2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 番外編 ヴァセル渓谷森林鉄道からヴァッサー渓谷森林鉄道への愛称変更について

【 このナロー鉄道の愛称日本語名の変更について 】
今回のこのナロー森林鉄道訪問記事を投稿するにあたり表題(愛称)の日本語については当初悩みました。過去に訪問されたネット記事を参考にと検索しましたがヒットする訪問記はなく、購入していた地球の歩き方(ブルガリア/ルーマニア 2013~2014年版 270頁)で名付けられています「ヴァセル渓谷森林鉄道」が一般的なのかと思いこれにしましたが、投稿後に地元で呼ばれている名前(愛称名)とは違っているとのご意見をいただき、改めて調べ直すことにしました。HP01_2▲ CFF Vişeu de Sus 公式HP のトップページです。

1、正式名; 「CFF Vişeu de Sus」
この正式名CFF Vişeu de Susは、1935年開業当初からの名前と現地に精通した案内人ダニエル君は言っています。頭の”CFF”Căii ferată forestieră(ルーマニア語) の略称で、直訳しますと道・列車・林業の単語で、熟語では森林鉄道です。ルーマニアの全ての森林鉄道ではこの略称が付いています。発音は、“チェフェフェ”です。ルーマニアのナロー森林鉄道の殆どに使われています。
Vişeu de Susは鉄道の起点となる町の名前で、発音は、“ヴィシェウデスス”です。
CFF Vişeu de Sus(ルーマニア語)でネット検索しますとこれでもかとヒットします。英語では「CFF Viseu de Sus」となります。

2、愛称・あだ名
① 「Vaser Valley forest Railway」、「Vaser Valley Railway」、「Vaser Railway」;
これらが公式HPや公式パンフレットにも英語表示されております愛称ですが、1つに統一されてはいません。現地で自然発生的に生まれたためと思われます。ドイツ語ではVaserがWasser(ヴァッサー)になります。欧州の鉄ちゃんの英語記事にはVaser、ドイツ語記事にはWasserが使われています。

② Mocăniț Vişeu de Sus;
Mocăniț とはルーマニア語で狭軌鉄道、ナロー鉄道。公式HPでは現地に行かれて迷われた場合、Mocănițăは何処?と聞けば分かると記載されています。現地での限定版です。”Mocăniț ”で、ネット検索をしますとルーマニアのナロー鉄道がヒットします。

③ ヴァセル・ヴァッセル渓谷鉄道;
地球の歩き方や1部の日本語のネット記事で名付けられています。

3、「Vaser」の発音
公式HPやパンフレットでは、ルーマニア語の「Vaser」を、英語では同じ「Vaser」、ドイツ語では「Wasser」と表記し、英語圏やドイツ語圏の鉄ちゃんは「ヴァッサー」と発音しています。一方、地球の歩き方などでは「ヴァセル・ヴァッセル」と訳し、違いが生じています。
これが今回の解読すべき問題でした。ルーマニア語の「Vaser」の正式な発音はどちらなのかをネットで調べて聞いてみますと、“ser”“セル”に聞こえます。ではなぜに英国人やドイツ人は“サー”となるのか、結論が出せないのでルーマニア大使館広報とルーマニア観光協会の両方に聞いてみました。

① ルーマニア大使館の広報担当Silviaさんから返答
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発音について説明いたします。「CFF Vişeu de Sus」とは鉄道の正式な名称でルーマニア語の発音は「(チェ・フェ・フェ)ヴィシェウ・デ・スス」です。
CFFとは「Calea Ferata Forestiera/Forest Railway/森林鉄道」のことです。この56kmの鉄道は「Vaser川」に沿って「Valea Vaserului(Vaser川の渓谷)」を走っています。
「ヴァセル」とは「Vaser川」のルーマニア語の発音で、「ヴァッサー/Wasser」とはドイツ語の発音です。
「CFF Vişeu de Sus」の公式サイト(英語版)では「Vaser Valley Railway」と訳されていますので「ヴァセル渓谷森林鉄道」とは特に間違っていないと思います。
ご参考まで:Wikipedia(http://ro.wikipedia.org/wiki/Vi%C8%99eu_de_Sus )によるとValea Vaserului(Vaser川の渓谷)は「Vişeu de Sus市」の東部にあり、「Vişeu de Sus駅」はその鉄道の終点です。(原文)
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と、「ヴァセル渓谷森林鉄道」と訳して問題ないとの事でしたが、肝心の英語及びドイツ語ではなぜに違っているのかが分かりません。
もう1つの窓口としてルーマニア政府観光局もありますのでこちらにも聞いてみました。

② ルーマニア政府観光局 シェルバンからの返答
カタカナ表記をご案内します。
Viseu  → ヴィシェウ  = 町の名前。
Vaser → ヴァセル = 近く流れている川の名前。
いずれもルーマニア語の発音になります。 ドイツ語は別の発音かもしれません。(原文)
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と、同じくルーマニア語では“セル”です。「ヴァセル渓谷森林鉄道」で良いかなと一旦は納得しました。

この返答をご意見のあったO氏に連絡しますと、“Vaser”“ヴァッセル”と訳されている事は理解できたが、なぜに“ヴァッサー”と呼ばれているのか現地を精通した案内人のダニエル君からも再度聞いてみた方がハッキリするだろうと問い合わせを行っていただきました。

③ 現地案内人ダニエル君からの返答(その1)
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Now, to respond to your question:
Yes, “Vaser” (in Romanian language) or “Wasser” (in German) is the  ame of the river we all know. Also in English it is Vaser, although the correct form would be “Water” Valley.
The pronunciation is the same in Romanian and German. In fact the Romanian form is somehow the “hearing” form of the German word “Wasser”. It is hard to say the exact date when the phrase “Wasser Valley Railway” was first in use. In Romanian language we use this to locate a line like this because most of the people would rather know the a river valley and then they will find out that there is a railway. For example the former
line from Turda to Abrud is well known as the line from Aries Valley (Aries is the river from that valley). So for regular people was easier to locate the line by the river valley name.
CFF means “Cale Ferata Forestiera” (Forestry Railroad – 760 mm gauge most of the time, only some very old were 600 mm) in Romanian language.
All forestry line in Romania were CFF. Examples are CFF Moldovita, CFF Covasna, CFF Comandau, or in the past: CFF Roznov, CFF Scutaru, CFF Tazlau etc. All these names comes originally from the river name where they were working. Somehow yes, CFF Viseu de Sus is the official name but from the time when Romania had a lot of lines like this.
“CFF” is like a technical name. Another like this are “CFR” (“Caile Ferate Romane” – Romanian National Railroads), “CFI” (“Cale Ferata Industriala” – Industrial Railroads (also 760 mm gauge most of the time) and “CFU” (“Cale Ferata Uzinala” – Factory Railroad (both narrow and standardgoage, sometimes even broad gauge).I hope these details are useful for you and also I hope I was clear with my explanation. Thank you for your email and please feel free to write to me again, anytime. Best wishes,
Daniel (原文)
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【おおまかな訳】
ルーマニア語の「Vaser」は川の名前で、ドイツ語では「Wasser」とした。英語での正しい形は「water」だが、英語ではそのまま「Vaser」にしている。その発音は、ルーマニア語とドイツ語で同一である。
愛称である「Wasser valley railway」の言葉が最初に使われた時期を言うの難しい。ルーマニア語で私たちはこの路線を指すときにこの名称を好む。普通の人にとっては、川の名前でその路線を差すのがより自然でした。
CFFはルーマニア語で、その意味は森林鉄道です。ルーマニアの全ての森林鉄道はCFFです。例えば、CFF Moldovita, CFF Covasna, CFF Comandauと呼ばれます。多くの名前は、鉄道が働いていた川の名前を使用している。CFF Viseu de Sus は公式な名前です。当初からの名前です。
CFFは技術用語のようです。CFR:ルーマニア国鉄、CFI:産業用鉄道、CFU:工場
専用鉄道などの例がある

④ 現地案内人ダニエル君からの返答(その2
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Both forms are correct and we still use both. Vaser is unarticulated (like water) and Vaserul is articulated (like the water). We use both word forms depending on context. In most cases “Vaser” is used. Any time you will write a text or picture legend and if you have a question about what is the right form you can ask.(原文)
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【おおまかな訳】
「ヴァッサー」、「ヴァセル」両方とも正しい。不定冠詞では「ヴァッサー」、定冠詞では「ヴァセル」という。

⑤ 現地案内人ダニエル君からの返答(その3)
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First of all we use more the expression “Vaser valley railway” because it is shorter and this is how it is more on leaflets and advertising materials. Personally I use “Vaser valley narrow gauge railway” or “Vaser valley forestry railway” on blog, facebook etc. because there are a lot of people that will think about a normal railway in a park.
Regarding your last question I have to correct your friend because we really use the word like it sounds in German language. For example it is like “Calea ferata de pe Vaser” (Vaser railway). We use this because “Vaser” is unarticulated. “Vaseru” is somehow articulated, less used. The correct articulated word it is: “Vaserul” where “ul” is the correct articulation for Vaser.
Some examples are: “Calea ferata de pe Vaser” (The railway from Vaser), “Vaserul are apa” (The Vaser has watter), “Calea ferata de pe valea Vaserului” (The railway from Vaser valley) .(原文)
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【おおまかな訳】
もっとも使う愛称は「ヴァッサー渓谷鉄道」です。短くて済むのでパンフレットなどで多く使っています。でも個人的なブログなどでは、この鉄道のことを多くの人に知ってもらうために「ヴァッサー渓谷狭軌鉄道」や「ヴァッサー渓谷森林鉄道」の表記も使うこともあります。また、Vaserの発音はドイツ語の発音と同じ「ヴァッサー」である。
Vaser(ヴァッサー)は不定冠詞、Vaserul(ヴァセル)は定冠詞で使い分けている。

こうなると、「ヴァッサー」「ヴァセル」どちらに読んでもおかしくはない。との結論かなと思っていましたら、ルーマニア大使館のシルヴィさんから発音の違いについての返答がきました。
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お世話になっております。
実はルーマニア語の「Vaser」とドイツ語の「Wasser」はほとんど同じ発音です。でもルーマニア語では名詞が主格や所有格や冠詞などがあり、「Vaser」が「Vaserul」と「Vaserului」に変化します。実際にあまり使わなくても文法として正しい使い方です。ルーマニア語は難しい言語ですね。(将来に参考になるかもしれないと思って、すこしルーマニア語について説明させていただきました。つまらない話で申しわけございませんでした) (原文)
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当初、シルヴィアさんは、「ヴァセル」が正しいと言っていたのですが、質問の仕方を変えていくと、上記の答えがでてきました。やっと、現地案内人と一致する返事がでてきました。ルーマニア語の文法や実際の発音をルーマニア語に疎い日本人に簡単に説明するのは難しいようです。

3、結論
以上、ルーマニア大使館広報、ルーマニア政府観光局、現地案内人に問い合わせた結果は、”文法的には活用によって「ヴァッセル」「ヴァッサー」の両方がある。一方、現地及び欧州鉄ちゃんは、「ヴァッサー」と発音する。” でした。
「ヴァッサー」となったのは、この地の方言と理解していいかな思われます。
しかし、どちらかを選ばなければなりません。一旦は名付けた表題を変更するのは“ぶれない”という私の信条からは反するものではありますが、表題には現地で使われている愛称を採用するのも私の方針であり信条でもあります。

そして、英語圏とドイツ語圏の鉄ちゃんが「ヴァッサー」と発音しているのに日本人鉄ちゃんが「ヴァセル」と発音するのは、意思疎通の面でも不具合が生じそうです。
渓谷鉄道02_拡大▲ CFF Vişeu de Sus 公式HPの英文での紹介です。ハッキリと「the Vaser Valley forest Railway」と、掲載されています。日本語訳は「ヴァッサー渓谷森林鉄道」です。

他のプログやHP記事を見ていますと英文で「Vaser forest Railway」「Vaser Railway」等々の掲載がありますが、公式HPに掲載されているとなると、こちらを選ぶのが順当と判断します。
地球の歩き方で掲載されています「ヴァセル渓谷森林鉄道」は文法で日本語訳をした場合は間違いとは言えませんが、正式名はCFF Vişeu de Sus(チェフェフェ・ヴィシェウデスス)です。愛称を求めていますので現地で呼ばれている発音及びよく行かれている欧州人の発音どおりの「ヴァッサー」、そしてフルネームは公式HPからのヴァッサー渓谷森林鉄道を選択せざるを得ません。
投稿途中で申し訳ございませんが、今までの投稿記事につきましては、全て変更をさせていただきます。ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

今回の調査につきましてご協力いただきました在日ルーマニア大使館広報担当のシルビア様、ルーマニア政府観光局のシェルバン様、現地案内人のダニエル君、またご面倒な質問の問い合わせをしていただきましたO氏につきましてはこの場をお借りしてお礼申し上げます。
ありがとうございました。  Part18へ続く

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