さよなら 近鉄特急色 〈6〉

近鉄特急色を見直す

しつこく同じテーマのことを書きますが、これで最後とします。私が近鉄特急色について、強く印象に持ったのは、中学生の頃に読んだ鉄道ピクトリアルで、「電車の色いろイロ」と題した、東京大学の学生が著わした記事がありました。昭和38年のことで、暗色の時代から、湘南電車、101系、こだま型と、カラフルな電車が続々と出現していますが、主流は上下二色塗りで、そのほとんどは、窓廻りはクリームなどの明色、下部は暗色に塗られています。

たしかに安定感のある塗り分けではあるのですが、窓部そのものは暗いため、窓周辺を明るく塗ると、視覚的なバランスを欠くと指摘しています。逆に、窓廻りは暗色、下部を明色にすると、暗い窓部が同化して一体感、軽快感が出るとしています。その代表が「こだま」であり、私鉄では、近鉄の新ビスタ101100系が挙げられてていました。特に新ビスタは、斬新な外形とあいまって絶賛されていました。当時のピクと言えば、電車の性能、来歴などの小難しい記事ばかりでしたが、はじめて外部色に言及した内容で、近鉄特急色が中学生の心に残ったのでした。今までの紹介は広軌線ばかりだったが、狭軌線の南大阪・吉野線にも近鉄特急色が走っている。いちばん華やかなのは、何と言っても𠮷野の桜が満開の頃だろう。山全体がピンクに染まった𠮷野駅、16000系が花見帰りの満員の客を乗せて発車して行く。 (2003年4月)

𠮷野特急の近鉄特急色は16000系、昭和40年~製造された。MT2両編成が基本、中間4両を加えた4両編成もある。増備車の16010系もある。今川(2003年5月)畝傍山のもと阿部野橋へ向かう。16000系 坊城~橿原神宮西口(2002年6月)吉野特急は日中30分ヘッドだが、もともと利用率が低いうえに、行楽客への依存度も高く、今回の特急運休では、約半数が運休となった。飛鳥(2003年4月)ここからは近鉄特急色以外で、カラーリングを変更した車輌に。吉野特急の「さくらライナー」26000系、窓廻りはグレーに塗られ、まさに冒頭のピク記事のとおりになって、控えめなカラーに好感を持ったが、リニューアルに伴い、裾部ピンクのグラデに改められた。二上山~二上神社口(2003年4月)新緑の二上山雄岳をバックに快走する「さくらライナー」 二上山~二上神社口(2003年4月)伊勢志摩ライナー22300系は、登場時、サンシャインイエローとクリスタルホワイトで、南欧のリゾート特急をイメージ。車体更新に伴い、奇数編成は上部はサンシャインレッドに変更された。長谷寺~榛原(2001年11月)団体用の20000系「楽」、以前、現役会員+OB会で乗った時は、この色だったが、最近、阪急電車のような色に変更された。長谷寺~榛原(2001年11月)

 さよなら 近鉄特急色 〈6〉」への1件のフィードバック

  1. 総本家様、楽しいテーマを存分に楽しめましたありがとうございます。
    南大阪線ということもあり割り込ませてください。最初に南大阪線で特急色を見かけたのは快速“かもしか”5820系です、カラーのデータはないのですがここで紹介されているオレンジと紺の塗り分けでした。オールクロスで時々各停に入っていた時は“得をした”気分でした。
    近鉄特急といえば、このカラーリングだったのですがもう無くなりましたね、新旧が併結されたのを見ていると同じ車両とはいえ旧塗装は時代?を感じました。
    さて、さくらライナーといえば桜ですが、雪やなぎとのひとコマもご覧ください。2018年4月吉野です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

wp-puzzle.com logo

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください