駅へと向かいましたが、やはり迷走です。走行するSLの煙を追いながら、道を探すといった具合で、撮影を試みましたが、中々上手くいかず、途中のバス停で待っていた、地元の親子連れを同乗させて、追いかけました。

こんな具合で、夕刻を迎えてしまいました。今日は、SL走行の確認と、ロケハンと決めていたので、これで十分です。明日からの、行動作戦を練る事にしました。
 Part4 へ続く

2009年 秋の中国一人旅 Part3 調兵山へ」への1件のフィードバック

  1.  昨秋ハルビンからぶんしゅう氏のよく撮影、乗車されている「和諧号」と前面に掲示した電車で到着したのは賑やかな大きな駅だったので瀋陽北ですね。レトロ調の瀋陽(奉天)駅は10年くらい前に赤峰からの夜行で到着した駅でした。瀋陽から長兵山は少し離れており、渋滞の市内からローカル風景の中を暫く走ったあと小さな街に入った所が長兵山でした。長兵山の駅前ホテル、1元の乗車、駅の2階のツーリスト等懐かしいですが、1年前なので変わっていませんね。上遊型蒸機はテンダーがC56のようにバック運転に配慮された切り取り型で実際にバック運転でも使用されていますね。立命館留学の女学生ガイドは「長兵山は生まれた所だから好きだ。だけど、空気はあまりよくない。」と言っていました。しかし、「住めば都」はどこも同じですね。「日本のラーメンより中国のそれの方が美味い」との言葉も印象的でした。空気が悪いのはボタ山が点在する炭鉱地帯だからです。線路配置が複雑で道路がわかり難いのは氏のおっしゃる通り。筑豊地方に相通ずる部分を感じました。多少、観光誘客、それも鉄道ファンを目当てにした感じがしないでもないですが、日本のイベント列車と異なり、朝の長兵山のホームは通勤客であふれる等、そこには忘れかけた懐かしい光景が戻ってきます。21世紀に入っても、蒸気機関車牽引の客車列車を見ることができるのは、全世界的に見ても貴重な存在です。

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