▲ 15:31 オラデア駅ホームで撮影していますと駅員さんから日本人は珍しいから写真を一緒に撮ってとせがまれました。ルーマニアを旅していますといつもの事で、気軽に応じました。ツーショットを撮ってからお返しにお二人も撮られせていただきました。この女性駅員さんは「どこまで行くんだい、ティミシュアラなら次に入る列車に乗れば良いよ、ここで待ってなさいよ。」と、やさしく案内もしてくださいました。
第13日目 2月23日 その4
22:26 オラデアのトラム撮影を終えてオラデア鉄道駅に戻りました。この時間帯は珍しく発車ラッシュです。▲ 1番ホームで発車を待つクルージ・ナポカ行きのRegio3116列車は、DCではなくDL客車列車です。電光時刻表には12分早くに出た同じクルージ・ナポカ行きのRegio15206列車が掲示されています。先に出た15206列車は、所要時間2時間48分の急行ですが、3116列車は各駅停車で3時間53分もかかる鉄ちゃん向き列車です。DL正面に付けられたCFRヘッドマークが印象的でした。
▲ 5番線の向こうに面白い長大編成の貨物列車が入ってきました。これは何?とシャッターを切りましたが、拡大して見ますと”Pultrans KFT”との掲示がありました。調べてみますとタンクの上からセメント等の粉末を流し込んで、到着すると下部から落とすタンク貨車です。旅客列車は短編成ですが、貨物に関しては需要が多いようです。
▲ 15:35 2番線にはハンガリーとの国境沿いを北上して、ウクライナ国境駅の”Halmeu”に向かうRegio4337列車が到着しました。大勢の乗客が乗り込まれました。ブカレスト駅で見た元フランスでCaravelle(カラベル)と呼ばれた57系の色違いです。ここでも元気に働いています。
▲ 15:41 1番線にティミシュアラまで乗車するRagio3116列車が後押しで入線してきました。これも各駅停車の客車列車です。
3両編成ですが全席自由席でどの車両に乗れば良いのか迷っていましたら、冒頭の女性駅員がやってきて最後部の車両へと誘導してくれました。どうやら前の車両にはジプシーらしき集団が乗車するので、外国人は隔離させていただいたようでした。
▲ 最後尾のClass2コンパートメント客車に乗車しましたが使用されているのは6人用のClass1仕様車でした。コンパートメントは私一人の個室です。
オラデアを16:00に出発したRagio3116列車はハンガリー国境沿いを南下してティミシュアラへと向かいます。乗車距離は178㌔、所要時間3時間42分の平均速度48.1km/hのゆっくり乗り鉄旅です。車窓からは時折人家が見えますが殆どは地平線が見える草原です。
地平線に落ちる夕陽をアテに買い込んだビールを飲みながら過ごしました。
▲ 20:18 宵闇の中、定刻にティミシュアラ(駅名;Timisoara Nord)に到着。
【 ティミシュアラ北駅 (stație Timişoara Nord) 】
ティミシュアラには4つの鉄道駅がありますが、国際列車と国内主要都市への列車が発着するのは、中央駅とも呼ばれているこの駅です。開業は1899年、当初の駅名は”gara din Iosefin”、第2次世界大戦で駅舎は爆撃され崩壊、現在の姿に復旧建設されたのは1970年でした。
▲ 当時のPostCardを探してみますと1900年代初頭の”gara din Iosefin”駅前が見つかりました。バロック建築の素晴らしい駅舎です。これを見るとトラムの電停は駅正面直角に位置しています。現在は、正面から直角に左に回り駅に横付けされています。
”gara din Iosefin”と名付けられたのは、1700年代に城壁都市の庭園にドイツ人の入植地が設定されて町が出来ました。この町名から付けられています。当時はドイツ人中心の社会だったようです。
【 Timişoara(ティミシュアラ) 】
1307年にハンガリー王が要塞を建造し、1315年から1323年の間、、ハンガリー王国の首都になった事により町の基礎が築かれました。多民族都市として発展し、1700年代からはドイツ人の入植が多くなり、ルーマニア初めての運河・市民病院・公共図書館建設、新聞発行、ガスや電灯ランプ点灯の街路、電話・電報サービス等々が続き、ルーマニアでは近代化先端を走った都市になりました。ドイツ人の入植は第2次世界大戦以降は止まり、替わってルーマニア人が多くなり現在では85%を占め、ティミシュアラはルーマニアでは第3位の大都市となりました。
またティミシュアラは、チャウシュスク独裁政権打倒の口火を切り、民主革命へと導きました町としても有名です。
▲ 20:50 今日のホテルは到着時刻が遅かったので北駅徒歩2分の”Hotel Nord”にしました。エレベータがなく3階まで重い荷物を持って上がるのは辛かったですが通りに面して、バルコニーからは走っているトラムが見えます。広さも一人では十分、行水?できるバスも付いています。これで1泊、100.92Lei(約3,130円)はまずまずです。取りあえず明日も泊まります。
ただこのホテル、冬季はスチーム暖房で快適ですが冷房設備がなく扇風機が置かれていました。夏季は無理ですね。 明日はティミシュアラのトラムの乗り鉄・撮り鉄を終日楽しみます。夜更けまでトラムが走る走行音を聞きながらの就寝でした。 Part29に続く