2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part29 Timişoara(ティミシュアラ)のトラム その1

DSC_6616_100ティミシュアラも教会の多い町で、トラム沿線の車窓からは常に目に入ってきます。ローマカトリック教会Iosefinをバックに交差点を渡るのは、2系統GT4d型3511号編成
GT4d型は1973年にWegmannで製造されて、ドイツのベルリンブレーメンで走っていました。その内の10編成が2002年から2007年にかけてティミシュアラへとやって来ました。


第14日目 2月24日 その1

今日は終日ティミシュアラのトラムの乗り鉄・撮り鉄旅を楽しみます。9時過ぎにゆっくり起きてバルコニーからトラムを見ますと昨夜の2連から4連になっていました。
DSC_6597_100DSCN008255_100▲ 後部の編成はパンタ無しです。総括制御ができるのか、トレーラーなのか?

朝 9:30の温度は、10℃。北の国境からは南下しましたのでかなり暖かくなってきました。

DSC_660103 DSC_660704▲ 10:21 ティミシュアラ北駅前の電停で、右は降車ホーム、左が乗車ホームです。
発車待ちのトラムは、1998年にベルリンブレーメンから来た、1968年Hansa製GT4c型3478編成
乗車した次のトラム(1系統)も同型の3476編成でした。

02_切符DSCN009357▲ ティミシュアラ・トラムの切符は、1回券で2Lei(約62円)。車内のセルフ改札機は下の差込口に切符を挿入すると日付印が印刷されるタイプです。ICカードも使っておられましたが、どこで買えるものやら分からずでした。

DSCN009056▲ トラムの車体幅は広く、座席配置1+2のシートも幅広でゆったりとしています。

01_MAP_馬車鉄道_600

1868年に敷設された馬車鉄道の路線

1868年に敷設された馬車鉄道の路線

【 ティミシュアラのトラム 】
欧州の町々がそうであったように1868年に建設開業された馬車鉄道が始まりです。

最初の軌道は1307年にハンガリー王がフニャディ城を建造し、15世紀には城を囲むように城壁が築かて都市となった城内から城外の町広場のトライアンへ向けてでした。1,896mが敷設されました。

1857年に鉄道が開通すると、西へと延伸され徐々に路線は拡大化されていきます。路線が長くなることにおいて到達時間の短縮が求められ、路線の短縮や蒸機トラムの採用もあったようです。そして町に電気がきた1889年7月には、約6.6㌔が電化されてトラムが走り出しました。01_MAP_トラム1899年_1

▲ 1889年のトラム路線図です。城を中心に周囲東西にトラムが開業して行きました。城壁南側を走っていた鉄道線ですが1905年頃には北側に移設されています。

ティミシュアラ・トラムの歴史については運営するR.A.T.T.(Regia Autonomă de Transport Timişoara)の公式HP(ルーマニア語)に各年代別の移り変わりが記載されていますので詳細はこちらをご覧ください。

02_路線図09_小

▲ 2015年3月現在のトラム路線図です。8系統が走り、路線長は約34㌔(未確認)です。
01_1系統今日最初に乗った1系統はティミシュアラ北駅から城内に向かいます。
そして最初に馬車鉄道が敷設された区間を走り、ティミシュアラ東駅前を回って同じ路線へと戻ってきます。

 

▲ 18:24 撮影地② 45.745094, 21.211578
ぐるっと回って北駅1駅手前のRegele Carol/Piata Iosefinaで下車しました。
乗車した区間の走行最高速度は45km/hですが、意外とダッシュよく自動車よりは早く走行します。走行距離はぐるっと回って約15㌔弱、所要時間は約1時間弱でした。中世時代に構築された街なので道路幅は狭く、専用軌道は戦災にあった北駅前通りと東駅沿いぐらいで殆どは道路併用軌道を走ります。最後尾からの撮影でご覧のとおり自動車は少なく、冬枯れのセピアトーンの街並みは寂しそうでした。

 

DSC_661306_100 ▲ 交差点東側のローマカトリック教会Iosefinをバックに走る7系統GT4c型3475号編成。同じく1968年Hanz製で、ベルリンブレーメンの中古車です。ラッシュを過ぎると2連で走るようです。

DSC_662310▲ 交差点の西側電停に止まる3455号編成、こちらは1967年Hansa製、1996年にベルリンブレーメンから来ました。
GT4c型は1995~1998年にベルリンブレーメンからティミシュアラへと来て、現在28編成が現役使用されています。

DSC_662109▲ 11:40 交差点東側、北駅から来た1系統の3476編成。先ほどまで乗車したトラムが折り返してきました。

DSC_662511▲ 8系統の3523号は4両編成で出来ました。1976年Wegmann製CT4f型で2010年にベルリンブレーメンから来たばかりです。CT4f型は2007年から2010年にかけて18編成が来ています。

DSC_662612▲ 2系統の3455号編成、2・7系統は曲がらず直進します。この電停の乗降は多く見かけました。

DSC_663114DSC_6632_100▲ 11:50 到着する2系統3450号編成、1・2・7・8系統が発着しますので待たずに乗れる続行運転も見かけられました。電停にはご覧のように到着待ち時間を知らせる電光掲示板が設置されています。

次の7系統3435号編成に乗って再び乗り鉄です。

Part30に続く

2015年 西方見聞録 ルーマニア鉄路の旅 Part29 Timişoara(ティミシュアラ)のトラム その1」への6件のフィードバック

  1. たかおかです。ティミショアラは1997年に滞在したことがあり懐かしい場所です。切符の穴あけ器が壊れていて、穴がきちんとあいておらず、検札の人にクレームを受けて30マルク取られたことがありました。きっとポケットマネーになったんでしょうね。

    さてこの車両ですが、いずれももとはベルリンではなくブレーメンで使用されていた車両です。なので古い方は製造会社が「ハンザ」社なのです。

    ルーマニアも当時とだいぶ様変わりしております。続編も楽しみにしております。

    • たかおか様、ご教示いただきましてありがとうございました。
      確かにベルリンではなくブレーメンです。間違っていました。只今訂正を入れました。
      2つお伺いしたい事があります。2連×2の運用になった場合ですが、後部に連結した2連はトレーラーなのでしょうか、それともM車で総括制御になっていいるのでしょうか?調べていると、どうも後者のようですが、確証がなくどちらかなと思っております。
      もう1つ、地名です。ティミシュアラの町には「Piața」が、頭に付いた地名をよく見かけます。直訳すると”市場”ですが、場所を見ていると”広場”のようですが、どうなのでしょうか?
      よろしくお願い申し上げます。

      • ブレーメンの連接車については、後ろについている分は基本的にトレーラーです。同形のミュンヘンの車両もトレーラになっています。福井で走っているシュッツットガルトの連接車の場合は、後ろについているもの電動車ですが、これは切り離せばそれぞれ単行で走れます。
        ドイツ国内で運転台のない電動車というのはあんまり例がなく、ビーレフェルトにいるくらいかと思います。スイスですとチューリヒにぞろぞろいるのですが。
        Piataは広場が適当かと思います。欧州では広場で市場を開くのが好きなので、転じて市場になったのでは、と邪推しています。

  2. 先日来「たかおか」の名前が出てきました。ろいろトラムの質問をぶんしゅう君から受けていたのですが返答できずに居りました。近々横浜に行く予定ありで、「たかおか」君に会って教えを請うつもりでした。今後はたかおか君よろしくお願いします。
    いつぞや東上線沿線の踏み切りで迎えてくれた某官学鉄研OBの同好者は、この方なのであります。梅林目当ての難読線探訪はスカタンとなりましたが、老人は肩、腰の痛みに悩みヨチヨチ歩きですが、愛飲のビールは忘れないようにしておりましが、このたびは3月16日~4月12日間はノンアルコールでした。つまり呑み相手がなかった、ということなのです。

    • ルーマニアのトラムについては出版物が見つからず、欧州鉄ちゃんの記事を参考にさせていただいていますが、翻訳に手間がかかっていて一向に進みません。たかおか様には是非ともお助けいただきたく、お伝えの程よろしくお願い申し上げます。

      • ルーマニアのトラムの参考文献としては
        Strassenbahn Betriebs in Osteuropa という1977年にスイスで出た本と、Tramways of Eastern Europeというだいぶ新しい2000年くらいの本が書棚に入っています。
        それと2004年にドイツで出た、Strassenbahn atlas Rumaenienというハンドブックがあり、車両リストと路線図があり重宝します。
        やはりドイツ語の文献が一番利用価値があるというのが感想です。大学時代に勉強したドイツ語が役に立つのはこんな時くらいです。

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