根利森林鉄道まつり

ホイットカム出庫
エンジン音高らかに出庫するホイットカム

7月27日(日曜日)、群馬県沼田市利根町根利にある「林野庁森林技術総合研修所林業機械化センター」で「第7回根利森林鉄道まつり」が開催された。

主催は「よみがえれボールドウィン実行委員会」で、当所が所管している森林鉄道車両の修復とかつて根利に存在した森林鉄道の調査を目的とした任意団体である。

当所はJR沼田駅から約25㎞離れており、公共交通機関(路線バス)で行けなくはないが非常に交通不便な場所である。但し日曜、祝日は途中で乗換えとなるバスが運休のため不可能である。
当日は沼田駅から無料の送迎バスが運行された。

自宅を5時20分に出発して北千住、上野、高崎で乗換え、沼田には9時12分に到着した。
高崎から乗車した水上行は、長岡行に接続しているため新潟方面に行く「青春18」族の中高年オッサンと尾瀬に行くオバサンのハイキンググループで立客が出る程満員であった。そういう私も今回は「18」族の一員である。

沼田駅のバスの発車は9時20分で、座れるのか最悪乗れるのか心配していたが、40人乗り(補助席を含む)の中型観光バスに乗車したのは約25名で、50代後半から70代前半と思われる人が大半であったが、20代~30代前半と思われる若い人も数名見られ頼もしく思った。
バスは沼田駅を発車するといきなり急な坂道を登り、登りきった所が市の中心部である。
市街地を抜け、日光方面に向かう国道120号線から別れると山岳道路となり約50分で会場に到着した。

10時30分から開会式が行われ、沼田市長、市議会議長、林業機械化センター長の挨拶があり、話の内容からは活動に対する理解と期待の大きさを伺わせるものがあった。
暫くするとホイットカムが約30mの仮設線路上を走行した。
元木曽森林鉄道の大型客車の修復状況が公開され、来年度のイベントまでには完成させたいと言っておられた。

昭和38年まで運行されていた根利森林鉄道の説明を聞いたり、展示されている林業機械や森林鉄道の模型を見学しているうちに帰りのバスの発車時間となり、後ろ髪を引かれる思いで会場を後にした。
今回は初めての訪問であったため実物車両の見学に時間をかけ過ぎ、根利森林鉄道に関する部分は前部見きれなかったため来年度の課題とした。

展示されている車両を紹介する。

ボールドウィン社製3号機
大正10年ボールドウィン社製で、北見営林局内3号機として新製され、置戸森林鉄道で約40年間活躍、昭和36年廃止後44年から当地で保管されている。
平成16年に「よみがえれボールドウィン実行委員会」の皆様のボランティア活動により塗装が修復されたが、将来「煙を上げ走り出すこと」を会の目標に活動を進められておられる。
木曽森林の客車が來るまでは、イベント開催日には建物の外まで出されていた。現在は不可能であるが来年は仮設線路が延長されることを期待したい。
銘板は盗難防止のため取り外されて保管されているが、年に1度この日のみ取付けられている。
ボールドウィン
ボールドウィン2
ボールドウィン銘板

ホイットカム社製7号機
大正15年ホイットカム社(アメリカ)製の4t機で、長野営林局7号機として昭和38年まで王滝、松本両営林署で活躍した。
燃料はガソリンで、エンジンは当初ブダ社(アメリカ)製を搭載していたが、26年に国産の加藤製作所製に換装されている。
稼働可能な内燃機関車では最も古いと思われ、材運車を牽いて建屋から出てきた時は感激した。
ホイットカム
ホイットカムバック-1

シンブルな運転台
ホイットカム運転台

修復中の元木曽森林鉄道の客車との並び
ホイットカムと客車-1

ホイットカム社の銘板
ホイットカム銘板

昭和26年に換装した加藤製作所製エンジンの銘板
加藤銘板

協三工業製43号機
昭和31年協三工業製の10t機で、北見営林局滝ノ上営林署濁川事業所に配置、34年に留辺蘂営林署、翌年の35年には津別営林署に転属した。

39年に森林鉄道が廃止されたため、長野営林局上松営林署に転属して小川森林鉄道の運材や学童列車に活躍、王滝森林鉄道では旅客列車に活躍して50年の廃止まで在籍した。

森林鉄道の機関車は、旧国鉄蒸気機関車のように全国規模で転属していたことが判る。また、滝ノ上、留辺蘂、津別と我々世代には懐かしい地名が出てくることも興味深い。
協三
協三2
ボールドウィンと協三-1

木曽森林鉄道B型15号客車
元木曽森林鉄道の大型客車で、平成18年から修復が開始されている。
車体の腐食が激しく、柱以外の木製部分が殆んど取替えとなる大工事であるが、来年には美しく補修された姿が見られることを期待したい。
木曽森林客車
木曽森林客車車内

室内に展示されている模型
特殊軽量機関車
根利森林鉄道は、昭和20年代前半に軌道強化と勾配緩和が行われ、従来の牛に替わって特殊軽量機関車が使用された。
メーカーは岩手富士産業製と協三工業があり、岩手富士産業製は「前期型」「中期型」「後期型」の3種類が存在した。
写真は実物の3分の1の後期型の模型で、この車を実際に整備されておられた元職員の方が1年がかりで製作されたものである。

実物は高知県馬路村の「魚梁瀬森林鉄道」に保存されており、2011年5月15日【13313】「じいじ二人が行く新緑の四国路の旅 Part5 魚梁瀬へ 魚梁瀬森林鉄道3の3」(https://drfc-ob.com/wp/archives/13313) で紹介されている。(上から13番目右上の写真)
運転台が前後にある両運であった。
軽量機関車模型-1

自動車改造機関車の模型
詳細は不明であるが、昭和10年代に自動車を改造して作られたようで2両存在していた。元は同じ群馬県の発知森林鉄道から来たものと云われている。
自動車改造機関車

木曽森林鉄道の客車の模型
客車模型

当日の送迎バス
送迎バス

臨時快速「たんばらラベンター号」 クハ485-703
沼田発上野行の臨時快速列車(オール指定席)で高崎駅で乗り換え待ち時間撮影した。
指定券を買えば、「青春18」でも快適な座席で帰れたのに残念であった。
隣の115系も近々211系に置き換えられると思われるが、今のところそのような気配はない。
リゾートやまどり

 「林野庁森林技術総合研修所林業機械化センター」への行き方
最初に述べた通り非常に不便な場所で、公共交通のみで行く場合は次の通りである。
沼田駅から関越交通の鎌田、尾瀬大清水行(冬季は戸倉行)で大原老神入口下車。
沼田市コミュニティバス根利集会所行(老神観光バスで運行)に乗り換える。
関越交通は1時間に1~2本あるが、根利行は8時13分、15時13分、17時48分の3本で日曜、祝日は運休する。
約6㎞を歩くつもりであれば11時13分発の南郷行でもよい。

帰りの便は、根利集会所発7時20分、9時、16時10分、南郷発は14時でいずれも尾瀬高校行である。
沼田駅~大原老神入口、大原老神入口~根利間の所要時間はいずれも約30分である。また大原老神入口~南郷間は約15分である。

沼田駅~南郷間に路線バスがあり、沼田駅発8時31分、13時14分、14時52分、17時24分の4本、南郷発7時、7時40分、9時31分、14時3分、15時46分の5本で、土日祝日は運休、所要時間は40~45分である。
10人乗りのワゴン車での運行のため、多人数の場合は事前に沼田営業所に連絡してほしいとのこと。
5名位の場合は、沼田駅からタクシーを利用してもバス運賃と変わらない。
バスのダイヤは季節、乗客数に応じてしばしば変更されるので、利用される場合は必ず最新のダイヤを確認していただきたい。
また地元の人の話では、南郷~根利間を歩く場合、途中に人家がなく動物(猿、猪、熊)が頻繁に出没するため、熊除けの鈴を鳴らしながら歩く等して充分気をつけて欲しいとのことで、この区間のみタクシーを利用する手もある。

「林業機械化センター」の開館は平日のみで、土日祝日は機関車の撮影、見学は外から可能であるが建物内の展示物は見学できない。
また、事前に連絡があれば職員の方が説明するとのことであった。

旧掲示板【1094】2007年12月14日「ボールドウィン・ホイットコム・D51」(http://drfc-ob.com/c-board/c-board.cgi?cmd=one;no=1093;id=)で湯口先輩が訪問記を投稿されているので併せてご覧いただきたい。

 

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