第13日目 11月2日
① 上海虹橋10:00(G7307)→10:45杭州
② 杭州16:00(G7320)→16:45上海虹橋
今日は、2010年10月26日に開業した滬杭高速鉄道を走行する最新のCRH380Aに乗車して、上海虹橋から杭州までを往復します。
▲ 杭州駅で配布していたパンフレットからのスキャンです。上海虹橋~杭州間には、途中7駅が設けられています。
ホテルから余裕を持って出発しましたが、地铁が後2駅を残して駅間で停車して動きません。いつものように車内放送もなく10分も過ぎると、飛行機に乗られるであろうスーツケースを持った乗客達も落ち着きがなくなってきました。何とか走り出しましたが、次の駅で全員降ろされました。車両故障だったのか、遅れたので単なる間引きのための車庫入りなのか分りませんが、とにかく余裕がなくなったのは事実です。後続列車は直ぐに来ましたが、虹橋火車站ではダッシュしている乗客もかなりいました。
上海虹橋站2Fコンコースに到着した時には、既に改札が始まっていました。車内は昨日朝に切符を購入した際にはガラガラ状態でしたが、ほぼ満員です。1持間に2~3本が走行していますので駅に着いてから購入する乗客が多いと言うことなんでしょうね。
ホームに下りて早速先頭車に行って初めてCRH380Aとご対面です。この車両はCRH2をベースに他のCRHの役立つ技術を取り入れて設計・製造されました。これを中国独自の技術と言うそうです。CRH2と違って、フロントノーズが長く高速走行用に改良されています。20種類ものモックアップを造って風洞実験等を行いこのスタイルに決定したそうですが、どこかの車両とよく似ているとの批評が新聞に掲載されていました。
しかしノーズ部が銀色に塗装されているのは、私的には好印象で品格さえ感じられました。乗務員専用ドアはありません。客室ドアから出入りします。500系は乗務員専用ドアがないのを嫌われて一線を退きました一因となっていますが、寧ろ日本の新幹線車両も展望車を設置して、こうあって欲しいと思うのは私だけではないと思います。
発車時間が真近かですので、各車両視察は到着後にして、席に着き発車から杭州到着までVTR撮影です。
定刻10:00にスムーズに発車しました。発車後は高架軌道を走行しますが、眼下には在来線が見えます。南京からの滬寧高速鉄道同様に在来線とほぼ並行して建設されています。
▲ かなり高い高架橋を走行しますので、展望は最高です。まだ稲刈りが済んでいません。
発車後10分で300km/hを越え12分後には356km/hに達しました。そして今まで乗車した中国版新幹線では、350km/h走行はしますが長続きしません。320~330km/hが常用の運転速度でしたが、CRH380Aは速度低下がなく寧ろ350km/h以上の連続走行です。上下左右の揺れは全くありません。走行音も大変静かで快適な車内です。見事な走行と快適さを備えた列車と言って良いと思います。
滬杭高速鉄道には、始発6:12から終電21:00まで1日上下100本の超高速列車が運行されています。上海虹橋駅と杭州駅間の途中の数駅に停車する列車が多いのですが、今日は往復ともノンストップの列車を選択しました。全長169キロを所要時間45分、表定速度225km/hで結んでいます。今までは、上海南駅と杭州駅をノンストップ最短1時間18分で結んでいましたので、31分の短縮が計れています。
▲ 探し求めていた時刻表ですが、上海鉄路局分の最新版が杭州站でありました。今日からの発売開始だそうです。ちゃんと上海虹橋~杭州間の列車時刻が掲載されていました。
G7307次は快調に350km/h以上の連続走行を続けていましたが、発車後30分で減速しました。そして高架軌道から渡り線を通じて地上の在来線へと降りました。分岐した高架橋はまだ先へと延びていますがまだ工事中です。
曲線が続く路線を120km/h以下で走行し在来線杭州駅ホームに16:41に到着しました。4分の早点(早着)です。西安の新幹線の在来線駅発着スタイルとよく似ています。路線が延伸完成されますと杭州東駅からとなるでしょうが、市内中心部近くにある在来線の方が便利です。出来れば、杭州駅始発終着の列車は在来線発着にしておいて欲しいと思うのは殆どの利用者の意見でもあります。
下車後は、折り返し運転まで時間があります。無粋な乗務員や駅員から注意を受けない限り撮影できます。
車体はCRH2と同じ設計で車幅は3.4mとゆったりして、両端の車両はCRH3と同じく展望車となっています。
乗車した CRH380A-6013編成は、杭州站に向かってが1号車で
①ZEG601301(2等車と展望車)+②ZE601302(2等車)+③ZY601303(1等車)+④ZY601304+⑤ZEC1305+⑥ZE601306+⑦ZE601307+⑧ZEG601300(2等車と展望車)と、なっています。
▲ 鉄道ファンなら絶賛の展望席。運賃が2等の3倍と高いのが難点ですが、それでも日本の新幹線運賃と比較すれば安いものです。是非とも350km/h走行の実感を味わって欲しいとお薦めします。運転席と客室との仕切りは、日本板硝子が開発した透明・不透明を電気スイッチON/OFFで切替が出来る「調光ガラス」が使用されています。六甲ライナーの窓ガラスでも使用されているガラスです
さすが中国、コピー技術は超一流です。CRH2とCRH3の良い所をミックスして仕上がっています。おまけに8両固定編成中に1等車が2両あり、1両には1組のコンパートメント客室が設置されています。
▲ 1等車に設置された6名定員のコンパートメント客室です。取ってつけたようなパーテーションで囲われていますので、もう少し工夫が欲しいところです。
▲ 1等車2等車とも網棚や天井部のインテリアはCRH3様式が採用されていますが、特に洗面所への通路は客室から見えないようになっているのは好ましい設計です。勿論、車体のベースはCRH2ですので、幅広い車内や洗面所、そしてCRHシリーズ全車に採用されている転換リクライニングシートは、好評のCRH2様式となっています。
乗車中にPCを使用される乗客が増えたので、電源コンセントもCRHシリーズでは初めて各席に設置されました。窓下ではなく座席中央下ですので、通路側席の乗客も遠慮なく使用できます。これは、日本も見習って欲しいと思います。
車両は一応見ましたので、今度は走行写真が撮れるか沿線を歩く事にしました。杭州站横にある食堂街です。美味しそうなB級グルメのオンパレードです。
歩いていくと公園にかつての杭州站の歴史をレリーフにして展示されていました。
▲ 杭州站はかつての名称は「清秦站」で、1907年開業されましたが、その後城内に移転され「杭州站」として1910年に開業しているます。
線路を跨ぐ横断陸橋がありましたので上がってみましたら、高さ2mの金網フェンスが二重に張ってあります。一眼レフレンズでは抜けません。こんな時のためにコンデジのLUMIXを持ってきましたので、試しましたがこれでもダメでした。
地図を広げて鉄路と交差する道路を探しましたが遠方ですのでTaxiを使って向かいました。ようやく探し当てたのが閉鎖された後の駅上に架かる道路橋でした。高さ2mの金網フェンスは設置されていましたが1枚でしたのでコンデジなら抜けます。CRH380Aも在来線ですので低速で走行してくれます。
▲ 杭州13:41発上海虹橋行きののG7422次 CRH380A8両編成です。
▲ 杭州14:00発上海虹橋行きののG7316次。この站も元は客扱いをしてきたようですが、利用者が少ないので廃止されています。実は中国鉄路には、こういった廃止駅が最近増えています。合理化と高速列車の運行が多くなったため、小さな站は片っ端に廃止しています。そして普通列車も次第になくなっています。
▲ 在来線ですので、客車列車も走ります。DF4D3059号機牽引の西安行き1154次と思われます。
撮り終えたところで、お腹が空いていましたので横断橋を降りてTaxiで、宋の時代の杭州の街並みをイメージして作られた清河坊(河坊街)を散策に行きました。杭州は3回目の訪問になりますが、清河坊へ行くのは初めてです。
▲ 杭州といえば、豚の角煮の東坡肉、こじき鶏のハスの葉包み焼、西湖じゅんさいスープです。これが大好きで滞在中はいつも食べていましたが、今日はC級グルメに挑戦しました。
▲ 杭州站のCRH380A用の待合室です。人気の観光地だけあってビジネス客よりも観光客が多いようです。上海人は杭州を好きな人が多いと聞きます。45分で来られるようになったので、土日は日帰り観光客で満員になるでしょうね。
復路は、CRH380A-6014編成でした。 ①ZEG60141+②ZE601402+③ZY601403+④ZY601404+⑤ZEC601405+⑥ZE601406+⑦ZE601407+⑧ZED601400
新幹線用の 高架軌道に入りますとぐんぐんスピードを上げて直ぐに355km/hに到達し、上海虹橋站近くまで連続運転が続きました。
CRH380Aに乗車していて加速時、特に300km/hを超えてからはCRH2CやCRH3と比較にならないほどの余裕の加速力です。かなりのポテンシャルを持っていると感じましたが、先日も掲載しましたようにやはり500km/h走行が出来https://drfc-ob.com/wp/archives/10814るまでに仕上がっていました。
いくらコピーの名手とは言え、ここまで短時間の間に高速走行技術を高める事は簡単ではなかったと思います。国家命令で、国内また海外に行っていた優秀な秀才技術者を総動員して開発にあたったと聞いております。人件費の極めて安い中国ですので 製造コストも日本の数10%でしょう。今後、この車両をもってして途上国への海外輸出に踏み切るとなると、脅威です。多分日本の車両は技術面でもコスト面でも負けてしまいます。
先日もベトナムに日本の新幹線売り込みが成功していたのに国会で予算足りずで否決されました。もし、中国が売り込みを開始すれば価格面で問題なく、また隣国で線路(狭軌)がつながっていますので受注するかも・・。安全性の問題ですが、中国版新幹線開業後の車両不調での運休は結構ありましたが、大きな事故が発生したとの報道はありません。
皆様方もCRH380Aに一度ご乗車いただきご感想をお聞かせ下さい。 Part14へ続く