暖かい内地への旅 Part8 鹿児島市電を撮る①

第6日目 2月28日 その1

昨日台湾から帰国しましたが、着いた羽田から国内線に乗り換えて鹿児島へとやって来ました。学生時代も勤務時代も西鹿児島駅には各1回だけ訪れてはいますが、降りて市内に出た事はありません。ですので路面電車を見た事も乗ったこともありません。
用意したのは路線図だけ、後は白紙で朝食後電車通りへと出ました。


【 鹿児島市電 】

開業は、1912年(大正元年)12月1日に 鹿児島電気軌道により谷山線(武之橋~谷山)が、全国で28番目の運行を開始しました。そして、1928年(昭和3年)7月1日に 鹿児島市が鹿児島電気軌道を買収して市電となりました。最盛期は4系統がありましたが、上町線(市役所前~清水町2.2㌔)と、伊敷線(加治屋町 ~伊敷町3.9㌔)は廃線となり、現在は2系統の13.1㌔が運行しています。公式HPによると、現在の在籍車両は58両(貸切車1両、貨車2両を含む)となっています。

▲ 鹿児島市電の誇るべきは健全経営です。これも公式HPからの転載ですが、ここ10年間にわたって黒字経営が続いています。これを支えているのは安定した利用客数と思われます。
現在、全国には19の路面電車が運行されていますが黒字なのは、富山地方鉄道、富山ライトレール、京福電気鉄道、岡山電気軌道、広島電鉄、とさでん交通と鹿児島市電の7つしかありません。

▲ 鹿児島プラザホテル天文台の朝食です。地元・鹿児島の郷土料理や家庭の味を更に加えて、自社農場産の新鮮お野菜もドンドン取り入れておりますとのPR通り、年寄りには見るだけで重たくなってしまうほどのボリュームです。文句のつけようがありませんが、東横インやスーパーホテルとは違って有料(800円)が必要です。夕食バイキングなら嬉しいのですが・・。台湾なら無料夕食バイキングのホテルもあります。
3日間宿泊しましたが、1日目で満腹になりましたので2日目からは朝マック(330円)とコンビニ朝食(サンドイッチとコーヒー=350円)に移行しました。

▲ 8:22 ホテルから歩いて約5分の1号系統と2号系統が分岐・合流する高見馬場電停に出ました。交差点を渡ってくるのは最も多い15両の在籍車の9500形9501です。
9500形800形の主要機器を流用した更新車両出アルナ工機(現、アルナ車両)により1995年~2000年に製造されています。

▲ 8:24 ホテルから歩いて約5分の1号系統と2号系統が分岐・合流する高見馬場電停に出ました。1系統9701号車と3車体連節車の1014号車がそれぞれの鹿児島駅前谷山に向かいます。
9700形もアルナ工機で、こちらは1998年に2両が新製されています。
1000形はアルナ工機により2002年に日本初の国産70%超低床路面電車(リトルダンサーA3)として新製投入されました。3車体連接ですが客室は中央で両端は運転席となっていて全体の大きさに比べると定員数が少ないように思えます。2005年まで9編成が製造されました。

▲ 8:26 1000形1016鹿児島駅前行きが来ましたので乗車してロケハン開始です。後ろも続行する市電があります。待たずに乗れる市電ですね。もう1つ良いのはセンターポールです。ジャマな架線吊りがなくスッキリしています。鹿児島市電では1988年から始まり1992年平成4年)3月27日にセンターポール化事業竣工(計8.75km)したそうです。豊橋鉄道市内線同様に進んでいると言える路面電車です。

▲ 運転席のスペースが広い1000形です。構造上、仕方がないのでしょうが客室が混み合うと羨ましくもなります。


▲ 9:45 鹿児島駅前に到着です。ドームの駅は3線、左から9700形97011000形10167000形7002が発車待ちです。9701は先ほど見た車両です。1016は乗車しました。
7000形1000形に続いて2007年から投入された超低床車で5車体3台車の連接車です。2008年まで4編成が新製されています。

▲ 9:46 9701が出発した後、待っていた9500形9502が入線しました。

▲ こんな感じで出発、到着を繰り返していきます。

▲ 9:47 1016が入線。

▲ 9:47 続行で続いて9702も入線しました

▲ 電停の後はJR鹿児島駅です。日豊線の列車が発着していきました。


▲ 9:55 市電の電停に戻ると2両は変わっていました。頻繁に発着していますね。
左から70039702602です。

600形は大阪市電を細くしたようなデザインで1959年から16両が登場しましたが、製造メーカーは分かれていて台車バネが違っています。601~604は日立製作所製でコイルバネ仕様、605~612はナニワ工機製で空気バネ仕様、613~616は帝國車両製で空気バネ仕様でしたが、615、616は2009年にコイルバネ台車に更新されています。また616は2012年の開業100周年事業として、木造電車をモデルとした観光レトロ電車に改造されましたが、2013年6月に廃車解体されています。同じく1994年に606・608・609が、1995年に607が廃車になって現在残っているのは、601 – 603・605・611 ~615の9両と減っています。

▲  10:08 2110形2113ナポリ・長沙号)が発車していきました。
2110形は何と、九州旅客鉄道 鹿児島車両所で製造された車両です。地元とは言えJRの車両基地で路面電車が製造されたとは驚きです。他に鹿児島市電の2100形2120形2130形2140形700形も製造されています。

車上からのロケハンはできましたので、ここからは歩きながらノミネートした撮影場所で撮り鉄としました。
▲  10:11 桜島桟橋通を発車した2130形2131です。1992年にJR九州鹿児島車両所で製造されています。車体色は鹿児島市電の標準塗装です。

▲ 10:12 桜島桟橋通~水族館口 新製車両では最も新しい2連接構造の7500形7502 (愛称: ユートラムIII)が来ました。7500形は国産初の100%超低床車、アルナ車両で製造されたリトルダンサータイプXをベースに設計されていますが気にいらないのはロングシート車であることです。車幅は2,440㎜もありますので、一方方向のクロスシート2+2も可能、またはゆったりと2+1もできます。路面電車だから着席する時間は短いので快適性はいらないと言った考え方は間違っています。一時でも快適性を重んじないと利用者は去っていきます。欧州のトラムを見習て欲しいと思います。

▲  10:17 市役所前水族館口 2130形21312100形2102のすれ違いです。車体色も性能も同じですが外観は前面窓、ドア仕様が異なっています。

▲  10:19 市役所前水族館口 9500形9511がやってきました。同じ9500形でもクーラーの形や車内のカーテンの仕様(横引・縦引)での違いがあるそうです。

▲  10:23 市役所前水族館口 1000形10149500形9501のすれ違いです。桟橋通りとの交差点では春に咲く野花とのツーショトが撮れました。

▲  10:25 7500形75029500形9506のすれ違いも見られました。

▲ 10:26 市役所前を発車した鹿児島市電のオリジナル車体色を守る2130形2132です。

▲  11:04 2120形21219500形9510のすれ違いです。2120形も1991年にJR九州鹿児島車両所で製造されています。

▲ ドーム屋根の塔屋を持つルネッサンス調のレトロなビルは鹿児島の老舗百貨店の山形屋(やまかたや)です。創業は、1751年(宝暦元年)と、江戸時代。庄内地方(現;山形県)から移り住んだ北前船商人が、薩摩藩主の許可を受けて鹿児島城下唯一の呉服商として創業したのがルーツと言われています。百貨店としては明治中頃以降、この建物が出来たのは1916年(大正5年)で、西日本の神戸以西では先駆けとなった売上、顧客からの信用面でも屈指の地方百貨店です。

▲ 百貨店にも入ってみましたが、周辺も心斎橋筋のようなアーケードのある商店街になっていました。鹿児島のお買い物の中心街ですね。ただ、お店に入ってお聞きしますと最近は郊外大型商業施設の増加や鹿児島中央駅ビルアミュプラザ鹿児島のオープンがあってお客が減少して昔のような活気がなくなってきていると嘆いておられました。

▲ 山形屋前の電停名は「いづろ通」で、乗降客が多いせいか、屋根付きです。

▲ 今まで通ってきた大門口通から交差するマイアミ通りへと90度、軌道は変わっていきます。2120形21219700形9702のすれ違いが見られました。
9700形は、800形の車体更新改造によって登場した9500形とほぼ同様で、1998年にアルナ工機で製造され、2両が在籍します。

▲ 全国で見られる京急の広告ラッピング路面電車は鹿児島では9500形9504にされています。

▲ 9700形9702は「フェリー・さんふらわあ」のラッピング電車です。

▲ 9500形9506は「西郷どん」大河ドラマ館のPRラッピングです。

▲ 9500形9502は鹿児島の豚・牛食肉やハム加工品製造販売の「ナンチク」のPRラッピングです。上と同じ形式車両でも車体色が替わると全く違った車両に見えます。

▲ 広告がないのが連接車たちです。7000形も下の7500形は鹿児島市電のオリジナル車体色ではありません。交通広告を知っているものとして単純にラッピングの製作費が高いからではないでしょうか。

▲ スッキリとした車体デザインの7500形7502です。

▲ 2140形2143も広告電車ですが全体ラッピングではなく外側看板扱いです。

▲ 2120形の2121も同じく外側看板です。

▲ 12:11 9500形9506が戻ってきました。鹿児島駅前折り返しの電車は一巡したようです。

▲ 12:15 1000形1017が来ました。広告が付いていないとスッキリしたように見えます。
しかし明らかに客室に比べて運転席スペースが大きすぎます。

▲ 12:28 9500形9501です。

▲  12:43 鹿児島駅から鹿児島中央駅まで最短距離では約3.2㌔、実際は4㌔以上を歩いてきました。お腹が空いてきたので鹿児島中央駅の駅前にある「かごっま屋台村」のラーメン屋に入って昼食です。屋台は25軒がありますが殆どは17時スタートです。次回は夕方に来たいですね。

▲ 13:50 鹿児島中央駅に来てみますと中国地区の観光誘致キャンペーンが行われていました。東京、名古屋や関西なら分かりますが鹿児島まで誘致活動をしているのには驚きました。

半日過ぎましたが、まだ1/3程度しか見ていません。これからは専用軌道があるという谷山への路線を訪問します。   Part 9へ続く

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