2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part13  CFF Vişeu de Sus(ヴァッサー渓谷森林鉄道) その3 奥地へ(後編)

DSC_3214_100▲ 13:48 撮影地⑬ 素掘りのトンネルから煙を噴き上げながら出てくるBAVARIA号機。欧米鉄ちゃんが大好きなシーンです。暗黒の中からの解放感を彷彿させるシーンに何か通じるものがあるのでしょうね。この路線の中間地点には3つのトンネルが連続しています。待っていましたとダッシュされますが、その前に我々は場所を確保しました。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part12  CFF Vişeu de Sus(ヴァッサー渓谷森林鉄道) その2 奥地へ(前編)

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▲ ヴァッサー渓谷森林鉄道、冬季のハイライトの1つ、小さいながらも凍りついた滝を見ながら進むBAVARIA号牽引のチャーター列車。今日は晴天・無風のSL撮影には絶好の天候となりました。噴き出された白煙は綺麗な白帯として残り、SLが走行した軌跡を空に描いてくれます。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part11  CFF Vişeu de Sus(ヴァッサー渓谷森林鉄道) その1 到着

01_Map2パンフ01_100【 CFF Vişeu de Sus(ヴァッサー渓谷森林鉄道) 】
ウクライナとの国境に近いルーマニアのマラムレシュ地方に今尚残るヨーロッパ最後の現役森林鉄道です。軌間は760㎜のボスニアゲージの軽便鉄道で1935年に開業、伐採された木々を運搬してきました。現在では約60キロ余りに縮小されましたが、ヴァッセル渓谷はマラムレシュの自然公園として、2007年からはヨーロッパ諸国による保護の対象となり支援を受けて観光用として蒸気機関車も復活させて走っています。
公式HPはこちらです。 

今回はドイツの海外鉄ちゃんツアーのTANAGO社の企画に参加しての撮影ツアーです。アフリカのエリトリア、中国東北のツアーに次いで3回目のツアー参加となりました。現地集合で欧州各国から、また日本からもO氏ご夫妻、KKさん、SKさんと私の5名が参加です。ツアー費用は1,205€(SLチャーター、7泊8日の宿泊ホテル、食事込みの約167,000円)です。ちなみに国際線航空券(伊丹⇒ブカレスト、ブダベスト⇒伊丹)はこの時期とあって118,270円(燃油サーチャージ込)の格安でした。

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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part10 ブカレストから ビシェウ・デ・ジョス(Viseu de Jos)へ IR1642からRE4135への乗継

【 動き始めた列車から飛び降りる 】
ブカレスト北駅
から心地良く揺られての熟睡でした。5時過ぎにもう直ぐに乗継駅のBeclean pe Somesに着くだろうと起き上がり荷物をまとめて降りる支度です。列車乗務員の女性も預けた切符を持ってやってきました。まだ到着までは十分な時間があります。昨夜から見ているTV映画の続きを見ていましたら、暗闇の中で停車しました。窓から見ますが駅のホームらしきものが見えませんので単なる運転停車かなと思って部屋でゆっくりとしていましたら、突然ドアが開いて「あなた降りないの!もう発車するよ。」と、大きな声で申されます。えっ!着いているの?!状態です。

慌てて荷物を持って降車ドアへと向かいますが、列車は既に動き出しています。下を見るとホームは無く、凸凹としたコンクリート板が並べられているだけで降りるには結構な高さがあります。問題は履いては重い耐寒用(-30℃対応)のソレル製の靴です。ガッチリと作られていますので普通の運動靴のような機動性がありません。おまけに背中にはカメラ3台を入れた重いリックを背負って自由が効きません。それでもスピードも出ていないので大丈夫だろうと覚悟を決めて、エイヤーと飛びましたが着地は上手くいかず一回転してしまいました。重いキャリアーケースは私が転げ落ちたのを確かめて、乗務員がドアから落としてくれました。

こんなわけで朝からしくじりました。幸いケガは膝を少し擦りむいた程度の軽傷で済みましたが、もう少し遅ければ、列車のスピードが出ていたら、降りるのは無理だったでしょうね。

DSCN860006DSCN860207▲ 5:50 着いたBeclean pe Somes です。飛び降りたホームは右側の3番線で、ご覧の通りームと呼べる高さがありません。よく軽傷程度で降りられたものでした。’
夜行列車が止まる乗換駅なので普通の高さがあるホームだと思いこんでいました。まさか無いに等しいホームとは・・、大失敗の災難の朝でした。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part9 ブカレストからヴァッサー渓谷森林鉄道へ IR1642乗車

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▲ 乗車したIR1642列車の1等寝台の2人用個室です。ベット幅もいつもの中国鉄路の軟臥と比べると1回り大きく、重厚感ある木造の室内は天井が高く十分な広さです。ただ私のベットは上段ですので、重いキャリーケースは上の置き場へは持ち上げ不可能です。下に置かせてもらって、他の持ち物は上に置きました。
部屋の相棒は後から来た若いドイツ人です。挨拶を済ませてから上段に上がって寝る体制を整えましたら、彼は友人の部屋に空きベットがあるのでそこに移ると言って出て行きました。おかげで一人個室となりましたので大満足、寝場所を下段に移してのゆったり旅が始まりました。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part8 ブカレストその6 トラムに乗っての街散策 後編

DSC_271711▲ 17:23 夕暮れが近づいたブカレスト郊外の専用軌道を快走するタトラの重連。ブカレストのトラムも最後の撮影です。今日はブカレスト北駅、メトロ、トラムと朝から乗り鉄・撮り鉄旅を堪能しました。人口約200万人の広い町ですのでとても一日では回りきれません。最新の低床車も走行しているそうですが、残念ながら見られずじまいでした。しかし最盛期に比べると縮小されたとは言えトラムが元気に走り回っている姿は堪能できました。次回は街路樹に若葉が茂る頃に来たいと思いました。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part7 ブカレストその5 トラムに乗っての街散策 前編

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DSCN8455_100家にいる時は食事の支度は私の役目、海外に参った時は変わった食材がないか見るのが旅の楽しみの1つです。今回もトラム車窓から市場を発見したので直ぐ降りて探索です。
その市場で明るく元気よく野菜を売っておられるお姉さん、並べられた野菜たちもより新鮮に見えます。左下には初めて見る白い人参が積まれていました。
でもこれはパースニップと呼ばれるセリ科の二年草で、似てはいますが人参ではありません。風味はニンジンに似ており糖分多く、甘みが濃厚だそうで煮崩れしないため、ポトフやシチュー、ボルシチなどの煮込み料理に使われているそうです。古代ギリシャの時代から地中海周辺で作られており、食用だけではなく薬用としても使われて日本でもネットの八百屋さんで売ってはいます。

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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part6 ブカレストその4 ブカレストのメトロ

DSCN842332 【ブカレストメトロ】
1979年11月16日に1号線6.2キロが開通、その後も順次開業が進み現在4路線、51駅の約70キロが営業、トラム・バス・トロリーバスとは異なるメトロレックス(Matrorex)が運営しています。車両はルーマニアのアストラ・ヴァゴアネ・カラトリ (Astra Vagoane Călători)が1978年~1993年に製造した国産車両が1・3・4号線に、またボンバルディアが2002年~2008年に製造した車両が2号線に投入されていますが、老朽化車両については順次置き換えが進んでいます。 上の写真は1号線Dristor駅ホームで折返し発車を待つボンバルディア製の新車です。 続きを読む

2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part5 ブカレストその4 ブカレストのトラムに初乗車

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【ブカレストのトラム】
ブカレストの路面軌道は1871年開業の馬車軌道から始まり、1894年に電化されて最初のトラムが走りだしました。その後新路線が建設されて最盛期の1980年には351キロにもなりましたが、トロリーバスに置き換えられたりメトロの開業もあって現在の営業路線は24系統・約143キロに縮小されています。ゲージは1,435㎜、低床式トラムを含む128両が在籍します。
運営はRatb(Regia Autonomă de Transport Bucureşti)によって行われ、多くが専用軌道を走り、最高速度は65km/hとストレスを感じさせない都市交通機関です。

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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part4 ブカレストその3 ブカレスト駅の朝

現地からの投稿をするつもりでしたがパソコンのキーボードが不調となって、Part3以降は出来ずじまいとなってしまいました。現在、22日間のルーマニアとハンガリーのブタベストの鉄路の旅を終えて無事に帰国しましたが、撮った写真は、27,000枚(270GB)にもなっています。36枚撮りフイルムなら750本と過去最高の途方もない本数です。まずはバックアップと整理に追われる事となりました。ゆっくりになりますが旅の続編を再開させていただきます。よろしくお願い申し上げます。

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▲ 7:40 宿泊したHotel Sir Gara de Nord前から見た朝のブカレスト北駅Bucharest North railway station )。1872年の開業で国内各地、また欧州各国への国際列車の発着駅となっています。現在の気温はマイナス1.8℃と日本と比べてもそれほど寒くはなく、青空が広がっています。日中は暖かくなりそうです。

今日は一日、ブカレストのトラムとメトロの乗り鉄、撮り鉄を楽しんだ後、「ヨーロッパ最後の軽便森林鉄道」と、地球の歩き方にも紹介されていますヴァセル渓谷森林鉄道(Vaser Valley Railway)へ向けての夜行列車に乗車します。
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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part3 ブカレストその2

毎日朝から夜まで動き回っていますので中々投稿が出来ず進みません。昨日も中朝国境に続きセルビア国境に近い枝線を乗り鉄後、Oravita駅に列車から降りた途端に待ち構えていたポリスに職務質問されてポリボックスまで連行されました。取り調べはニコニコ笑顔で終始続けられて直ぐに解放されましたが、普段は滅多に来ない東洋人は目立ったようで、この時節がらですので仕方ありません。滞在2週間を過ぎてルーマニア鉄道の切符の購入や乗車にもようやく慣れてきました。毎日何回もあちこちでは一緒に記念写真を撮らせて欲しいと土地っ子やコマネチさん達に囲まれての旅になっております。

DSCN829601▲ 18:06 ブカレスト駅で発車を待つフランスからの中古DC4連。コマネチさんとは違って武骨な重厚感があります。ルーマニア鉄道ローカルDC列車の主役です。
切符も無事購入、ホテルもチェックインを済ませて夜になった駅構内での撮り鉄です。

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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part2 ブカレストその1


DSCN8219_101▲ 頭端式ホーム8面14線の大きなブカレスト北駅で発車待ちのDC連接車。始めてみるルーマニア国鉄(CRF)の車両です。明日の夜行列車でここから北にある森林鉄道に向けて出発します。どんな列車が発着しているのか楽しみです。

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2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part1 旅立ち

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昨年9月にO氏よりルーマニアナロー森林鉄道の蒸気機関車撮影の企画があるが参加しないかとのお誘いをいただきました。昨年春はボスニア・ヘルツェゴビナの蒸気機関車を追いかけました。折角のお誘いです。ネットで調べてみますとルーマニア鉄道にはフランスからの博物館行き同然の古いDC、また各都市では古いトラムも走っています。蒸気機関車以外でも面白そうな物がたくさんあります。元気なうちに行ってみるかなと、ご同行させていただく事にしました。
いつものようにツアー前後は一人旅でルーマニアハンガリー鉄道の乗り鉄旅を満屈する事にしました。現地の言葉はルーマニア語で全く分かりません。加えて列車の切符はネット予約不可で現地に着いてからのぶっつけ本番です。昨年、バルカン諸国を回ったのと状況は同様ですが、何とかなるだろうと大体の予定を決めてホテルだけは駅前に予約しました。

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2014~2015年 凍える大地への旅 Part19 大連路面電車(トラム)、帰国

DSC_2263_135200m級の高層ビルがあちこちで建築中の大連を走る路面電車、満州国建国時には想像だに出来なかった発展の中を走ります。当時に製造された路面電車と最新のLRTが同じ路線を走っているのを見るのは路面電車ファンとして引きつけられます。いつまでも続いて欲しいと思いながらの訪問です。

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2014~2015年 凍える大地への旅 Part18 長春軽軌、長春→大連

DSC_2032_147▲ 15:35 3号線との4号線乗換の卫星路站です。軽軌と呼ぶにふさわしい立派な駅舎とホームですが、到着・入線してくるのは低床式のLRTです。中国各地には軽軌が開業していますが、近郊電車との位置づけで走行しているのは一般の鉄道車両タイプです。このように路面電車が走っているのは長春軽軌のみです。

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2014~2015年 凍える大地への旅 Part17 長春路面電車(トラム)その2

DSC_1895_127▲ Part16で酷評した900型。-40℃対応の路面電車としての評価はできますが、期待していた低床式でないのでガッカリです。46両が投入されて54・55系統の全車が置き換わっています。このため旧型車両の殆どは廃車となりました。車内は2002年に試作投入された809型と内部はほぼ同じで代わり映えせず、進化はありません。

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2014~2015年 凍える大地への旅 Part16 長春路面電車(トラム)その1

DSC_1783_112▲ 冬枯れの白くなった軌道を長春路面電車54号系統の新型車両900型が走ります。この54号系統が走行する路線は日本統治下時代に建設されました。殆どが廃線となりましたが唯一残っている路線です。2005年訪問時には日本車両名古屋で製造された路面電車が更新されてまだ元気に走っていました。

前回訪問したのは2012年11月17日でした。その時は全ての車両が走行路線に置かれ再開業なる日を静かに待っていました。その前の5月に来た時は全車元気に稼動していましたのでなぜに運休しているのかと驚きでした。ただトラムが走っていた専用軌道横の広い道路は高架橋の建築工事が始まっていました。車庫も立て直し中でしたので、道路工事が済むまでは当分運行されるのは無理だなと思い、以降そのままになっていました。

以降4回の訪中の際に何度か長春站に降り立つ事がありましたが乗り継ぎばかりで訪問する機会はありませんでした。どうなったのだろうと思い今回の訪中前に調べてみますと新型車両が投入されている。また哈大高速鉄道の開業により新設された長春西站への延伸線も開業したとのネット情報を見ました。これは是非に見に行かなければと機会を作りました。

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2014~2015年 凍える大地への旅 Part15 延吉⇒長春

第13日目 1月7日

部屋に朝日が差し込む眩い朝を迎えました。今日、小竹先生は開山屯を再取材したいと言っておられました。一方の私は上手くいかない時は何か分からないが理由があるかも・・、こんな時は無理をしない方が良いだろう主義です。明日は長春で頑張らねばいけません。今日は一日ゆっくりしようとホテルの部屋で静かに過ごす事にしました。
DSCN7694_1▲ 8:50 宿泊しているホテルには朝食サービスがありません。駅前食堂に行っての朝食です。今日はワンタンを美味しくいただきました。
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2014~2015年 凍える大地への旅 Part14 中ロ朝国境見聞録その3 図們鉄路大橋

東亜日報2015年1月5日の記事によると、「脱営兵と見られる北朝鮮兵士(26)が、拳銃を盗んで中国との国境地帯の吉林省の村に侵入して強盗をはたらき、朝鮮族の住民4人を殺害した事件が起こった。犯人は、中国軍と警察の銃弾を受けて逮捕され、意識不明だという。北朝鮮は事件直後、国境部隊を再配備した。
中国の消息筋によると、犯人は昨年12月27日午後7時30分頃、拳銃を持って豆満江(トゥマンガン)沿岸の和龍市南坪鎮南坪村の朝鮮族住民ホさん(60)の家に侵入し、庭にいたホさんと台所にいたホさん妻を順に射殺した。さらに隣家のイさん(70)宅にも押し入り、拳銃でイさん夫妻の頭を殴って殺害した。チャさん(70)の家では、1人でいたチャさんを脅し、100人民元(約2,000円)を奪い、食事までして逃げた。また、漢族住民の家には入っただけで出てきたという。
中略)中国のメディアは、4人の自国民が北朝鮮兵士の銃弾で死亡した事件について一切報道していない。」

昨夕、この事件勃発によって我々は国境警備兵の検問に引っかかり、予定を大きく変更せざるを得なくなり、国境線の南下を諦めました。

DSC_1691_103▲ 12:45 南阳图们鉄路橋を眼下に見える新たに建設された展望台に戻っての俯瞰撮影です。昨日とは天気は一転し、遠くどこまでも良く見えますが、肝心の国際列車は、今日は運休でした。
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2014~2015年 凍える大地への旅 Part13 中ロ朝国境見聞録その2 琿春図們橋、南陽図們橋、三峰橋、検問に引っかかる

第11日目 1月5日

7:30 今日は昨日来た道を図們まで戻り豆満江の上流を目指して、中朝国境沿いを南下します。ナローゲージに走る鉄路が俯瞰できる場所を紹介しますとの小竹先生のお言葉にナローファンとしては楽しみに出発しました。
01_地図03_1▲ 赤線が今日の走行移動軌跡です。南坪から下が目的地なのですが直前で和龍に向かっています。その訳は・・、予想だにしない事件が発生しました。
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